« March 2010 | Main | May 2010 »

April 29, 2010

眠狂四郎殺法帖

 
  
 眠狂四郎殺法帖
 Sleepy Eyes of Death 1: The Chinese Jade
 
 
   監督:田中徳三
   原作:柴田錬三郎
   出演:市川雷蔵
       城健三郎(若山富三朗)
       中村玉緒
 
    1963年  日本
 
 
 
時代劇を見たいなと、ふとそんな気分になったんですね。
いわゆる髷もの。 歴史上にその名を残した英雄豪傑の活躍するような歴史モノではない、往年の時代劇ってやつを見てみたいと。

そこで、数ある時代劇映画の中から私の選んだのが、この「眠狂四郎殺法帖」です。
当時の大映のスター、市川雷蔵の代表作となった眠狂四郎シリーズの第一作です。 原作が柴田錬三郎の作と言いますから、痛快な活劇に違いありません。

実は私、雷蔵作品はこれが初見であります。
鑑賞するからには、往年の大スターの面影を確かめたいという想いのほかに、日本映画全盛期の勢いを、スクリーンを通して是非とも感じ取ってみたいというのもありました。

この映画、まずは画面の美しさ、色彩や構図のとても綺麗なことに、すっかり感心してしまいました。
なにしろロングショットで捉えた、広い景色の中に小さく見える眠狂四郎の、ただその歩く姿だけからして、とってもカッコイイのですよ。
自ずと備わった存在感なんでしょうね。 今時ない、映画スターのいた時代の映画なんですねえ。

凝りまくったカメラワークがまた好い。
狂四郎の心情を象徴するかのような、寒々とした色彩感。
シネマスコープの画面を隅々まで活かしきった構図。
映像美へのコダワリが徹底していて、とにかく見惚れてしまいます。
まぁ私の場合、映し出される画さえ綺麗ならば(他がどうであれ)それだけでもう満足しちまうクチなんですけれどね。

市川雷蔵扮する眠狂四郎。
演技力云々でなしに、その漂わす雰囲気がステキです。
厭世感、ニヒルさ。 常に(汗ひとつかかぬ)端整そのものの顔立ちや、色白の肌に特徴的な細めの眉がそれを引き立てます。
如何にも仕立ての好さそうな漆黒の着物を綺麗に着こなして。(剣客らしくラフな動きもあるのですけれど、狂四郎の衣装には埃ひとつ付いてはいない・・・・そんなギミックにも嫌味がないんですね)
薄幸のヒロイン役中村玉緒とは、心憎いまでのアンサンブルが成立しています。

それから脇を固める面々がまた愉しいんです。
文字若師匠、歌吉姐さんに金八ら、狂四郎の周りに集まる仲間たち(?)が時代劇の典型的江戸っ子てぇのが嬉しいじゃありませんか。
会話のテンポが小気味好くって、今時のテレビ時代劇なんぞと比べたら申し訳ないくらい、この映画の方がずっとずっと粋ですねえ。

あ、それから付け加えておくと(!)ストーリーの方は、あちこち突っ込む余地ありまくりです(至近距離から短筒で撃たれた筈がなんともなかったり)けれど、そこはそれ、ご愛嬌であります。
短い映画なんで(82分)、あっさりと鑑賞し終わります。
だって活劇だもの。
細かいところに一々拘らないで、さくっと見終えて「あ~オモシロかった!」。 これで好いんです。

市川雷蔵の眠狂四郎シリーズ。 想いの他好かったので、しばらく追い駆けてみようかと目論んでいます。
 
 

| | Comments (7) | TrackBack (0)

April 21, 2010

ゲゲゲの女房

 
 
ゲゲゲの女房 (NHK連続テレビ小説)
 
 
 原作:武良布枝著 「ゲゲゲの女房」より
 脚本:山本むつみ
 出演:松下奈緒
     向井理
     大杉漣
     古手川祐子
     風間杜夫
     竹下景子
 
 
NHKの連続テレビ小説。 あの、ず~っと昔っから朝とお昼に毎日(日曜を除く)必ずやってるアレですけれど、想えば私、このシリーズを始めからお終いまでキッチリ見切ったのって、ただのひとつもありません。

それがですよ!
先日始まったばかりの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。 これに関して私は、始まってからこれまでのところ、ずっと追っ駆けていて、毎回マメに録画しちゃ見ぃ、録画しちゃ見ぃの日々です。
根っからズボラな私としては、まったくもって珍しい事態が起きているんですね。
これはひょっとしたらひょっとするとこのままラストまで・・・・自分史上初の完走なるか?ってところなのです。

