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December 02, 2007

ALWAYS 三丁目の夕日

 
 ALWAYS 三丁目の夕日
 
  原作:西岸良平
  監督、脚本:山崎貴
  出演:吉岡秀隆
      堤真一
      薬師丸ひろ子
      小雪
      堀北真希
 
        2005年 日本
 
 
私が未だ親元に暮らしていた学生の頃、居間のTVで、母親と一緒にドラマや映画を見るのがニガ手であった。
なにしろ母親は、TVを見ながらあれこれと感想を述べるし、一方の私は、のめり込んで見るタチなので、母親の言葉が一々五月蝿くて溜まらず、終いには怒りだすこともしばしばであった。

2005年の劇場公開時に大ヒットし、今また続編が上映中の「ALWAYS 三丁目の夕日」。 この映画はCGを駆使したかつてない映像のリアルさでもって、その冒頭から、見る者をして昭和三十年代の世界に連れ去ってしまう。 私はこの時代を見知っているわけではなく、時代の残り香をかすかに覚えている程度だけれども、「ALWAYS」のタイトルが出た時点で、すっかり感激してウルウルきてしまったよ。

私は今、この映画を、本当は亡き母と見てみたかったものだと、切に想う。
一緒に見て、そして好きに語って欲しい。 あの頃はみんなこうだった・・・結婚した頃に住んだのがあんな場所だった・・・・・・・・・・・・大阪はこうやなかった・・・あんたらも、ああいう処で生まれたんやで・・・幾らでも、好きなだけ喋って好い。 怒らずに、みんな聴くからサ。

聴くところによれば、この「ALWAYS 三丁目の夕日」。 映画館で上映中は、客席での話し声が多かったのだそうな。 私は、客席での私語については、とりわけ耐えられない方なのだけれど、でも、この映画に関しては、こればっかりは、そういう映画なんだと想う。 過ぎし日を懐かしみ、しばし感傷に浸る。 そんなための(最先端の技術を駆使した)映画があっても良い。

緻密に再現された、昭和三十年代の東京の街並み。 取り分け、建築途中で半分までしかない東京タワーの映像が、もの凄いインパクトである。
この作品について好く言われるように、想い出は美しくとばかり、昭和三十年代の世界が、実際よりも美化されているきらいはある。 ドラマと言うよりも、昭和三十年代を舞台にしたファンタジーとでも言うべきかもしれない。
でも、批判はあるかもしれないけれど、現存する古い町並みでのロケや、往事の記録映像ではない、造りものの、セットやCGで造りこまれた虚構の世界だからこそ、アソビ心が活きるのだと想う。

茶川先生を演じる吉岡秀隆は、髪かきむしるショボクレ加減が見事なハマリ役。
鈴木オートの社長に堤真一。 昭和のカミナリオヤジという性格設定は、原作とはまったく異なる。 この人については、「ローレライ」での悪役の印象が強かったけれど、ここでは短気でコワくて、でも人の好いお父さんを好演する。
その奥さん役に薬師丸ひろ子。 クリスマスの夜、眠っている一平の枕元にこっそりプレゼントを置いて、階下に引き返す社長の背中に、そっと添える手が好い。 それからラスト間際、上野駅に向かって走り出すオート三輪の荷台に立って、運転席の屋根をバンバンって叩く手も。 母の手、妻の手の力強さ、暖かさに参った。 (ついでに言うと、この後、走ってゆくオート三輪の、テールランプがあまりにも赤く輝く、そのギミックが心に沁みた)
子役にも人を得た。 小柄な一平役、小清水一揮クンの利かん気。 そして淳之介役、須賀健太クン「万年筆です」。 こんなに喜んでくれる、プレゼントの送り主になってみたいよね。

もしもし・・・・こちら二十一世紀です。
一平くん、淳之介くん。 今なら五十代のオジサンってところですね。 一平くんの夢見た五十年先の夕日は、あの頃と変わらず、綺麗に照り映えています。 更に五十年後の夕日は、見る人の目に、どんな風に映ることでしょう。
 

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Comments

ホント、心に滲みる良い映画でしたよね。
原作と違うところもありましたが、演技陣の力が優りました。

>本当は亡き母と見てみたかったものだと、切に想う。
こういう思いは伝わると思います。

>三十年代の世界が、実際よりも美化されているきらいはある
ウチのオフクロは、コレ言っていました(笑

Posted by: 晴薫 | December 02, 2007 at 07:08 PM

>晴薫さん

鈴木オートの社長は、原作とは大分異なる性格ですけれど、昭和の父親像として、ああいうカミナリオヤジを出してくるところに、映画の作り手の主張を感じさせられますね。

六さんが女の子になったのは、流石に驚きました。(^^ゞ

居酒屋の女将とヒロミの役割を一人に託して、更に茶川先生とのロマンスに持っていったのは、考えたなって感じです。(笑)
原作とはいろいろと異なる、登場人物の設定でしたけれど、成功していたんじゃないかと思います。

Posted by: もとよし | December 02, 2007 at 09:48 PM

こんばんは。
 続編は未だ観ていませんが、行きたいなと思っています。いい映画だと思います。
古き良き時代の人たちの、生活、なんだか懐かしくて心に沁みますね。その時代に生きてなくても心で感じますね。
現代の便利過ぎる、物の溢れた時代にはない、なんだか暖かいものを。映画だから美化されているとしても。

今は亡きお母様も、多分もとよしさんの隣で観ていたのかもしれません。きっと。

Posted by: みい | December 02, 2007 at 11:15 PM

>みいさん

その時代に暮らしていなくても、不思議に懐かしいという感覚を各世代が共有出来るってのは、面白いモンですね。(笑)
昭和三十年代というのは、旧き好き日本から、現代社会に至る通過点のような位置にあるのでしょうか。

当時の三種の神器の一つ、電気冷蔵庫を買うのと同時に、旧式の氷を入れる冷蔵庫が無残に捨て去られる場面など、そのことを象徴しているんじゃないか、なんて思いました。

Posted by: もとよし | December 03, 2007 at 12:24 PM

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