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July 18, 2011

七人の花嫁

 
 
七人の花嫁
 
   銭形平次傑作選 1
 
 
     野村胡堂 著    潮出版社
 
 
     ・七人の花嫁
     ・鈴を慕う女
     ・平次女難
     ・縁結び
     ・ガラッ八祝言
     ・狐の嫁入
     ・死骸の花嫁
 
 
 
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銭形平次と言えば捕物帳の名作。
小説を読んだことはなくとも、その作者 野村胡堂 の名はなんとなく知っている。 と言う方は少なくないのではないでしょうか。 かく申す私がそうなんですけれど。 テレビ時代劇「銭形平次」のオープニングで、毎回「原作 野村胡堂」の名がクレジットされていましたものね。

因みに野村胡堂は又の名を「あらえびす」と言いまして。 クラシック音楽の評論家として名を馳せました。 未だ蓄音機にSP盤の頃のお話です。 我が国クラシック音楽の受容史に役割を果たしたんですね。
捕り物小説とクラシック音楽と・・・・中々に興味深い取り合わせではありますけれど、目下のところは銭形平次について。

神田明神下の岡っ引、銭形の平次こと平次親分についちゃ、専らテレビでのみ知っていた私です。
歴代の平次役者の内、やはり大川橋蔵(二代目)さんの印象が未だ強烈であります。
橋蔵さんの番組は、オッソロシク長い間やっていましたね。 (試みに検索してみたら18年間、888回も続いたそうです)

さてその原作たる本書「七人の花嫁」はと言いますと、野村胡堂によって戦前から戦後に掛けて書き綴られた銭形平次ものの傑作選です。
膨大な作品群から、本巻では艶で華のある路線・・・・うら若い美女やら花嫁の絡んだ短編を精選した模様です。

平次親分の推理・・・・と言うか、犯罪の手口は(テレビでもそうでしたけれど)中々凝っていますよ。
けれど私としてはその辺り、あんまり興味が湧かなかったですねぇ。
それよりも、平次親分と子分のガラッ八の間で毎度まいど交わされる会話。 気心の知れあった親分子分の与太話が、なんとも粋で愉しいんです。
その殆どは無駄話・・・・とは言っても、それで話の展開が間延びするってわけでもなく、ポンポンと軽口を交し合うことで、江戸っ子達らしい粋で調子の好い世界/空気感を造っているんですね。
 
 
平次  「八、良い月だなア」
八五郎 「何かやりましょうか、親分」
平次  「止してくれ、手前が塩辛声を張り上げると、お月様が驚いて顔を隠す」

 
 
ガラッ八のイメージは、テレビシリーズ(橋蔵版だと(主として)林家珍平さん)とちょっと違ってるかな。
原作の八五郎はひょろりとした長身に面長の顔立ち。 テレビで見たよりもう少し若くって血気盛ん。 如何にもの、町内の若い衆ぶりです。

平次親分。 罪を憎んで人を憎まず的なヒューマニストにして謹厳実直。 功名にはてんで興味なし! かつてテレビに見た橋蔵平次は、野村胡堂の設定そのまんまであったというわけですね。

凶悪犯やら救いの無い悲劇も、出ては来ますけれど、でも大体において牧歌的に感じますよ、この戦前から戦後に掛け書かれた捕り物帳は。
肝心要の捕り物もさることながら、やっぱり私としては、平次とガラッ八とで与太話を飛ばすのが、読んでいて只ただ心地好いンですよねぇ。
  
   
 
     銭形平次傑作選 2   橋の上の女
 
     銭形平次傑作選 3   鬼の面
 
 

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Comments

〔7人の花嫁〕でとっさに思い出したのは洋画〔略奪された7人の花嫁〕というミュージカル映画。相当古い人間ですね^_^;
野村胡堂は兄達のどちらかがよく読んでいましたので、私も子供時分から知っていました。
挿絵に興味がありましたね。美しい女や躍動感溢れる武士の動きの挿絵は今にして思えば相当の腕前の画家が描いていたはずです。