ドラマの原作は漫画家水木しげるさんの奥様、武良布枝さんの自伝「ゲゲゲの女房」。
原作を読んでいない私としては、ただもう水木しげるさんへのリスペクトから見てみることにしたんですけれど、始まってみればこれがオモシロくって、今では毎回の放送が楽しみでなりません。

当時としては人並みはずれて長身で、しかし内気な主人公の布美枝。
ここ数回は、その布美枝のお見合いから結婚に至るまでの顛末を丁寧に(そしてオモシロく)描いていたのが、序盤のクライマックスとして印象的です。
当時の常識から言えば婚期を逸しつつある主人公、その本人がお見合いに乗り気で、見も知らぬ相手との対面にドキドキしたり、そこから面談即決(?)でスピード結婚(!)に至るなど。
今時のドラマではまずみられない、望んで見合い結婚する主人公というものが、果たして視聴者にどのように受け止められるか、ここらは製作者側の、ある意味挑戦だったのではないかと私は想っています。

今日、第21回まで進んだ時点では、漸く茂さんとの結婚式を済ませたところ。
ここから先は布美枝の実家、島根県安来市の飯田家から(昭和のカミナリ親父・源兵衛さんを中心としたその一家の居心地があんまり好くて、なんだか名残惜しいのですけれど)舞台を調布に移して、漫画家水木しげるとその女房の活躍はいよいよこれからです。
 
 
 
 「大(Oh!)水木しげる展」-なまけものになりなさい-
   水木しげるさんの回顧展(2006年)。 
    これ、ホントに好かったですよ。
    叶うなら、もう一度見に行きたいのです。
 

| | Comments (2) | TrackBack (0)

April 16, 2010

ヴィドール:オルガン交響曲第5番

 
 
ヴィドール:オルガン交響曲第5番
 
ムソルグスキー:「展覧会の絵」より
           バーバ・ヤーガの小屋、
           キエフの大門
 
 
  ピエール=イーヴ・アスラン (Org)
  Pierre-Yves Asselin

  
     録音:1985年
         フランス、オルレアン聖十字架大聖堂
 
     DENON/COCO-70993
 
 
 _


 
  
このところオルガンに興味を持ち始めまして、上記のCDを聴いてみた次第。
作曲者のヴィドール(1844年~1937年)はフランスのオルガン奏者であり作曲家です。
今回聴いたのは、その代表作に数えられるオルガン交響曲の第5番。
オルガンにまったく疎い私。 こういったジャンルがあることすら知らずにいました。
 
音域・音量(そしてその存在感も)ともに圧倒的な楽器、パイプオルガン。
オルガン交響曲がどういった経緯から創られたのか、私は知らないのですけれど、例えばこの楽器を思いっ切りシンフォニックに鳴らしてみせたい。 そのポテンシャルを最大限駆使してみたい・・・・もっと言えば、独り占めしてやりたいという願いがあったとすれば、日頃この楽器との接点をまるで持たない私ですら大いに共感するところがありますね。 これほどの楽器を(例えば教会のそれであれば)宗教音楽で弾いているばかりでは、なにやらモッタイナイ気が・・・・
 
オルガン交響曲第5番は、はじめとても平明で穏やかな曲想の続く、意外なくらい耳に快い、とても優しい音楽。 けれど深みや豊かさといった面について言えばいささか物足りない・・・・と言うより、この曲はそもそもそういったところを目指してはいないのかなと想います。

曲はやがて楽章の進むにつれ次第に昂ぶりをみせ、動き/音量ともに激しさを増して(重低音もガツンとね)ゆきます。
こうなってくると、大聖堂で録音している故でしょう、残響が豊かな分、個々の音がかなり混濁してしまい、細やかなフレーズが聴き取り難い。 ちょっともどかしい気分になってしまいます。
 
とはいえ、録音現場(大聖堂)の響きというのが、本来こういった風なのでしょうね?(そうとハッキリ言ってのけられないのが情けないところです)
この辺り、オルガンという楽器を知らず、とりわけ、これまでナマの響きにはあまり接してこなかった私としては、大いに戸惑う部分なのです。
まあ、そういった自分の中のある種「違和感」を捕まえてやりたくて、こうして日頃手にすることのないオルガン・ソロのCDに耳傾けてみているわけですけれど。
 
華やかで明快な第五楽章。 聴きどころです。 ここだけ取り上げられることもあるそうな。
欧米では結婚式に使われることがあると、これはWikipediaで知りました。
確かに・・・・そこいら中シアワセのオーラが舞い踊ってますよ、この部分。
 
