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July 29, 2008

暑気当

 
炎天燃えるが如く、暑いあつい日々が続いております。 皆様方には、如何お過ごしでしょう。
私は、キテます。
蒸し暑さにやられてしまって、すっかりバテてております。
そりゃあ、常日頃から熱いのはニガ手ですと標榜してはいますけれど、それにしても、こんなにまで弱かったのかと、我が身体の事ながら驚くばかり。
お陰で、てんで意気が上がンない。

さて、オールシーズン蚊の飛んで来る我が家ですけれど、どうしたわけか、このところ気温の滅っ茶高い割りに、それほど多くは蚊が現れません。
あんまり暑いと、蚊って却って湧かないものなんでしょうか?

とはいえ、まったく飛来しないということでもないので、蚊対策は講じる訳です。
このところ、蚊取り線香は「アース渦巻香 ジャンボ缶」と言うのを愛用しています。
その名の通り、小さなバケツみたいな巻に、通常のものより一回り大きな蚊取り線香が50巻入っています。
これだと一個焚けば一晩は持つし、その割りにリーズナブルなのがありがたいのです。
でも、大きい分カトリーヌには収まり切らず、仕方なしに付属の香皿に載せて焚いてます。
 

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July 26, 2008

おちおち死んでられまへん

 
 
  おちおち死んでられまへん
    <斬られ役ハリウッドへ行く>


    福本清三、小田豊二著

        集英社文庫  2007年


不肖なんであれ、その道一筋に生きて来たプロと言う存在に弱い。 今風に言えば、リスペクトする傾向にある。

己の役どころを心得ていて、やるべきことをきっちりと勤めあげる。 必ずしも陽の当たらない位置居たりするけれど、でも、その人が居なければ始まらないプロ。

本書の著者、東映京都撮影所に大部屋俳優として半世紀近く勤める福本清三さんもそんなプロ中のプロの一人である。
長年に渡り映画、テレビドラマに脇役として出演して来た福本さん。 中でもテレビ時代劇のラスタチ(番組クライマックスの大立ち回り)では、主演俳優に絶妙の呼吸で斬り掛かり、逆にバッサリ斬り倒される、そんな斬られ役の第一人者である。

本書は、福本さんが柔らかな関西弁で語るのを、小田豊二さんが聞き書きする形式で通しているため、福本さんの腰の低い、そしてユーモラスな人柄が直に伝わって来る。

特筆すべきは福本さんの慎ましさ、礼儀正しさ、優しさ、なにより感謝の心。
役者と言う仕事につき物の華やかな、敢えて言えば虚飾のイメージに反して、驚くほど謙虚で実直なのです。
かつての映画黄金時代から、長年に渡り脇役一筋に勤めてきたこの役者さんのその人生観、斬られ役としての経験談からは、愚痴や他人への悪口が一切出ない。 この本は、だから読んでいて、実に気分が良い。

長年に渡り、名斬られ役で鳴らした福本さんのファンは少なくなく、近年は東映太秦映画村で催される殺陣ショーでも活躍している。

        ▽▲▽▲▽▲

2002年。 定年を間近に控えた福本さんに、思いも掛けぬビッグチャンスが廻って来た。
トム・クルーズ主演のハリウッド作品、「ラスト・サムライ」への出演オファーである。
福本さんに振られたのは、主人公の警護/監視役を忠実に勤める寡黙な老侍、サイレント・サムライ役。

以下の引用は、40年を超える大部屋俳優人生の文字通りクライマックス・シーンとなった撮影風景。
映画「ラスト・サムライ」ご覧になった方もおられると思います。 出来得れば、映画のシーンを思い起こしながら読んでみて下さい。
 
 
 <<< 引用はじめ
 
一番印象に残っているのは、私がトムさんを武士の家に案内するシーン。私が先にあがって、そのあとをトムさんが続く。私はこの時、胸の奥がじーんとしましたわ。
だって、そうでっしゃろ。
このシーン、トムさんを私が案内するんでっせ。
トムさんと私、ふたりだけですわ。ただ、歩いていく。
ただそれだけのシーンなんやけど、これ、私にとってはものすごいことなんですわ。
わかりますか。これまで私がやってきたことと言えば、スターさんとからんだシーンは立ち回りやないですか。それがただふたりだけで歩くんですわ。それも、世界のトム・クルーズと。
五台のキャメラがトムさんと私を追うんでっせ。
こんなこと、あってええんかいなって思いましたわ。
 
 引用おわり >>>
 
 
万感胸に迫りますね。
福本さんの謙虚な姿勢はしかし、ハリウッド・デヴューを飾った後もまったく変わらない。
そこのところが、なにより凄いと想う。
 
 

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July 24, 2008

書のこころ

 
 
  書のこころ

     榊莫山 著

        NHKライブラリー  1996年


昔から、どうしてもその世界に立ち入ることが出来ず、もう悔しくて堪らないものの一つに書がある。
そこに宝物が埋まっていると判ってはいるのに近づけない、判らない。 と言うか、そもそも書かれている字をマトモに読むことすら叶わない。
生涯近寄れないまんまなのかなあ、などと想うと切ないばかりである。

ほんの数十年前までは、必須の教養であった書が、今ではごく一部の学者、好事家でもなければまるで縁のない、判らなくて当たり前のものになってしまった。
千数百年続いた書の伝統というものが、今日ここに絶たれようとしている。

