まほろ駅前多田便利軒
まほろ駅前多田便利軒
三浦しをん著
2006年 文藝春秋
〇 曽根田のばあちゃん、予言する
一 多田便利軒、繁盛中
二 行天には、謎がある
三 働く車は、満身創痍
四 走れ、便利屋
四・五 曽根田のばあちゃん、再び予言する
五 事実は、ひとつ
六 あのバス停で、また会おう
三浦しをんさんの小説は初めてでしたけれど、先入観なしに読んでみて、これは凄くオモシロかった。 その設定/ストーリーと言い文体と言い、とっても旨い小説。 お見事! 一本取られましたって感じですよ。
東京都の南西部に位置するという架空のまほろ市(町田市に相当するらしいですね)。
主人公の多田はそこの駅前に店舗を構える、個人経営の便利屋さん。
30代のバツイチ。 独り者のこととて勝手気侭な暮らしぶり。 小さな事務所と軽トラック、そして身体ひとつが資本。
(なんか、テレビドラマとかによくありそうな設定ですな。 時にはやっかいなトラブルや人情話しとかあって・・・・っていうか、実際になかったっけ、こんなの。 中村雅俊主演とかでサ)
力仕事から細々とした雑用まで、なんだって引き受けます多田便利軒。
で、時にはユニークな、人には言えないワケありの依頼が舞い込んで来ることもあるわけで・・・・
▽▲▽▲▽▲
そんな多田便利軒の毎日を一応は淡々と(?)描いて始まるこの小説。
ノンビリとお気楽なムードを漂わせておいて、でも、読み進めるうち、この小説はややライトなハードボイルド(?)であって、そして何やらほの昏いサブテーマが伏流しているということに気付かされるのです。
頼みもしないのに多田便利軒へと転がり込んできた相棒、行天は極め付きの変な奴!
なにしろ世間並みの価値観など一切通用しない男で。 多田との凸凹コンビ、ここに誕生です。
人は誰しも、決して元には戻せない何ものかを抱えつつ生きてゆくもの。
遠い日の、絶たれた指の記憶。
・・・・って、なんだよ! 気軽に読める軽いノリの小説とばかり想っていたら、結構重たいストーリーじゃんか!
縦横に張り巡らせた複線は、痛快なくらいキレイに活きて。 それから、なんとも切ない展開も。
緊張と緩和の妙。
笑いにも事欠きません。 人生に疲れて諸事うつむき加減ながらも根っから生真面目な多田が、毎度まいど、行天の人並みはずれたフリーダムぶりに振り回されるという図式が思いっ切り可笑しくって、もうサイコー!
ホント面白くて先へ先へ。 あっという間に読了してしまった印象です。
多田と行天と、それからその周囲の連中(まほろ駅界隈の住人たち)の物語の続きを、もっと読んでみたいですね。
そう想いました。
Comments
こんばんは~
面白そうな本ですね!
これって映画化されましたよね。
たしか、瑛太と松田龍平が出演してたと思う。
観たいなと思ってましたが、時間が合わなくて観てませんが。
いつかTVでやらないかな^^。
Posted by: みい | November 20, 2011 09:31 PM
>みいさん
このお話し、映画になってましたか~!
多田と行天、それから心優しいまほろの住人たち。
そりゃもう絶対にオモシロいでしょうね! 私も観てみたいです。(^ァ^)
配役は・・・・多田役はともかく、行天役の人がタイヘンだな。(笑)
原作小説の方も、とってもオモシロかったので、機会がありましたら是非ぜひ!
Posted by: もとよし | November 20, 2011 10:42 PM