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November 12, 2007

ハリー・ポッターと賢者の石

 
 ハリー・ポッターと賢者の石
 Harry Potter and the Philosopher's Stone
 
   J.K. ローリング著
   J.K. Rowling

   松岡佑子訳
 
      1997年 英国
 
大ヒットをみた英国の児童文学を、ようやく今頃になって読んだ。
いざ本を手にしてみて、想いの他ぶ厚いのに驚く。 小さな手には、とりわけずしりと持ち応えのある重みではないだろうか。
それにしてもこのボリューム感。 面白くてたまらない物語が、読んでも読んでも終わらない、というのは、人生の至福の一つにあげられると想う。 子供の頃、ロフティングのドリトル先生を夢中になって読み漁ったことを想い出す。

※幼い頃に魔法使いの両親と死別し、意地悪な叔母一家に育てられた主人公ハリーが、十一歳で魔法学校に入学する。 この「賢者の石」では、その全寮制の暮らしの一年目を描く。

小説の全篇に渡って、魔法に関するプロットや小道具が盛り沢山。 それらはどれも古くから伝わる伝統的なもので、新しいところはこれっぽちもなさそうである。(この道に詳しくないので、ハッキリとは言えないのだけれど)
伝統に守られて強固な骨組みと、奥深い陰影を得た物語世界。 時折垣間見られるグロな描写は、怪奇小説好きの英国ならではのことか。

主人公ハリーと、同じ寮に暮らす仲間は、イタズラ好きでシラケとかユトリなんぞとは無縁の、誰もみな気持ちの好い連中ばかり。 一方、敵役の寮もあって、そこにいる子はみんなズルくて意地悪と言う設定。
こちとら、こういう善悪の単純過ぎる構図に、素直に共感出来るような歳でもないので、いきおい客観的に、子供たちの騒ぎ遊ぶのを傍で見守るオトナと言う気持ちになって読み進める。

どの部分も面白くて読ませるんだけれど、お終いの大逆転は、ちと気に入らない。
こういうのは、オトナの読者としては、無邪気に喜んでいられませんよ。 キミたちは、どうして仲良く出来ないの? みんなあいつらがワルイ、果たしてそれだけで済ませてしまって好いのかな? なんて、説教の一つも垂れたくなってしまうではないか。

あゝ、もしも子供の頃にこの物語と出会うことが出来ていれば、どんなにか無我夢中になって読めたろう。 などとぼやかざるを得ない。
1997年の出版ということで、もちろん時間的に無理な話しなんだけれど。 こんなに面白い本があって好かったね、今の子供たち。

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Comments

私もそう思います
ハリポタは何度読んでも楽しいです

Posted by: モモタロス | November 13, 2007 at 06:43 AM

>モモタロスさん

おいでませ、問はず語りへ。

「ハリー・ポッターと賢者の石」、好い本ですね。 これは私も繰り返し二度読んでみて、物語世界がよりハッキリと把握出来ている二度目の方が、ずっと愉しめました。

そして今、「~秘密の部屋」の二度目を読んでいるところです。
この小説は、当人がいつ頃読むかで、受ける印象が替わって来そうですね。 時間をあけて再読、再々読するもまた好し、と。

Posted by: もとよし | November 13, 2007 at 07:32 PM

ネット知友にハリー・ポッターを読まれているかたが結構いるんですが、もとよしさんもそうだったのか(^^;)。読み始めると絶対に面白いんだよおおお!!と職場の同僚も力説してたりするんですが、私はファンタジー系がもうひとつ好きじゃないせいもあるかも。とは言いながら、映画のロード・オブ・ザ・リングも、いったん見始めるとやっぱり続きが見たくなるもんね。もとよしさんがおっしゃるように、自分がまだ小中学生くらいの頃にハリーポッターのような本が出ていたら喜んで読んでいたかも知れないなあ。

Posted by: 屁爆弾 | November 15, 2007 at 08:44 PM

ハリポタ、面白いですよ。最初は、「はいはい。」ってな感じで読んでたんですが、いつの間にか夢中です。
私はハードカバーが持ち歩くのに重いため、文庫(ではないけどそれに近い)が出るのを待って、買ってます。でも、たまに、2分冊にして欲しい、と思います(^^;)

特筆なのは架空の競技(あれ?名前度忘れ)の実況中継でしょうか。おそらくポロ競技が下敷きだとは思うんですけど。

4作目が文庫もどきになっていたのを先日発見したので、購入しようかと思います。でも、もう前作から1年以上経ってしまい、話のつながりを忘れてしまっているので、もう一度読み返してから買おうかとも思います。

Posted by: らいちょう | November 15, 2007 at 10:38 PM

>屁爆弾さん

児童文学だからってことも、あるのでしょうけれど、ファンタジー的な要素は然程感じられませんでした。
むしろ、伝統と格式の全寮制魔法学校を舞台にした、学園ドラマの英国魔法界版って感じですね。

これがシリーズの第一巻ながら、既に作品世界がしっかりと出来上がっているのと、あちこちに伏線が張り巡らせてあって、児童向けとは想えない程、緻密な造りになっているあたりに魅力を感じています。
機会がありましたら、どうぞ。(^ァ^)

Posted by: もとよし | November 17, 2007 at 02:24 PM

>らいちょうさん

ハリーポッターのハードカバーは、デカイし重いしで、持ち運びには滅法不便ですよね。(^^;
でも、こんな厚い本を子供たちが喜んで読むのは、読書の習慣を身につける意味で、とっても好いのではないかと想います。

本文で、登場人物の善悪に白黒を付けすぎと文句を垂れましたけれど、(^^; みんな魅力的です。
ハリーの相棒ロンの、始終ハリーの足を引っ張りがちだったのが、クライマックスの魔法のチェス試合で、自分を犠牲にしてハリーにチェックメイトさせるところなど、クールで格好イイですな。

>特筆なのは架空の競技(あれ?名前度忘れ)の実況中継でしょうか。

クィディッチですね。 現在、第二巻「~秘密の部屋」まで読み進んだところですけれど、未だにそのルールが判りません。(笑)
仰るとおりポロを連想(馬を箒に替えた)せて、こういうところにも英国らしさを感じます。

Posted by: もとよし | November 17, 2007 at 02:25 PM

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