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February 24, 2008

天璋院篤姫展

 
 天璋院篤姫展
 
    場所:江戸東京博物館 1階企画展示室
    期間:2008年2月19日(火)~4月6日(日)
 
 
春一番が吹き荒れる中、江戸東京博物館で開催中の天璋院篤姫展を見て来ました。
今年のNHK大河ドラマ「篤姫」とのタイアップ企画であります。

現在第八話まで放送されている「篤姫」。 開始早々から高視聴率を上げているとのことで、さぞ混雑するであろうと覚悟していたのだけれど、午前中の、開館して間もない時間に入ったからなのか、それとも折からの強風で電車の運行に影響の出ているためか、さほど混雑はしておらず、割合にゆっくりと見て廻ることが出来た。

NHK大河の登場人物とは言え、さすが、幕末~明治の人だけに、衣装や身の回り、調度品など、状態良く残っているのに感心する。
嫁入り道具。 奉納の刀。 輿入れの際、薩摩を想い起こすよすがにと、島津斉彬公が篤姫のために誂えた風景画。 香道や貝合わせの道具に見る、呆れるほど精緻な細工などなど。
初めて目にした「錦の御旗」には感涙。
斉彬公や篤姫ら、大河ドラマに登場する人々の書簡も多く、興味深かった。 いえ、当時の草書なんてまるで読めないんですけれどね。

一体、こういう企画展では、その人の持つ薀蓄の差で、どれほど楽しめるかに大きな差が出るわけで、本展では自分の書見力の無さが切ないばかりであった。
でも、篤姫その人の署名が、「敬子」あるいは「あつ」などと記されているのを見つけて、ちょっと感激しましたね。
それにしても、文面ばかりか筆致からも、当人の人となりが後世に伝わってゆく。 書とは奥深くも、コワイものですな。
  

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February 21, 2008

東京タワー

  
 東京タワー
 
   江國香織
 
     2001年
 
 
二組の不倫カップルが辿る軌跡を、江國香織が淡い筆致で書き綴った小説。 そう、今回は不倫小説です。
このところ続けさま、自分に合いそうもない小説を選んでいる。 何を求めているんだろうか私は。 ま、好いけれど。

ドラマとして、さほど劇的な動きはない小説だけれど、その代わりに構成の妙が光る。
二組のカップルに、くっきりと対称的な関係を取らせているのである。
・男。 どちらも大学生。 研究、サークルなど、ことさらなにかに打ち込むなどしているわけではない。 スマートというか、小奇麗にしていて、でもその他にこれといった特徴はない。
私から見て、彼ら二人には、どうにも魅力を感じられないのだけれど、著者を含めた、対象と思われる読者層(30~40代の女性というあたりでしょうか?)にとっては、こうあれかしと感じる若い男性像に当てはまるものなのかもしれない。
・女。 どちらも中年に差し掛かる年頃。 既婚で子供なし。 経済的には豊かで、夫とも一応上手くいっているけれど、夫婦べったりというわけではない。

如何にもテレビのトレンディドラマめいた(そういうものをあまり見ていない私が言うのもナンだけれど)雰囲気、設定や、小道具の一つ一つなど、それぞれが作品世界を造りあげているのだろうけれど、私にとってはなかなかついてゆき難いものがある。 とまれ、私がこれまでに読んだことの無いタイプの小説である。

もっとも、この二組の不倫カップルの構造はそのままにして、男女の役所を引っ繰り返してみれば、(つまり女を大学生に、男を妻帯者に)互いの社会的ポジションや精神年齢の差、家族関係なども含めて、そのままフツーにありがちな男性視点の不倫小説になり得るのではないか。

間違えてWomen's Onlyのドアを開けちゃって「スイマセン!」、あるいは、あんまり慌てて飛び乗った電車が女性専用車両だった(幸いにも、実際にはしでかしていないけれど)みたいな、ある種バツの悪さが、読んでいる間中ついて廻った。
読んで面白かったかと問われれば、まあ、そうなんだけれど、でも、なかなか素直に読み進めることが出来ない。 どうにも感想をまとめ難い小説であることよなあ。
 

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February 16, 2008

潮騒

 
  潮騒

    監督:谷口千吉
    原作:三島由紀夫
    音楽:黛敏郎
    出演:久保明 (新治)
        青山京子(初江)
        沢村貞子(とみ)

           1954年 日本


ちょいとした野暮用があって、以前住んでいた川崎市中原区へゆく。
用事は午前中に済ませたので、午後から、以前ここに住んでいた頃よく訪れた川崎市民ミュージアムに、久々に入ってみた。

折しもミュージアム内の映像ホールでは、昨年亡くなった映画監督、谷口千吉の特集をやっていて、その監督作品のうちの一本、1954年製作の「潮騒」を観ることが出来た。
「潮騒」の映画は今日までに、なんと5本も造られている。


 <製作> <監督>  <新治>  <初江>
1.1954年 谷口千吉  久保明   青山京子
2.1964年 森永健次郎 浜田光夫  吉永小百合
3.1971年 森谷司郎  朝比奈逸人 小野里みどり
4.1975年 西河克己  三浦友和  山口百恵
5.1985年 小谷承靖  鶴見辰吾  堀ちえみ


邦画界の人気コンテンツと言うわけだけれど、その嚆矢となるのがこの54年作品である。 その後、10年を超さずにリメイクされ続けていて、でもここ20年間は造られていない。

鄙びた漁村の風景や、貧しくも地に足が着いた漁師の生活など、明朗で判りやすい作風は、谷口監督の特徴なんだろうか。 二人の前に立ちはだかる、村社会の旧弊さの描写なども、あまり陰湿にならないのが好い。

