クリスマスのフロスト
クリスマスのフロスト
Frost at Christmas
R.D.ウィングフィールド 著
1984
芹澤恵 訳
創元推理文庫
折りしも仕事絡みであれやこれや、すったもんだしまして・・・・プチ凹んぢまったところでした。
けれどこの一冊のお陰でリフレッシュ!
というか、詰まんない気懸かりなんぞ、もうど~でも好いや!! ってな吹っ切れた気分にさせてくれたのが、本書の主人公フロスト警部です。
イギリスの田舎町デントン警察署の名物警部、ジャック・フロスト。
その仕事ぶりは、とにもかくにも勝手仕放題の超マイペース。
身辺は徹底してダラシナク、机の上は常に書類の山(崩落寸前!)。
しかも猥褻なジョークが大好きと来ていて、捜査活動中も二言目には卑猥な言葉が飛び出す始末です。
出世志向のイケスカナイ上司には迷惑を掛けまくり&怒らせまくりですけれど、なんの屁の河童でそうそう簡単にはメゲたりしないフロスト警部。
普段はてんでダメなオヤジが、しかしヤルときゃしっかりとヤッて見せる、というのはこの手の小説に好くありそうな展開ですけれど、しかしここでのフロスト警部のダメっぷりは相当徹底しています。
読み手をして、こんなんで本当にダイジョーブなの? って心配させる作者の手際は、こりゃもう相当なもの!
上から徹底して嫌われ、しかし下からは果てしなく愛されるこの人の駄目オヤジっぷり。
キタナクてかつ下品(外見と言動が)で、でもこの警部の時折見せる弱者に対する優しさ、そして男らしさ。
どれほど勝ち目がなくとも、どんなに困難でも最後まで投げ出さない、不行不屈の魂。
卑猥なジョーク連発でも、いやだからこそ粋です。
カッコ悪い分だけ、カッコイイ。
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