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June 28, 2011

南仏プロヴァンスの12ヶ月

 
 
南仏プロヴァンスの12ヶ月
A YEAR IN PROVENCE
 
 
   ピーター・メイル 著
   Peter Mayle       1989年
 
   池央耿 訳        河出書房新社
 
 
 
 Ayearinprovence
 
 
 
確かドーデの「風車小屋だより」・・・・あれの舞台が、フランス南部のプロヴァンス地方でした。
私はかつて、フルート教室の発表会でビゼーの「アルルの女」(フルート小品の定番ですぞ!)を吹いたことがありまして。 その折り、張り切って練習に取り組む傍ら、楽曲をそのバックグラウンドから理解してやろうと目論んで、岩波文庫版の「風車小屋だより」を読んだものでした。
ビゼーの曲の素晴らしさは言わずもがなですけれど、果たして原作の方も、また掛け値なしの名作でした。 本当に、素晴らしかった。
一行一句が、もう名文/美文でねぇ。
珠玉篇とは、ああいった書物のことを言うのでしょう。
ともあれ、こういった機会でもなければ読むこともなかったでしょう。 フルートを通じての、名作との想わぬ出会いには感謝したものです。

え~と、このことは本書「南仏プロヴァンスの12ヶ月」と、特に関わりはないのですけれど・・・・ただ南仏と言えば、未だ「風車小屋だより」のことが想い出される私なのでした。

         ▽▲▽▲▽▲

さてこちら、「南仏プロヴァンスの12ヶ月」です。
かつて、世界的なベストセラーとなって、プロヴァンス・ブームの火付け役を勤めたそうですから、本書については先刻承知、と言う方も少なからずいらっしゃるかと想います。

私はこれまで未読を通しておりましたけれど(往年のベストセラーを、今更後追いで読むのもなぁ・・・・なんてセコイことを考えていたんですね)ココへきてようやっと読んでみ、大いに愉しんだ次第です。
だって、読んでみたらものすご~く面白いじゃないですか!(我ながらゲンキンな奴)
やはり、一世を風靡した本だけのことはありますねぇ。

         ▽▲▽▲▽▲

生粋の英国人であり、ロンドンに住まいを構えていたメイル夫妻。
これまでバカンスで何度も訪れて来たプロヴァンス地方。 この風光明媚な土地がすっかり気に入ってしまい、ついに彼の地に移り住むことにしたのが事のはじまりでした。

プロヴァンスという、英国人からすれば結構この上なしの観光地にあって、現地の名所旧跡には一歩も足を運ばず、出入りの職人衆やら、近隣の農家、そして地元の料理店や酒造家らとのつき合いに忙しい二人。
築二百年にはなろうかという旧家を(プロヴァンス流にゆっくりゆっくり、ほぼ一年を掛けて)改装する顛末が、本書の縦軸となっています。

そもそも、旅行者としてその地を訪れるのと、住人となって棲みつくのとでは、随分ギャップがあるわけですよね。
メイル夫妻とて、はじめは土地の風俗習慣に面喰らいながら・・・・しかし巧みに受け入れ、やがて一対のプロヴァンス人夫婦と化してゆきます。

無論、イイ話ばかりでは決してありません。
けれど、不便なこと(田舎ですから)、不快なこと(外国暮らしですから)をも笑いに換えてしまうユーモア感覚、懐の深さ。
誰にであれ押し並べてフレンドリーに接し、受け入れてみせる。 人生の達人とでも呼んでみたい筆者夫妻なのです。

         ▽▲▽▲▽▲

この本はまた、池央耿さんの翻訳がとっても素敵でして。
そこいら中にユーモアの詰まった文章。 インテリジェンスの伝わってくる、飛びっ切り粋な筆致でありますな。
ちょっと古風な、もってまわった言い回しやら駆使して、本当に可笑しいったらなかった!
こういう仕事は、(英語力さえあれば)誰にでも出来るってもんじゃあないですよね。
けだし名訳であります。

本書、「南仏プロヴァンスの12ヶ月」のことがすっかり気に入ってしまった私。
幾度も読み返したい名作として、愛読書となりそうな予感なのです。
 
 

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Comments

こんばんは~
 あ~この本持ってます^^。
でも積読中coldsweats01
ブックオフで何冊か買った中にありました。
もとよしさんの書評、拝見して未読に気が付きましたcoldsweats02
読まなくては(笑)
ハイ、読みますねbook

Posted by: みい | June 28, 2011 at 09:54 PM

>みいさん

本書のことを前からご存知で、でも読まずに。 というあたりは私と同様でしたか。(笑)

とっても面白いですから、是非ぜひっ!

メイル氏の文章(というか、池央耿さんの翻訳文)の、なんか矢鱈と大袈裟な言葉遣いとか、今想い出しても笑えてきちゃいます。(^ァ^)

Posted by: もとよし | June 28, 2011 at 11:18 PM

南仏プロヴァンス・・・いい響きです!行った事もないのに懐かしい地方。
プロヴァンスといえば絵画と映画の世界ですね。私としては夢のようなところです!

そんな良い本があったとは!
鵬入しなくては。。。

Posted by: おキヨ | June 30, 2011 at 11:59 AM

>おキヨさん

そうでしたねぇ。 南フランスと言えば、セザンヌ・ゴッホはじめ、画家たちが名作をものした地!
メイルさんは美術方面には疎いらしく、その辺りには触れてはいませんけれど。
でも自宅の庭から見下ろす一面の葡萄畑や、プロヴァンスの山並みなど、その絶景には賞賛を惜しみません!
羨ましいなァ。(笑)

往年のベストセラーだけあって、本書の入手は容易と想います。 文庫版も出ていますし、みいさんのように中古市場で求めるのもアリですし。 因みに私は地元の図書館で借りました。
人気の作品だけあって、あちこち擦り切れたまくった本でしたけれど、それだけ広く長く愛されてきた名著ってことですよね。(^ァ^)

Posted by: もとよし | June 30, 2011 at 03:09 PM

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