        ▽▲▽▲▽▲

本書「書のこころ」は、元々NHKのテレビ番組「人間大学」(1992年放送)のテキストとして用意されたもの。
私は、残念ながらその番組を見ていないのだけれど、番組から派生したこの本を何気に読んでみたら滅法面白かった。
もう、何年も前に買い求めた本なのだけれど、爾来折に触れ手にする、愛読書の一つとなっている。

本の内容はと言えば、書家の榊莫山さんが、平安の昔から近代まで、書の歴史に残る名筆の数々を紹介し、書家それぞれの人生を語ると言うもの。
専門用語に頼らず、また章一つひとつが短いので、とても読みやすい。
書の図像も豊富に掲載されているけれど、新書サイズの簡易な装丁の本なので、印刷の方もあまり良い状態ではなく、実のところ、見て良く判ると言うものではない。
でも、莫山先生の型にはまらない解説がとにかく痛快で、何度読み返してみても面白いのである。

        ▽▲▽▲▽▲

王羲之の書法に学んだ生真面目な最澄の「久隔帖」に、それに飽き足らず当時のニューモード、顔真卿の書法を取り入れた空海の「灌頂記」。
それぞれ愛弟子に宛てた手紙だったり、イベントのためのメモ書きだったりする。 つまり公式の作品ではない、極々プライベートな文書なのだけれど、そういう、気取らず「何気に書いた」ような書が後世に残り、傑作として高く評価されているというのが実に面白い。

平安の宮廷に生きた書家、小野道風の「屏風土台」は屏風に漢詩を書いた際の、これも下書きである。 (道風って、柳の葉めがけてジャンプする蛙と、傘をさしてそれを見下ろす貴人の図の、アレですね)

そして、そのマイペースな性質ゆえ宮中では浮いた存在であった書の天才、藤原佐理が関係各方面へ向け書きまくった華麗なる「詫び状」の数々。

時代は下って日蓮や一休ら、激しい生涯を送った傑僧の書からは、圧倒的なパワーを感じさせられる。

江戸時代の名僧白陰、仙厓、慈雲ら。 共通するのは、時の権力におもねらず、己の信じる道のみを往く、その姿勢を生涯貫いたこと。

良寛が出て来ればもう幕末も近い。 俗世と関わりを持たず、自由闊達に生きた良寛さまへの、莫山先生の入れ込みぶりがなんとも微笑ましい。

明治の男と言えば、気骨ある人というイメージがあるけれど、莫山先生によれば、書に関しては無気力、安穏に陥っていると言う。
その中にあって硬骨漢は、マリア・ルース号事件で諸外国に向け気を吐いた副島種臣。 書と近代史が結びつく。

そして石川啄木。 ここまで来て、やっと現代に通じるスタイルの字体を見る。 でも、副島種臣の次が啄木とはね。 いきなりセンシィティブになりましたねえ、莫山先生。

昭和に入って會津八一。 またしても気骨の人だ。 そして飄々として生きた熊谷守一。

        ▽▲▽▲▽▲

この本は、もうこれまでに何度も読み返していて、その度に愉しいのだけれど、では書というものが少しは理解出来て来たのかと言えば、依然として判らんちんな私なのである。 もちろん、より一層の興味を掻き立てられはしますけれどね。

本書に収録された書、そして書家のチョイスからは、権威におもねらない莫山先生の人柄や、自由闊達な人生観が伺え、読んでいて誠に気分がヨロシイ。 (だからこそ、何度でも読み返しちゃうんでしょうね)
書が判らなくても愉しめる書の本、と言ったところでしょうか。
書、その豊穣の地平は相も変わらず、自分から遠いとおいところに拡がっている。 書のこころ ふうっ。
 
 

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July 21, 2008

暑中お見舞ひ申し上げます

 
暑さ厳しき折から、皆さまにはくれぐれもご自愛のほど、お祈り申し上げます。

「問はず語り」の更新も、すっかりご無沙汰になっています。
漸く梅雨が明けたのだそうですけれど、まだまだ容赦なく蒸し暑い当地です。
その上、このところ延々だらだらと続けてくれている、近所の道路工事の騒音が煩わしくて堪りませんし、かててくわえて切実なる運動不足と来ては、不快指数は下がることを知りません。

        ▽▲▽▲▽▲

相も変わらず身辺ドタバタしてます、はい。
小泉元首相じゃあないですけれど、「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」であります。
とにかく運動不足なんで、スポーツなど特にやらない身としては、忙しい中でなんとか時間を工面して、散歩でもしてみるかと考えるわけですけれど、最近は外を出歩くことイコール炎天との戦いと言うことになって来てますからね。 散歩は早朝か、それとも夕方にでも出掛けるしかないようです。

        ▽▲▽▲▽▲

折りしも江戸東京博物館で「北京故宮 書の名宝展」と言う催しをやっていますね。
書聖王羲之の最高傑作「蘭亭序」他、書の頂点を極めた大家らの傑作を揃えた、本邦では空前絶後と言えるであろう書展。
私も、漢字文化圏に生まれ育った者の一人として、この傑作群ばっかりは、どんなことがあろうと、なにがなんでも観てやらなくちゃあ、と強く感じ入っています。

でも、行けるかなあ。 

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