橋蔵さんの平次親分はそんなに長くやっていたんですねぇ。。。

Posted by: おキヨ | July 19, 2011 at 12:30 PM

もとよしさん、こんばんわ
もとよしさんのブログを拝見して、私の幼稚さが恥ずかしくなります。書籍は好きだから書店へはよく足を運ぶのですが、あれだけ沢山ある書籍の中から読みたい書籍がナカナカ見つかりません。
書籍は気楽に読めるのが中心で、フィクションとか、時代物だったら戦国時代とか…肩の凝らないのを読んでます。もとよしさんのブログを拝見して、少しは違った分野にも挑戦しょうかな?とも思います。参考にさせていただきます。 

Posted by: michi | July 19, 2011 at 09:29 PM

>おキヨさん

そういえば「略奪された7人の花嫁」ってアメリカのミュージカル、名前だけは聞いた覚えが・・・・
もしや野村胡堂は、そのミュージカルにあやかって「七人の花嫁」を書いたのでは? なんて想ったのですけれど、ミュージカルが1954年の製作なのに対して、銭形平次「七人の花嫁」は1932年の作なのだそうで、胡堂のオリジナルということのようですね。 なかなかのネーミングセンスですネ。(笑)

往時の平次ものには美麗な挿絵が付いていましたか! 人気娯楽作品だけに、当時人気の画家たちが腕を競ったんでしょうね!

この銭形平次、今時の時代小説とはイメージが大分違いまして・・・・と言うのは、その文章が意外にも(?!)「です・ます調」で書かれていまして、なんとも上品なんです。(^ァ^)
作品の書かれた当時の空気など、そんなところからも感じ取ってみたいと想って読んでいます。

Posted by: もとよし | July 20, 2011 at 06:56 AM

>michiさん

いえいえいえ。^^;
私など、読む本は脈絡なし、節操もなしで、まったくイイ加減に選んでいます。
この銭形平次も、偶々図書館の書棚にあったのを見つけて、読み出したらオモシロかったというだけのことでありまして。(^^ゞ

確かに、沢山の本の中から次に読む一冊を選ぶとなると、目移りしてしまって、中々難しいですよね。(^^ゞ
あの本は是非読んでおきたい、おっとこれも読まなくちゃ、とか・・・・・アタマの中の読みたいリストに溜まってゆくばかりです。orz

戦国もの、読まれますか! その辺は私も大好きでして、(このところ休んでいますけれど)その内にまた再開してみたいナと、想っています。 面白いのがありましたら、是非ご紹介下さいませ。(^ァ^)

Posted by: もとよし | July 20, 2011 at 06:57 AM

こんにちは~
 野村胡堂、名前は知ってましたが本は未読です。
「七人の花嫁」たしかにいいネーミング、現代的な感じがしますね。
表紙絵もいいです。つい手に取ってしまいそう^^。

橋蔵平次って888回も続いたのですか?すごいな。
時代劇っていいですね。

Posted by: みい | July 20, 2011 at 10:57 AM

>みいさん

大川橋蔵さんが主演したテレビの銭形平次って、ホントにずーっとやってましたね。(^ァ^)
さっき検索したら、1984年(昭和59年)まで放送していたとかで。
確か私は、その頃お茶の間でゴールデンタイムのテレビとか見ていなかった筈・・・・なるほど、888回続いたシリーズの終焉は見届けていない道理ですね。(^^ゞ

野村胡堂の遺した原作は、戦前~戦後に書かれた旧いものですけれど、意外なくらい読みやすかったです。
生真面目で頼りになる平次親分のキャラも、この当時から既に確立していたようで、日本人の持つ伝統的な美意識/倫理観を感じますね。

この原作(の復刻版)は、未だ続きがあるので、もう少し追い掛けてみようかと想っています。

Posted by: もとよし | July 20, 2011 at 10:09 PM

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