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March 22, 2010

ぐるりのこと。

 
 
 ぐるりのこと。
 All Around Us
 
 
   監督:橋口亮輔
   出演:木村多江
       リリー・フランキー
 
          2008年  日本
 
 
20世紀お終いの10年間を、とある夫婦の暮らしを通して描いた映画です。

もう若くはないというのに一向腰が落ち着かず、(今風に言えば)自由で、飄々とした夫が始めた仕事は裁判所の法廷画家。 日々、世相的な犯罪や猟奇的な事件、更にはカルト教団絡みの裁判などを傍聴し、絵筆を走らせます。
映画ですからいずれもフィクションです。 けれど1990年~2000年の当時起こった、それら事件のモデルとなった一々には、同時代を生きてきた日本人として思い当たるものがあり、ついつい想いを馳せてしまいます。

一方、出版社に勤務する生真面目で神経質な妻は、仕事や身辺のトラブルの一々と真正面から向き合ううち、次第に心が壊れてゆきます。

         ▽▲▽▲▽▲

こうして夫の仕事を通して世情の変遷が映し出され、それと平行して妻の苦悩の深まりが描かれる構成ですけれど、互い違いに描かれるエピソードを追い駆けて(見続けて)いるうちに疲れ果てちゃいました。(上映時間は140分)

夫役に自然体のリリー・フランキーさん、妻役に体当たり演技の木村多江さん。 主役の二人は共に好かった。
でも、この映画の演出はと言うと、私には総じて好きになれないのですよ。 過度に現実的なタッチとでもいうのか、人間の描き方があんまり殺伐としすぎてね。
詰まらない悪意やら嫌味な口喧嘩なんか、わざわざドラマの中で見たくもないって。
まぁ、そういったものに一々拒否反応の出るのは、私の悪いクセかもしれませんけれど。

         ▽▲▽▲▽▲

ところで、序盤から中盤にかけひたすら現実的に、というかネガティブな描き方を通してきたドラマが、終盤(お寺に天井画を描きに通い始めた辺り)に至って突如前向きな姿勢へと転じるのは何故なのでしょう?
ドラマ中盤で妻の下した<ある選択>。 アレって、もうイイの? 楽観的に過ぎません?? そもそも、そのまま時が解決してくれるような、ヤワな問題ではないワケで。
終盤の前向きさと、そこ至るまでのシビアさとのギャップには、違和感がありまくりの私です。
ですから、仕上がった天井画を眺める夫の感想、賞賛の言葉にも共感することが出来ませんでした。

それなりに(!)シアワセな夫婦の生活を描いた序盤から、ひとたびどん底を見た中盤。
(そこまでは、まぁイイとして)終盤では、そこからハッピーエンドに持って行こうという強引さばかり感じられて、私にはどうにも納得のいかない映画でありました。
 
 

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Comments

梨木香歩さんの本に「ぐるりのこと」というのがありますが、これとは関係ないのですね。
この映画は観てませんが、もとよしさんの解説でどんな映画化わかりました^^。
木村多江さんて、薄幸の女って感じの女性ですよね(笑)観た感じがですが。

Posted by: みい | March 26, 2010 at 07:38 PM

>みいさん

題名のおもしろさに惹かれて見てみたんですけれど。 ハズレを引いちゃったみたいです。(^^ゞ
ネットで調べると、数々の映画賞を受賞するなどして、とても評判が好いようですね。

木村多江さん、ホント薄幸の女性役がピッタリって感じですね。(^^ゞ
この映画でも、ただ真面目に暮らしているだけで、向こうから不幸せがやって来るみたいな。 全体の構成や演出とは別に、その体当たり演技は素晴らしいと想いました。(^ァ^)

Posted by: もとよし | March 26, 2010 at 10:32 PM

もとよしさん、こんにちは!
う~(^ー^)嬉しい!
私もこの映画、好みじゃなかったんですよ。
>でも、この映画の演出はと言うと、私には総じて好きになれないのですよ。
↑これです。
あと、後半の元気になる展開とか、???でした。

でもね、この映画、すごい世間や回りの方々に評判が良くて、私だけかぁ・・・って淋しく思っていたのです。
だから、もとよしさんの感想を読んで、凄くほっとしました☆

Posted by: latifa | April 18, 2010 at 10:26 AM

>latifaさん

同じような感想をお持ちだったんですね。 私の方こそ、なんか心強いです。(^ァ^)

トラバの記事を読ませて頂いて、うなずく処しきりでありました。
一見して、ちゃらんぽらんなダンナとしっかり者の奥さんに見えたのが、よく見れば、タイヘン(?)な妻とヨクデキタ旦那だった・・・・そういう夫婦関係の奥行きの見せ方がとても巧みでしたね。

けれどもやはり、「長いなぁ・・・・」と想い始めた辺りからが、結構ツライ映画でしたね。(^^ゞ

Posted by: もとよし | April 18, 2010 at 06:18 PM

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