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June 03, 2010

眠狂四郎 勝負

 
 
 眠狂四郎 勝負
 Sleepy Eyes of Death 2: Sword of Adventure
 
 
   監督:三隅研次
   原作:柴田錬三郎
   出演:市川雷蔵
       加藤嘉
       藤村志保
 
    1964年  日本
 
 
 
市川雷蔵主演の眠狂四郎シリーズ第二作です。

前作では冷徹一方であった眠狂四郎がここでは(若干ではありますが)明るく、画面の色調さえ暖色掛かっています。
前作の幾分ムチャ(!)なストーリーやどこか妖しい、ナルシシズム・プンプンの雰囲気は後退して、今作はフツーの時代劇として楽しめました。
剣と女に滅法強い男が、ここでは(健気な)子供と(志の高い)お年寄りにヨワイことを露呈してしまいましたねぇ。

この映画、なにより加藤嘉さん演じる勘定奉行のキャラが素ン晴らしく好いのです。
「狂四郎とお奉行」なんて副題を付けてみたくなる一編。

初詣で賑わう境内で狂四郎が出会った老侍は、鼻の頭を赤くして眼をしょぼつかせた好々爺。 飄々として、お供も連れず独り出歩くなど、ちっとも偉ぶったところがありません。
見掛けはどこぞのお武家のご隠居としか想えないお爺ちゃんですけれど、実はこのお人こそ現役バリバリの勘定奉行。 緊迫する幕府の財政事情を立て直すべく、汚職の根絶と真っ向から取り組む硬骨漢。 不正を断じて許さぬ有徳の士なのでした。
けれどそれだけに、陰に回って甘い汁を吸う輩からは煙たがられている様子。 なので、悪者から命を狙われるわけですね。

こういう奇特な御仁を、むざむざと悪人の手に掛けさせることの出来ないのが今作の狂四郎。 勝手にボディガードを買って出ます。
あれ、冷徹無比な剣客が義侠の人になっちゃいました? まあこういうの、嫌いじゃないですけど。


老奉行 「困った時勢だ。 それに今度の凶作だ。 お主なんとも想わんのか」
狂四郎 「つまらん。 俺が面白いのは老人の気性だ。 死なせたくない」


あいや、狂四郎的には世のため人のためにお奉行を守るってワケじゃないらしいです。 やはり。

それにしても、世間にも他人に対しても知らん顔を通して来た眠狂四郎が、今作の冒頭シーンでは薄幸で健気な少年を援助してやったり、また放っておけば悪者に斬られるのは必定の老奉行に入れ込んだり、という構図が面白いですね。
シリーズ第二作目にしてこの変化球ですよ!

そうはいっても前作と比べて余程無理のない(?)時代劇らしいストーリー。 サクサクと進むので、気分好くドラマに浸ることが出来るのです。
撮影は、ロケとセットの対比がとても好く、劇的空間を巧みに創り出していますね。 映像の美しさも相変わらず。
五人の刺客たちとの決闘!、全裸の女スリ(!)とか雷蔵入浴シーン(!!)などあって、娯楽色も全開。

謎の女・妥女に藤村志保さん(お若い!)。 前作での中村玉緒さん(こちらもお若い!!)に続いての純和風美人です。 狂四郎ヒロインの選定、その水準は極めて高いっす。

雷蔵さんは、相変わらずカッコイイです。
狂四郎の纏う悲劇の色合いは幾分薄らいでいますけれど、これはこれで悪くないですし。
ミステリアスであった前作の、時代劇と言うよりサスペンス風な味付けが後退して、勧善懲悪・・・・正義の浪人になり掛かりながら、でもしっかりと狂四郎イズムを保った本作。
今回も時代劇の逸品でした!
 
 

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