そしてなにより、主役の二人の瑞々しさに好感が持てる。 新治はひたむきで謙虚な滅茶好い奴だし、フレッシュでしかし浮ついたところのない初江。 脇役陣もしっかりしている。 気骨のある新治の母、とみに沢村貞子。
音楽は黛敏郎。 伊勢湾にフランス近代を持ち込んだ。

最初はうんと地味な文芸作品と想っていたのだけれど、いつしか夢中になって観ている自分があった。
私は5本ある「潮騒」の映画をどれも観ていないし、三島の原作も未読なので、純情一筋な二人(平成の日本にあっては絶滅危惧種に指定されそうな)の恋路をハラハラしながら見守ってしまったのである。
あまり期待せずに臨んだから、余計にそう想うのかもしれないけれど、見終えての満足度の、ものすごく高い映画だった。

この1954年版「潮騒」。 残念ながら、現在のところDVDなどは市販されていないらしい。 この日の上映はフィルムの状態が良くなかったのだけれど、この素晴らしい映画、なんとかDVD化して貰えないだろうか。

思いがけず、ホントに好い映画を観ることが出来て嬉しい。
清々しい気分に満たされて、川崎市民ミュージアムを後にした。
  

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February 13, 2008

おやすみ、こわい夢を見ないように

 
  おやすみ、こわい夢を見ないように

    角田光代著

      2006年
 
 
題名に惹かれて手に取ってみた、角田光代の短編集。
角田作品を読むのはこれがはじめてになる。

どの小説も、身近にあるものへの悪意、ごく私的なものへの憎悪を、ねちねちねちねちと、ひつこく、ひつこく描写したり、とうにふさがった筈の傷口を目ざとく見つけて、強引にこじあけてみたりする。 これまでに読んだためしのないタイプの小説である。 こういうのはニガ手だな、とつくづく想った。

ちっぽけな悪意を抱えて日々を送る登場人物ら、そういうこと自体を特段奇異とも想わないけれど。 でもそんな露悪趣味ひとつで、短編集一冊通してしまう気かなあ? なんて呆れつつ、その毒気にはまた惹き込まれるものがあって、とうとうお終いまで付き合ってしまった。

読みはじめる前はゆめ想わなかった後味の悪さから、読後、気持ちの整理に困ってしまった一冊。
 

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February 11, 2008

メコンウィスキー

 
タイのお酒と言えばこれ、メコンウィスキー。
近所のイオン津田沼店で安売りしていたのを、コワイものみたさについ買ってしまった。
ネットでその悪名(!)については聴き及んでいたけれど、未だ味わったことがなかったのである。

なんでも、あっちに滞在した人が、お酒と言えばシンハービールの他はこれくらいしか手に入らなくて、閉口したそうな。 あまり、日本人の口に合う飲みものではないらしい。

タイでは至ってポピュラーというこのお酒。 主原料は米で、それを蒸留した後にカラメルで色付けしてある。 だから、見た目は普通に琥珀色だし、ウィスキーを名乗ってはいるけれど、でもスコッチとかバーボンなどとは全く系統を異にするもの。

スクリューキャップがすごく柔らかくて、まともに開けることが出来ず、また一度開封すると、もうちゃんとは閉められない。 この辺からして、そこらのサケとは違っていて、ある意味楽しいゾ。

グラスに注ぐとセメダインのような臭いがツンと来た。 そして、口に含むと少うし薬臭く、妙な甘さがついて廻る。 甲類焼酎の思いっきり安っぽくクセのあるやつに、カラメルを加えて甘い風味とウィスキーぽい色をつけたってところだろうか。 如何にもの安酒って感じで、やり過ぎれば二日酔いは必定。

でも、私はそう嫌いではないよ、この味わい。 タイらしく仏像デザインのラベルを肴に、ちびりちびりと味わえば、なかなかに興趣がある。
 

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February 05, 2008

NHK大河 篤姫

 
NHK大河ドラマ「篤姫」。 とりあえず見てみっか、くらいな気分で見始めたのが、いつしか、しっかりとハマってます。

第五回まで来た、これまでのところは青春編という趣で、この時代の幕府や薩摩藩の状況を説明すると共に、後に維新の主役となる人々の若き日々を描く。

於一(のちの篤姫、天璋院)に宮崎あおい。 無邪気な笑顔が思いっきりカワイイです。
お姫様ものの王道を往くお転婆ぶりで、周囲を掻き回すも、様々な階層の人々との出会いを体験し、世の中について、人生について学んでゆく。 「篤姫」序盤はそんな於一の青春ストーリーというところ。 なかなかにハッチャケた演出もあって、ギャグも愉しめる。

於一ら若者たちを取り巻く大人たちが好い。 島津のお殿様(斉彬)の懐深さ、調所広郷の奥深さ、堅物だが好人物の父、賢い母、主家想いな乳母の菊本。

そして若者たち。 世に出る前の西郷や大久保など、後に維新の立役者となる有為の下級武士ら。
そして、彼らと交わる肝付尚五郎(瑛太)、のちの小松帯刀。 この人が「篤姫」のもう一人の主人公になる模様。 今のところ文武共にパッとせず頼りない尚五郎だけれど、この時代にあって人の身分に拘泥しないという美質を持つ彼は、下級武士たちとの間にコネクションを広げてゆく。
若者たちのなかでは、西郷吉之助(小澤征悦)がすごく好い。

音楽もなかなか好い感じです。 テーマ曲など、大河にしては随分と爽やかな印象で、クリムト風のタイトルバックとは、ちと合わない気もするけれど、でもなかなかの佳曲で、まずは一年つきあってゆけそう。
 

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