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August 08, 2011

決定版 男たちの大和

 
  
決定版 男たちの大和
 
 
    辺見じゅん
 
      2004年 ※   角川春樹事務所
 
              (※ 男たちの大和 (初版) は 1984年 に出版されました)
 
 
 
太平洋戦争当時、帝国海軍にあって不沈戦艦と謳われた大和と、それに乗り込み、戦い抜いた男たちを描いたノンフィクションです。

著者は、執筆当時健在であった大和関係者を一人ひとり(その家族/遺族も含め)を捜し求め、入念なインタビューを敢行。
その中には戦後、大和に関して一切語ろうとしない、沈黙をポリシーとして来られた方もおられたそうで、その果敢な取材ぶりには著者のもの凄い情念を感じますね。

大和に乗り込んだ人々から得た証言(無論のことそれは、巨大な艦内にあって各々が配置されたポジションから見た、ピンポイントの視点によるものです)を繋ぎ合わせて、その誕生、艦内の暮らし、激しい訓練、戦闘と壮絶な最期。 そして沈没後の処理顛末から、生還した人々の戦後の人生までを描き切ります。

        ▽▲▽▲▽▲

当時世界最高の性能を誇った最精鋭艦といえども、兵に対する鉄拳制裁が日常茶飯事であったのは、他の帝国海軍軍艦となんら変わるところがなかったそうですね。

兵らにすれば、日々殴られてばかりの艦内。 それは訓練時/平常時よりも、臨戦態勢下の方がむしろホッとする(さすがに味方の兵を殴っている暇はないわけで)程と言います。
訓練して、殴られて、訓練して、殴られて・・・・の毎日が阿呆のように続いたのが、大和乗り組みの一兵卒の視点からみた太平洋戦争、とも。

さて戦局も逼迫した昭和20年4月、いよいよ大和にも最期の時が。
沖縄特攻作戦。 その戦闘の描写は凄惨の一語に尽きます。
不沈戦艦と言えどもやはり沈むものかと、誰しもが感慨したそうです。 わずか四年にも満たない就役でした。

そして、大和生存者とその家族の戦後。
長い鎮魂の日々は、これも一つの戦後昭和史です。(この部分に、全巻の四半分ものボリュームを割いています)

        ▽▲▽▲▽▲

苦労の絶えない水兵の日々ですが、中には反逆児(?)もいました。 艦内の横紙破り、内田兵曹の辿った数奇な運命。
その波乱万丈の生涯は、初版から二十年後に書き加えられた「決定版 文庫版あとがき」に至って完結をみます。
このエンディングには胸打たれました。 (だからして、この作品は必ず「決定版 文庫版あとがき」まで読むべし、と想います)

        ▽▲▽▲▽▲

本書は長編の上、登場人物が多く、また決して巧みと言い難い構成のため、いささか読み辛いものがありましたね。
けれども全編を通読することで、不沈戦艦と呼ばれた大和の実際と、それに関わった人々の人生(開戦前夜から戦中/戦後~現在まで)が浮かび上がります。 読み終えての感動は、かなりのものでした。

大和関係者の証言に共通しているのは、それぞれが大和に寄せる愛情。 海軍を代表するフネに乗り込み得たという誇りでした。
それは戦時中の階級を問わず・・・・上級士官クラスから、日々鉄拳制裁を喰らい続けた一兵卒まで等し並に、なのです。
 
 

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Comments

もとよしさんの文章の表現力に、思わず私も〔男たちの大和〕を読んでみたい気持ちにさせられました。・・・が私の読書力は日々弱まっています。
視力の弱まりとは別に読書にも体力が必要だという事がここのところ身を持ってわかってきました。(ノ_≦。)

〔南仏 プロバンスの12ヶ月〕はとても面白いのですが、やっと〔1月〕を読んだところです。この本は寝室用なのでなおさらですね。(>_<)

Posted by: おキヨ | August 09, 2011 at 11:25 AM

>おキヨさん

その昔、毎日のように読み耽っていた文庫サイズの本が、最近ではすっかり苦手になりました。(溜息)
文庫本は字が小さくてレイアウトもキツイ。 読むのに通常の倍のエネルギー(集中力、視力)が要りますから。
なにしろ、視力は衰える一方であります。orz
古くなって、紙の黄ばんでしまった文庫本ともなると尚更。
こうなってくると、読む気も萎えてしまいますね。(^^ゞ
と言うわけで、おキヨさんのご苦労が少しは判る気がしております。

因みに、私の読んだ「決定版 男たちの大和」は文庫本でありまして。(爆)
本がまだ新しく、レイアウトもまあ読み易い方でしたので、苦労ってほどのことは無かったですけれど。(^^ゞ
読書専用メガネを誂えるのも、そう遠い先ではないと想われます。(笑)


「南仏 プロヴァンス~」、現在は一月の章ですか。
ユニークな隣人たちとのお付き合いが始まったところですね。(笑)
こちらは、ゆっくりと味わいつつ読み進むのが相応しい本と想います。
どうか愉しんで下さいませ。(^ァ^)

Posted by: もとよし | August 09, 2011 at 06:10 PM

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