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February 21, 2008

東京タワー

  
 東京タワー
 
   江國香織
 
     2001年
 
 
二組の不倫カップルが辿る軌跡を、江國香織が淡い筆致で書き綴った小説。 そう、今回は不倫小説です。
このところ続けさま、自分に合いそうもない小説を選んでいる。 何を求めているんだろうか私は。 ま、好いけれど。

ドラマとして、さほど劇的な動きはない小説だけれど、その代わりに構成の妙が光る。
二組のカップルに、くっきりと対称的な関係を取らせているのである。
・男。 どちらも大学生。 研究、サークルなど、ことさらなにかに打ち込むなどしているわけではない。 スマートというか、小奇麗にしていて、でもその他にこれといった特徴はない。
私から見て、彼ら二人には、どうにも魅力を感じられないのだけれど、著者を含めた、対象と思われる読者層(30~40代の女性というあたりでしょうか?)にとっては、こうあれかしと感じる若い男性像に当てはまるものなのかもしれない。
・女。 どちらも中年に差し掛かる年頃。 既婚で子供なし。 経済的には豊かで、夫とも一応上手くいっているけれど、夫婦べったりというわけではない。

如何にもテレビのトレンディドラマめいた(そういうものをあまり見ていない私が言うのもナンだけれど)雰囲気、設定や、小道具の一つ一つなど、それぞれが作品世界を造りあげているのだろうけれど、私にとってはなかなかついてゆき難いものがある。 とまれ、私がこれまでに読んだことの無いタイプの小説である。

もっとも、この二組の不倫カップルの構造はそのままにして、男女の役所を引っ繰り返してみれば、(つまり女を大学生に、男を妻帯者に)互いの社会的ポジションや精神年齢の差、家族関係なども含めて、そのままフツーにありがちな男性視点の不倫小説になり得るのではないか。

間違えてWomen's Onlyのドアを開けちゃって「スイマセン!」、あるいは、あんまり慌てて飛び乗った電車が女性専用車両だった(幸いにも、実際にはしでかしていないけれど)みたいな、ある種バツの悪さが、読んでいる間中ついて廻った。
読んで面白かったかと問われれば、まあ、そうなんだけれど、でも、なかなか素直に読み進めることが出来ない。 どうにも感想をまとめ難い小説であることよなあ。
 

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