 
カップリングにはムソルグスキー「展覧会の絵」より「バーバ・ヤーガの小屋」と「キエフの大門」の二曲。
原曲をパイプオルガンで演奏という趣向のようです。
パイプオルガンで弾く分、パワー/ヴォリュームは十分ですけれど、とは言え聴き慣れたピアノに比べると、こちらはハッキリもたついて聴こえてしまうんですね。
これならばオケ版(なにせ、ラヴェル編曲なわけですし)を聴いた方が・・・・
 
 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 11, 2010

井上ひさしさんご逝去

 
 
今月9日。 作家の井上ひさしさんがご逝去。 享年75歳とのことです。

ニュースの訃報欄に代表作としてあがっていた「ひょっこりひょうたん島」は1960年代の人形劇。
私も見ている筈ですけれど、もはや忘却の彼方、です。
とはいえ人形たちの、今にして想えばモダンなデザインや、藤村有弘さんのドン・ガバチョに中山千夏さんの博士など、その残像がアタマの中にこびりついていますよ。

それから私の前後の世代だと大概知っていそうな「ネコジャラ市の11人」を、私はほとんど見ていなかったんですね。 これは今想えば、あの時代あの年頃に見ておかなかったこと、それについてシクジッタって気がしています。 同世代に対して時代の記憶を共有/共感出来ないところ、虫食いがあるような感じで。

小説は、沢山の著作の内、「ブンとフン」それから「吉里吉里人」だけ読んでいます。
「吉里吉里人」文庫版で上中下三巻からなる長編。
東北のある村が、国家として独立を宣言することから起こる騒動の数々を描きます。
かつて私の読んだ試しのないタイプの、とにかくトンデモない小説で、変わったモン好きの私にはとっても愉しめました。
小説の内容もさることながら、読んでいた当時の自分の暮らし。 買い求めた書店の佇まいや店員(アルバイト)の様子までセットで覚えています。 よほど印象鮮烈だったんですね。
爾来、あれくらいブッ跳んだ小説を読んだためしがありません。

合掌。
 
 

| | Comments (10) | TrackBack (0)

April 09, 2010

夷隅コシヒカリ

 
 
「地産地消」という言葉がありますね。 主として農水産物の、その供給をなるべく地元産でまかなおうということ。
誠にありがたいことに、千葉というところは農水産物がともに恵み豊か。 「地産地消」も、当地にあっては「千産千消」になります。
この言い廻しからは、物流に対する時間と費用がカット出来るメリット実利面ばかりでなしに、郷土意識/郷土愛をより強く感じますね。 で、こうなると私のような千葉県ニューカマーとしては、ここはひとつ地元産に着目やれという気分になろうというもの。
 
         ▽▲▽▲▽▲
 
先日私が近所のイオン津田沼店で買い求めたお米は「夷隅コシヒカリ」ブランドの10キロ。
夷隅は千葉県のいすみ市。 房総半島の太平洋岸に面した一地域です。 古くからお米の名産地として名を馳せているとのこと。(かく言う私も今度初めて知ったのですけれど)

お米の銘柄にはまるきりコダワリがない私なんですけれど、でもこの前同じイオンで買ってみた、多分店内で一番廉いやつ(岩手県ひとめぼれ5割と山形県はえぬき5割のブレンド米)、これがちと残念と言えるしろものでした。 やっぱり値段なりですかねぇ。
なので、今回は未知の、しかも地元のブランドを(かな~りの期待をもって!)試すことにしたワケです。

さて「夷隅コシヒカリ」の炊き上がりは・・・・期待を上回る美味しさですよ、これは!
電子ジャーの蓋を開けるのが毎回楽しみです。 ふっくらと粒が立って、もちもちとした食感も好し。
これからはずっとこの「夷隅コシヒカリ」でゆくかもしれません。

こうなるとまったく現金なもので、さすが千葉は好いトコだよな(だって美味しいものがあるんだし!)。 千産千消でしょ、やっぱり!! などと改めてうなずいてしまうのでした。
 
 

| | Comments (2) | TrackBack (0)

April 05, 2010

アバター

  
 
アバター (3D、日本語吹替版)
Avatar
 
 
   監督:ジェームズ・キャメロン
   出演:サム・ワーシントン(ジェイク:元海兵隊員)
       シガニー・ウィーバー(オーガスティン博士)
       ゾーイ・サルダナ(ネイティリ:ナヴィの娘)
 
          2009年  アメリカ
 
 
言わずと知れた大ヒット3Dムービー。
これだって遠からずテレビやDVDで見ることが出来るようになるでしょう、そうなってからゆっくり見たって好いとは想うんですけれどね。 でも評判の3D映像、こればっかりは映画館でなけりゃ試せませんから。 丁度時間が工面出来たのを幸い、遅まきながら重い腰を上げることにしました。
今時の3D映画は始めての私。 ちょいとばかりワクワクです。
 
