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December 03, 2011

風に舞いあがるビニールシート

 
 
風に舞いあがるビニールシート
 
 
      森絵都 著
 
        2006年   文藝春秋
 
 
 
   ・器を探して
   ・犬の散歩
   ・守護神
   ・鐘の音
   ・ジェネレーションX
   ・風に舞いあがるビニールシート
 
 
 
森絵都さんの短編6つ。
表題作の、その題名に心惹かれるものがあって手に取りました。
 
このうち、「器を探して」、「犬の散歩」、「風に舞いあがるビニールシート」の三編は主人公が女性。 いずれも惑い~逡巡と試行錯誤の末、自己肯定に至る展開。
え~と、要するに(自分的に)イマイチな内容だったんですね。
俺ってこういうのは苦手だったんだよなと、女性ターゲットな小説に向かない自分というものを、この本を通読することで気付かされた次第。(だったら読まなきゃイイって話しではあるんですけれど)
 
 
「守護神」
面白くって、中々読ませるんですけれど、ちょいとばかり強引すぎる展開をしてのける。 そのため説得力に欠けるんですね。
折角イイ処あるのに勿体ないよ。 とか(上からモノを言うようですけれど)想ってしまいます。
 
 
「鐘の音」
仏像の修復という、マイナーかつ興味深い分野を舞台として選んだのは慧眼!
それに主人公の気質、性癖を巧みに重ね合わせるところが秀逸です。
途中、サイコホラー方面へでも持ってゆかれそうな展開で、その点でドキドキしちゃいましたよ!
でも着地点は安全地帯というか意外な健全さで、これはこれでアリかなと。
 
 
「ジェネレーションX」
まずは主人公と対峙する、どうにも鼻持ちならない悪印象の人物を登場さておいて、後はお話しの進行と共に、それぞれの人生が剥き出しになってゆく・・・・
ライトな感覚で描いた、対立と和解の構図。
互いの距離の取り方が、如何にも今風のスタイルで面白いです。
読後感も爽やか。
 
 
「風に舞いあがるビニールシート」
この作品、世評はずいぶんと高いようですけれど、俺的にはいまひとつ、でした。
その題名にすっかり惹かれちゃったんですけれど、いざ読んでみたら、こちらの想い込みとは、大分違っていまして・・・・
シビアな世界を扱っている筈が、これだとあまりにオシャレだし。 綺麗ごとに過ぎる。 カッコ好過ぎると想うんです。
 
 
どの作品も、筆致滑らかで読みやすいのがグーですね。
省略が巧みというのか、文章に余計な描写がないため、読んでいるコチラの頭にすらすらと入ってくる。
なのでこの一冊、あっという間に読みあげてしまいました。
全体的に、そういう爽やか感がありますね。
 
 

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Comments

おはようございます。
 この本は、気にはなっていましたが未読です
そう、題名がユニークですよね。
短編なのですね。
もとよしさんの書評拝見して読んでみたくなりました。
今度本屋で見てみます。
文庫にはなってないのかな?

Posted by: みい | December 04, 2011 at 11:50 AM

>みいさん

表題作の「風に舞いあがるビニールシート」。 みいさんのお目にも止まってましたか。

紛争/戦火の絶えない荒野。 舞い上がるのは、工事現場で使うブルーシート(養生シート)でしょうか。
機能一点張りのシートは景色を殺伐とさせて、でも生き抜くことの象徴とも見て取れそう・・・・

秀逸な題名ですよね。 いろんなイメージが、共に舞い上がるようです。(笑)
で、どうやら私も場合、読むよりも前に思い込みが先に立っちゃいまして。 あんまり好い読者とは言えませんでした。(^^ゞ

文庫化は済んでるみたいですね。(私は地元図書館の単行本を借りました)
みいさんならどう読むか、気になります。(^ァ^)

Posted by: もとよし | December 04, 2011 at 09:20 PM

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