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December 20, 2007

ALWAYS 続・三丁目の夕日

 
 ALWAYS 続・三丁目の夕日
 
  原作:西岸良平
  監督、脚本:山崎貴
  出演:吉岡秀隆
      堤真一
      薬師丸ひろ子
      小雪
      堀北真希
 
       2007年 日本
 
 
その当時を知らぬ世代が見てさえ、何故か郷愁を覚える昭和三十年代という時代。 その当時を生きる庶民の哀歓を、VFXを駆使して美しくリアルに描き、大ヒットをみた前作の続編であります。
 
主要キャスト(と端役の何人か)が前作と同じなのが嬉しい。 懐かしい三丁目の人々に再会した気分にさせられるから。
子役の二人が大きくなってしまって(子供さんの成長、それ自体は目出度いわけですが)、それぞれの配役には、いささか旬を過ぎているかもしれない(特に淳之介)。 それでも、あえて前作と同じキャストを押し通したのは英断でしょう。
 
前作が、原作のマンガのエピソードを巧みにつないで成り立っていたのに対して、今作では、前作の内容を引き継ぎつつも、淳之介の親権争いから茶川先生の芥川賞挑戦に至る一本の流れがあって、ドラマ性を高めている。
茶川先生は、ヒロミと淳之介との暮らしを夢見て奮起する。 一方、怒髪天を衝く昭和の雷オヤジ、鈴木オート社長はかつての戦友を懐かしみ、そして奥さんは初恋の想い出を秘めた日本橋を歩むのである。
 
その日本橋。
前作と同様、旧き好き時代を描くという姿勢を貫いたためであろう。 この映画に描かれる日本橋の上には、未だ首都高速道路が見当たらない。 (「もうすぐ、この上に道路が出来るんだぜ」なんて、無邪気に喜ぶ一平) 私が初めて目にする、日当たりの好い日本橋。 その光景は、前作で瞠目させられた、建築中の東京タワーに負けないくらい新鮮だ。

今、中央区の日本橋を渡るとするなら、その頭上すれすれを横切る、首都高速道路の姿を見上げて嘆息する破目になる。 高度経済成長期、オリンピックを前に急造された、この高架のあまりに強引なレイアウトは、下手な現代美術などよりも余程、あの時代の狂気を今に伝えていると想う。

映画のラスト。 出来得れば、竣工して間もない東京タワーの展望台から見下ろす、昭和三十年代の都内の俯瞰を、CGで精緻に再現して欲しかったところ。
高層建築の未だ一つもない(東京タワーを除いて)頃の東京。 それは、私が切に眺めてみたい、しかし今では決して見ることの叶わぬもののひとつなのだ。

実写版の「三丁目の夕日」。 東京オリンピック絡みで、もう一作くらい造れそうな気がする。 開会式の興奮など、三丁目の人々の視点で見てみたいではないか。 でも、ダメか。 なにしろ、その頃には首都高速が完成して、変わり果てた様子の日本橋を見届けねばならないもの。 想い出はあくまで美しくが、この映画のお約束なのだから。 三丁目の世界はここまで。
 

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Comments

ご覧になったんですね。
私は基本的に映画は自宅という、本格派に言わせれば外道鑑賞派なので、この映画も衛星放送鑑賞になると思います。
でもこの映画は楽しみです。

>この高架のあまりに強引なレイアウトは、下手な現代美術な>どよりも余程、あの時代の狂気を今に伝えていると想う。
もとよしさん、巧いことおっしゃいますね。
なるほど、その通りだと思います。

狂気を伝えるだけならともかく、実際の使い勝手も最低というオマケまでついているものね。
首都高はさ。

Posted by: 晴薫 | December 21, 2007 at 09:33 PM

ほんと、夕日のぬくもりのような、温かくて、ちょっとおかしくて、ホロリとさせられる、そんな感じでしたね。
続編は、う~ん見てみたいけれど、もとよしさんのおっしゃるように終りにしましょ(笑)
これからも、風景はどんどん変わっていくのでしょうね。こわいですね!

