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November 23, 2011

陰日向に咲く

 
 
陰日向に咲く
 
 
   劇団ひとり著
 
 
       2006年   幻冬舎
 
 
 
    ・ 道草
    ・ 拝啓、僕のアイドル様
    ・ ピンボケな私
    ・ Over run
    ・ 鳴き砂を歩く犬
 
  
 Kagehinatanisaku
 
 
 
タレントの書いた本格的な小説として、暫く前に話題になった本ですね。
先日図書館で見つけ、出版後大分経った今頃になって(カバーデザインの秀逸さにも惹かれ)手に取りました。

劇団ひとりさん。 コメディアン/俳優として多芸多才ぶりを発揮する、文字通りのマルチタレントですけれど、小説の方でも思い掛けない水準の高さを見せつけて、これはタレントさんの書き下ろした本として出色の出来と想います。
勿論ご当人は、あくまで小説を書いたのであって、タレント本の類などとは想っていないでしょうけれど。

劇団ひとりさんは、ご本人はイケメンでアタマも切れるのに、普通の俳優/タレントの位置では満足し得ないみたいですねぇ。
その小説では、世間一般の常識からはちょっと・・・・いやいや、かなり外れた人々を描いているのが特徴です。
世間の人々が歩むコースの、その更に外周を往く、ぱらぱらと少人数のランナー達。

ひとりさん、根っからのサブカル好きのようですね。 あるいは、自らの心の奥底と、何が何でも対峙せずにはいられない人なのかも。
どの短編も、読んでみれば、そんな作者が如何にも描いてみたかったであろう人々であり、世界感です。
通読してみて、ひとりさんがタレントとして多忙な中、何故小説にまで表現の幅を広げてみたくなったのか、書かねばならなかったのか、自分なりに納得のいった気がします。

小説としては、小さな瑕瑾があちこち散見されないではないですね。 この小品集を、もしもプロの仕事と考えたならば、ちぃとばかり苦しいレベルと言えそうです。 これは、単行本として立派な体裁で出版されているため、ついつついそう考えてしまいがちになってしまうんですけれどね。
でも、本職ではないアマチュア作家(?)でこれだけ書けるんなら、これはもう大変立派なものではないでしょうか。

それに、捜せば見つかる綻びや微妙な違和感はあるにしても、そのある種ぎこちなさ、洗練されてなさ具合が逆に、どこかカッコイイってのはありますね。 それもまた魅力、才能の一つ。
文章そのものは、とっても読みやすいですし。

本書は連作短編集です。 で、本書を手に取ったならば、必ず頭から順々に読むべし! でありますよ。
各々に因果関係があって、それから時間軸にも工夫があったりしますから。
 
 

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Comments

こんばんは~
 あ、これね。わたしも読みましたよ。
これも映画化されたんですよね。観てはいませんが。
愛すべき?人間模様が描かれていたんですね。
結構、面白くて一気に詠んでしまったのを覚えています。
細かい部分は、忘れてしまったけれどcoldsweats01

二冊目はあまり売れなかったみたいだけどね。

Posted by: みい | November 24, 2011 at 10:00 PM

以前劇団ひとりさんが演じる〔棟方志向物語〕というテレビドラマを見たことがあります。泥臭い演技でしたが全力投球していました。

新聞の文芸欄にも記事を載せていますが何事にも真摯に向き合うタイプのようで好感が持てますね。

Posted by: おキヨ | November 25, 2011 at 11:03 AM

>みいさん

この小説、みいさんもお読みでしたか!
そうです。 愛すべき、どこか・・・いえいえ、かな~りヘンな人たち。(笑)

でも、そんな登場人物たちに寄せる作者の視線は暖かいんですよね。
だから、読後感が充実している! ホント一気に読んじゃいますね。

二作目が出てるんですか? 早速捜してみますね。(^ァ^)

Posted by: もとよし | November 25, 2011 at 08:34 PM

>おキヨさん

タレント/俳優の出す本といえばエッセイが定番という中、これだけ本格的な小説を書いてしまう劇団ひとりさん。 ・・・・やはり大した才能ですし、もの凄いエネルギーですよね。

そのまま俳優などやってもイケメン男優で十分通りそうなのに、でもそんなんじゃ満足し得ないんでしょう。
根っからの表現者のようですね!
小説に登場するのが、世間一般の人々とは違った人生を歩む者たちというのも、如何にもこの人らしいって気がします。

Posted by: もとよし | November 25, 2011 at 08:39 PM

もとよしさん、こんにちは!
これ、私は結構面白く読みました。
小説家でもないのに、すごいなーって思ったのだけれど、確かにお笑いさんが書いたからすごい!!わけで、小説家の方が書いたら・・・ここまで凄い!とは思わなかったかもしれません。

まほろ駅前多田便利軒も、以前面白く読みました。
映画化もされ、最近レンタルになったみたいなので、是非見てみたいな~と思っているところです。

Posted by: latifa | November 26, 2011 at 09:17 PM

>latifaさん

この小説、随分と売れたみたいですけれど、やっぱり話題が先行してのことだったんでしょうね。(^^ゞ

それでも読んでみれば、本格的な小説として想定外(!)の完成度と面白さ!!
買ってみて後悔した人は少なかったんじゃないかと、遅れ馳せながらの読者σ(^^ゞながら、そう想います。

「まほろ駅前多田便利軒」もお読みでしたか!
この映画版、私も是非観たいと想っています。 大分先のことになりそうですけれど。
なにしろ、あの行天を映像化してみたら一体どんな感じになるんだか、気になってしょうがないんです。(笑)

Posted by: もとよし | November 28, 2011 at 10:56 PM

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