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May 17, 2008

田宮模型の仕事

  
 田宮模型の仕事 (文庫版)
 
    田宮俊作著
 
       2000年 文春文庫
 
 
世界に冠たる模型メーカー、田宮模型。
日本はもとより世界中のモデルショップを席巻するTAMIYAブランド。 その社長が書き記した一代記である。
父・初代社長の興した、倒産寸前の小さな模型製作会社を引継ぎ、やがて世界のタミヤへと育て上げた中でのエピソードの数々、模型の世界の素晴らしさを語る一冊。

一体、こういったものは、社の創業○○周年とかで、社員をはじめ関係者や出入りの業者なんぞに配ったりする、というのが一般的ではないだろうか。
長年に渡る艱難辛苦の末、我が社も今日この繁栄をみたる事ができました。 これも一重に関係各位のお陰であります。(とこの辺は気配りも怠り無く) なんてね。 とまれ、本来あまり世に出る性格のものではない。

それが本書、「田宮模型の仕事」では、ジリ貧時代の苦労から、模型屋としての創意工夫、なりふり構わぬ海外突撃取材、そして事業の躍進ぶりに至るまで、活きいきと描いていて、田宮模型とは全く関係のない私が読んでも、滅法面白かった。

子供の頃、一生懸命(まあ、子供なりにですけれど)組んだ、懐かしいプラモデルたち。
どれもみな愉しい想い出だけれど、しかしその陰では、当時少年だった私が想いもしなかった、発売に至るまでの苦心談があったのだ。

プラモデル事業へ参入の当初、その造りやすさから、戦車の模型を開発し始めたというタミヤ。
世界最高クラスの品質を目指し、よりリアルな造型を市場へと提供すべく、社長自ら欧米の軍事博物館への取材旅行を敢行した。
海外旅行がまだまだ不自由な時代に、各地を廻り、残された往事の戦車の数々を徹底的に調べまくって、かつてない精巧なプラモデルを世に問うたのである。
そのハングリーな姿勢は、昭和のモーレツ社員像そのものである。

プラモデルの箱を飾る箱絵の良し悪しは、売れ行きを大きく左右する。
戦記もの挿絵の第一人者、巨匠・小松崎茂画伯との出会いは、風前のともし火にあった田宮模型を起死回生へと導いた。

プラモデルの開発に関わる話しばかりではない。
やがてタミヤは、ラジコンやミニ四駆など、時代を先駆ける商品を次々と発表していった。
また、製品を売るばかりではなしに、長期的にファン層を育成し、ブームを先導していったのである。
このあたり、模型バカに終わらない社長の、卓越した実業家としての貌が伺える。

少年の日、プラモやミニ四駆で遊んだ人には是非ぜひお奨めしたい、夢ある半生記です。
 

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