Posted by: みい | December 21, 2007 at 10:06 PM

>晴薫さん

三丁目で培ったVFXのノウハウを生かして、高度成長期を舞台に、その功罪を振り返ってみる映画も造れそうですよね。
まあ、見て愉しいばかりではない、痛し痒しの内容になりそうですけれど(^^ゞ、十分意義のある企画って気がします。 交通戦争とか公害とか・・・・重過ぎてシャレにならんか。orz

Posted by: もとよし | December 22, 2007 at 12:20 PM

>みいさん

今回も、背景にさりげなく、ノスタルジックな映像満載でしたね。 プロペラで飛ぶ旅客機。 昔のこだま。 映画館の熱狂。 お風呂屋さんの風景は、この当時の生活を描くのには、やはり不可欠。
続編はともかく、VFXを駆使しての、古い時代の情景をリアルに描いた映画が増えて来るかも、ですね。 楽しみです。(笑)

Posted by: もとよし | December 22, 2007 at 12:22 PM

はじめまして。
私の知らない30年代のこの映画ですが、とても心温まる気持ちになります。なんだか自分が生きた時代ではないのにこんなに懐かしくなるのは、この映画が持つ力なのかもしれません。
また この三丁目の世界にお邪魔したいので、個人的にはもう一作作って欲しいなぁ^^

Posted by: yuko | December 22, 2007 at 01:55 PM

>yukoさん

おいでませ、「問はず語り」へ!(^ァ^)

私の場合は、見知っているというのではなくて、微かにその時代のイメージを持っている、という程度なんですけれど、やはり心温まる気持ちがしますね。
旧式のテレビや洗濯機は、なんとなく覚えています。(^^ゞ
近所に合った、茶川商店のような駄菓子屋さんのことも・・・・子供の頃の私は、そのお店を(何故か)「金魚屋さん」と読んでいた筈。

>個人的にはもう一作作って欲しいなぁ^^

そうですね、上であんなコト書いてますけれど、もしも「続々・三丁目~」が出来たら、私も喜び勇んで見に行っちゃうと想います。(^^ゞ

Posted by: もとよし | December 23, 2007 at 05:23 PM

もとよしさん~こんにちは!
この前の記事(最初の方の3丁目の夕日の)も、密かに拝見していましたよ~☆
私は続編の方が、面白く見れちゃいました♪
最初の方のは、小雪が悪いヤツなんじゃないか・・?きっと裏切るんだろうな、などと、勝手に邪推して見てたので、最後の方まで見て、なんだー良い人だったんだぁ・・・と。
深読みし過ぎて、安心して見ることが出来なかったんです。
続編は、最初のお話で、どんなキャラなのか、良く解っていたし、登場人物みんなに愛着が湧いてしまっていたので、ただただ、嬉しかったです。

東京オリンピックを題材に・・・っての、良いですね~☆
私は全然記憶には無いんですが、大阪の万博とかってのもありかな~、あと出来たら、もうちょっと遡って(遡り過ぎかぁ・・)札幌オリンピックだったら、記憶が少しあるんだけどなー(^O^)

Posted by: latifa | December 25, 2007 at 10:00 AM

>latifaさん

「三丁目~」の世界からはちょいと離れそうですけれど、その後の昭和史ってのも、VFXの力を借りて、見てみたいモンですね。

>大阪の万博とかってのもありかな

お、好いですねえ。(^ァ^) 大阪万博を舞台にした映画。 月の石ぃ~! 動く歩道ぉ~! 高度成長期の上げ潮気分で行きましょう。(笑)

>札幌オリンピックだったら

あ~!(^ァ^) ジャンプ70メートル級の金銀銅!!!
「虹と雪のバラード」なんか聴こえてきたら、泣いちゃいますよ、私。(笑)

Posted by: もとよし | December 25, 2007 at 11:16 PM

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Tracked on December 25, 2007 at 09:53 AM

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