         ▽▲▽▲▽▲
 
ストーリーの方は至って無理のないもの・・・・・映画全体の3分の1あたりまで見た時点で、この先の展開がおおよそ読めた気がしました。
 
映画の中の地球人=現実のアメリカと容易に見立てることの出来るプロット。
はじめ侵略者の側に立っていた主人公(地球人)が、先住民たちとの交流を通じて、その尚武の気風、高い精神性、生態系との共生、奥深い文化に魅せられ(そして好きな娘も出来)て、やがてアチラ側に肩入れするようになってゆきます。
この構図、過去にもいろいろな作品(映画や小説など)を通じて見てきた覚えがありますね。 侵略される側はアメリカ先住民だったりアジアの諸国だったりと、作品毎にいろいろなわけですが。
 
一方、舞台となる惑星パンドラのジャングル。 地球のそれとは似て非なる不可思議な動植物/奇観/絶景、そしてそこに棲まう先住民ナヴィ(蒼くしなやかな身体に獣の瞳)たちの暮らしぶり一々など。 こちらもいろいろと思い当たる作品が・・・・たとえば宮崎アニメからの引用など、みることが出来ます。
過去に造られたいろんな映画/小説のエッセンスを、全体に上手く散りばめたかたちですね。
 
評判の3D。 一体全体どんな風に飛び出して見せるのか、興味シンシンでした。
私の場合、元々裸眼立体視やステレオ写真が好きで、ネットにあるものなど、時々試みたりするんですけれど、アバターに見る3D映像は丁度あの感じですね。 あれが動きだした格好。

映像技術とアート。 手間隙とお金。 それらを惜しげもなしに注ぎ込んで、CDと3Dで造りこまれた異星のジャングルとその住人たち。 摩訶不思議な映像には終始感激しまくりでした。 SF映画の愉しさここに極まれり!!であります。
 
         ▽▲▽▲▽▲
 
それにしても惑星パンドラとナヴィたちの世界。 その魅力的なことと言ったら。
映画を見終わって後、いつかまたあの世界を訪れてみたいと、心中焦がれている自分に気付かされるのです。
あるいは、それは現実には決して存在し得ないもの、映像のマジックで創りあげられた虚構世界のことどもと知っているからなおさらのこと、いじらしく感じられるのかもしれませんね。
 
 

| | Comments (6) | TrackBack (0)

April 02, 2010

龍馬伝 第一部

 
 
2010年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」。 先日その第一部が終了しました。
歴史上の人物として日本人に最も人気のある坂本龍馬。 数々のドラマに描かれ、NHK大河としても1968年の「竜馬がゆく」以来の二度目の龍馬ものです。
語りつくされたテーマというワケですけれど、今年の龍馬はかつてない傑作になると、今から断言することが出来そうです!
 
第一部は龍馬の幼少時から、江戸での剣術修行を経て、故郷土佐を脱藩するまで。
ドラマとして、なにしろ稀にみる出来の好さで、いやもう滅法面白いのですよ。 毎週の大河ドラマがこれだけ楽しみなのは「篤姫」以来のことです。
 
龍馬役福山雅治さんは、専業の俳優ではない音楽家ですけれど、これが坂本龍馬という人のイメージととてもしっくり合う。
喜怒哀楽。 包容力。 器のデカさ(と同時に未だ何物も持たない、言わば大いなる空白さ)。 人懐こさ(これはある意味「人たらし要素」、とも言えますね)などなど、ドラマ序盤時点でイメージされる龍馬らしさをことごとく兼ね備えていて。
それから脇役に廻る俳優さんがみんなみんな好い。 大勢いる登場人物の誰一人として、ハズレ(?)が見当たらないですね。
 
ドラマの全体を、感傷的な空気の覆っているところもまた、私の好みに叶うところです。(そう言えば昨年暮れの「坂の上の雲」でも似たような感想を持ちました)
 
自然光下の撮影による映像の瑞々しさ(そして生活感のリアルさ)。 黒澤映画ばりの風と埃っぽさ。
映像至上主義の私としては、その映像美学に毎回ヤラレまくりです。
 
さてさてこれだけのクオリティ。 見てしまったからには、視聴者としてこの先デグレードなんぞされたら納得ゆきませんよね。 来年以降に造られる大河は、こりゃ大変だゾ。
 
 

| | Comments (2) | TrackBack (0)

« March 2010 | Main | May 2010 »