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February 12, 2011

北洋船団 女ドクター航海記

  
 
北洋船団 女ドクター航海記
 
 
   田村京子 著
 
      1985年12月
      集英社文庫
 
 
病院の麻酔医としての長いキャリアを持つ筆者が、ふとしたきっかけで北洋を漁場とする鮭鱒事業母船の船医となったのは昭和57年のこと。乗り込んだのは、四十余隻からなる独航船を引き連れ、船上に鮭加工設備を持つ大型漁船です。
千人を超す男所帯の北洋船団に女性が単身乗り組むのは、北洋漁業の歴史上初めてのことと言います。(現在は、どうなんでしょうね)
女医と海の男たちの、二ヶ月に渡る船上生活の始まり。

陸(おか)ではベテラン医師の田村さんも、船上にあっては一から十まで素人です。
それでも全くメゲルことなく、第一線の麻酔医としての技量を生かして診療に励み、また至るところで面倒見の好さを発揮!

田村医師の、仕事熱心で表も裏もないサッパリとした気性。
誰彼かまわず交流を持つポジティブさ。
周囲の人々になんでもかんでも頼み込む屈託のなさ。
おっちょこちょい(!)で、取り繕うところのない明るさ。
そして人一倍の好奇心と物怖じしない性格で、あっという間に海の男たちとの距離を縮めてしまいます。
そう、体育会系集団の中で、やたらウケるタイプの女性っていますね。 あんな感じでしょうか? いやはや痛快也!

一方、田村さんの側も、無骨で純情一途(取り分け女性に対して)な海の男たちのことが、ある意味カワイかったんじゃあないでしょうか。
一人ひとりの人間味や、その高いプロ意識に触れるに付け、不自由で制約だらけの筈の船の暮らしに、どんどんハマってゆくんです。

終始とっても面白く読めた、とっても気分のイイ一冊です。
ちょっと癖のある文体も、読み進めるうちに、そこから本人のお人柄が立ち現われるような気がして、好感が持てます。
本書の終盤、船(そしてそこに働く人々)との別れを惜しむ田村さんの心情には、ちょいと泣かせられますね。
 
 

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Comments

面白そうですね。
もとよしさんの書評読んでると、わたしも読んでみたくなりました。
本屋さんで探してみようかな^^・

Posted by: みい | February 13, 2011 at 10:10 PM

>みいさん

気風のイイ女医さんと、タフで優しい男たちの航海記。 面白かったですよ~。(^ァ^)
私は地元の図書館で見つけました。 なにぶん古い本なので、手に入りますかどうか。(^^ゞ

それで、ぢ、実はですね・・・・田村さん、この航海の後、今度は捕鯨船の船医になって南氷洋に行ったそうなんです。(爆)
その時の手記も出版されているので、いつか読んでみたいと想っています。

Posted by: もとよし | February 14, 2011 at 01:26 PM

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