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October 09, 2008

麻婆豆腐の女房

 
 
 麻婆豆腐の女房

   ~「赤坂 四川飯店」物語~


    吉永みち子著

         2000年 光文社


我が国の食文化に数々の中華料理、中でも麻婆豆腐を紹介したことで知られる中華料理人、陳建民さんと洋子夫人の一代記であります。

中国は四川省に生まれた建民さんは、早くに父親をなくす貧しい生い立ちのなか、やがて料理人の道を歩み始める。 早くから頭角を現すも、生来の放浪癖もあって、職場の不当な悪条件やケンカ、また経営者に騙されるなど、なにかことある度に、職場を次々と渡り歩いていった。
四川省から上海へ出、さらに台湾から香港を経て、とうとう東京へと辿り着いたのが1952年のこと。

その建民さんと東京で知りあい結婚した洋子さんもまた、苦労の絶えない生い立ちの人であった。
また、国際結婚など珍しかった頃であり、洋子夫人の実家(いささか複雑な)から歓迎はされなかったという。

それにしてもこの時代にあって、国籍、民族、言葉や文化の相違からくる無数の障壁の一々に堂々と立ち向かい、常に正面突破してゆく洋子さんの力強さ、包容力、そしてなにより明るさには、読んでいて只もうひたすら圧倒されてしまう。
まさに、この人あっての「中華料理の神様」陳建民であり、四川飯店であったのだと言えるであろう。

前進あるのみの素晴らしく前向きな性格、ざっくばらんで誰とも直ぐに打ち解ける、明るく屈託のない人柄の洋子さんは、放浪癖の一向に治まらぬ建民さんを巧みに(時に強引に)操縦し、遂に「四川飯店」を興し東京の地に根を下ろさせる。
建民さんはやがて「麻婆豆腐」に代表される四川料理を日本風にアレンジして広く紹介する他、当時始まったばかりのNHKの料理番組では講師を務め全国的な人気をはくした。(私、生憎とこの番組は未見であります)

建民さんにとって洋子さんはなんだったのか、二人はどんな夫婦であったのか。 それは、本書のあとがきに記された、お二人のご子息であり後の「料理の鉄人」陳建一さんの言葉に集約されていると思うので、お終いに引用させて頂きます。
 
 
「母あっての親父だったと思いますよ。 もし母と出会ってなかったら、結婚していなかったら、陳建民の成功はなかったとはっきり言える。 それを親父はよくわかってたから。 ママは神様がくれた宝物ですっていうのが、親父の口癖だったものね」
 
 

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Comments

読んでみたくなる本ですね。
最後の言葉に集約されているような気がします。いい伴侶を得ることは、ほんと神様からのプレゼントですよね。
ノーベル賞を受賞された4人の方も、奥様の支えがあったから・・・なのでした。scissors

Posted by: みい | October 11, 2008 at 10:03 AM

>みいさん

かつて陳建民さんが講師を勤めたNHK「今日の料理」では、日本語があまり上手でない陳さん独特の可笑しな語り(陳語?)で解説されて、それがまた視聴者にウケたんだとか。 テレビがまだ白黒だった時代のことです。 見てみたかったですね。(^ァ^)

晩年は夫婦それぞれ闘病生活を送るなど、本書の終盤に至ってちょっと辛い場面があったりもするのですが、洋子さんのパワフルさにはやはり圧倒されますね。

ノーベル賞受賞の四人の先生方も、建民さん同様愛妻家のようですね。(^ァ^)

Posted by: もとよし | October 11, 2008 at 11:31 AM

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