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September 30, 2007

嫌われ松子の一生

 
  嫌われ松子の一生
 
    山田 宗樹著
 
       2004年
 
 
小説の冒頭、女教師として故郷の中学に赴任して間もない松子が、悪徳校長に手も無く騙されてしまうあたりから、早くも嫌な予感はあった。

その後、自分の担当する生徒のしでかした、ある事件に対する、身の振り方のマズさから、故郷を飛び出した松子。 あとは、転落に次ぐ転落のモノスゴイ人生を送る。 それにしても、こんな転落の連続ってアリだろうか。 これじゃ転落劇のパロディだよ。

根っからマジメで努力家の松子であった。 小学生の頃から優等生で通し、やがて大学に進み中学の教師になる。 その勤勉さは、皮肉なことに、転落してゆく間も失われることなく、例えどんな仕事に就こうとも、常に抜きん出た成績を示す。 けれど、そうやって成功を掴みかけた矢先、人生の折々の分岐点で、必ず悪い方を選んでしまう松子と言う人。

依存症。 ようやく自分の進むべき道を見出し、上手くゆきかけても、その傍からオトコへの依存に走ってしまう。 毎度毎度これなんだから、読んでいてもう、タマラナク歯痒いです。 だからダメなんじゃないかって、松子を熱く諭してやりたくなってしまう。
あんまりな転落の連続に、もういっそ、堕ちるところまで、堕ちてみせてもらおうじゃないのって気になってしまった。 こういう奇妙なカタストロフの積み重ねが、作者の狙いだったんだろうか。

依存し、その度に裏切られ、を繰り返した松子。 晩年、もう一切のことに感心を失ってしまい、時間だけが矢のように過ぎ去ってゆく。 その姿が憐れでならない。
決して、面白くなかったわけじゃない。 でも、後味の悪いことについちゃ、天下一品の小説です。

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September 27, 2007

黒龍

 
 
帰宅の途上、あんまりお腹がすいてしまって、ふらりと立ち寄ったのが、イオン津田沼ショッピングセンター1階にあるフードコート。 ここは外食系のいろんな店が軒を連ねていて、こんな時には、とにかくありがたい存在である。 この日私が入ったのは、熊本ラーメン黒龍と言う店。

いつもならば、お客さんの絶えない人気店なのだけれど、なにしろもう十分過ぎるくらい時間が遅いせいなのか、この時は私が唯独りの客である。

熊本ラーメンって、好く判らないのだけれど、大雑把に豚骨ラーメンの一つと理解して好いのかと想う。
丼は意外に小ぶり。 麺は細くて、ほとんどカールしない。 こういうのが熊本スタイルなんでしょうか。
お好みで、茹で具合を指定することが出来る。 私は大概の場合、麺は硬目を好むけれど、こと黒龍の場合は、ノーマルの茹で加減が一番合っているみたい。(忘備録として記すものなり)

味は・・・・・なかなか旨かったです。 スープの濃い目なのがワタシ好み。 具が豊富で、どれもなかなか美味しいのにも感心した。 そういえば、私は豚骨とはあんまり相性がヨロシクない筈なのだけれど、ココのは十分愉しめる。

さて、麺をあらかた平らげた段階で、スープも具も、まだまだ残っているではないか。
さあ、こうなると替え玉が欲しくなる。 なにしろ麺が若干少なめだったし、スープは濃い目。 さらに具も美味しかったしで、まぁ、必然的にそういうことになるよね。
なんか、店側にしてやられたり、と言う気がしないでもないけれど。 バラ銭をカウンターにパチリと置いて、「替え玉!」と声を掛ける。 ほんの少し豊かな気分になる一時。
 

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September 24, 2007

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

 
 
 
 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
 Evangelion: 1.0 You Are (Not) Alone
 
 
  総監督:庵野秀明
  出演  :緒方恵美  (碇シンジ)
       三石琴乃  (葛城ミサト)
       林原めぐみ (綾波レイ)
 
         2007年 日本
 
 
自民党の総裁選挙が行なわれた日、現在公開中の標題作品を観て来た。
1995年にTV放送されて以来、未だ人気の衰えを見せぬエヴァの、十年ぶりのリメイク作品であり、個人的に、ここ一ヶ月余りの間続いたエヴァ・フィーバーの、これがひとまずの総決算となる。

私の場合、つい最近になってエヴァを見始めた、にわかファンだからして、リアルタイムで見た来たファンの、エヴァとの十年ぶりの邂逅、と言った感慨を持つことが出来ないのが、ちと寂しい気もする。
でもその代わりに、前作の「THE END OF EVANGELION Air/まごころを君に」を見た直ぐ後に、十年の歳月を一揆に飛び越えて、このリメイク作を見ることが出来たわけで、それはそれで興を覚える。

声優さん達が今も健在なのは、なにより嬉しい。 実写作品では、こうはゆかないよね。
それでもその声に、意地悪く(!)耳傾けてみれば、特に主役の三人(シンジ君、ミサトさん、綾波)の声音など、ほんの少うし変わっているのが聴いて取れる。
ミサトさんがヱビス缶を呑んでの「クーーーーッ」(に伸びがない)や、綾波の「なんで泣いてるの?」の幽けき声音など。
いや、突っ込んじゃいけない、ここは愛が必要なところと想うんですが、とまれ歳月を感じるなと。 勝手に感慨に耽ってます。 ハイ。
もちろん、演者の人生経験の積み重ねと共に、解釈の深まりが期待出来る、いやしなければならない。 若さと引き換えにね。

映画の内容は、TV版の第壱~六話プラスαと言ったところ。
TV版で素晴らしかった、日常風景の精緻な描き込みも健在。 シンジ君、未だDAT使ってるし。
ミサトさんの、ヱビス缶で「クーーーーッ」も楽しい。 TV版ではオールド・パーはじめ洋酒の空き瓶が転がっていた、酒豪ミサトさんの部屋だったけれど、今回は「獺祭」の一升瓶が何本も転がってる。 一緒に呑みたいねえ。

TV版で、私が気に入っていたシーンも幾つか取り入れられていて、今回はそれをリメイク版ならではのハイクオリティな映像で愉しむことが出来た。
第3使徒サキエル戦で暴走した初号機が、一足飛びに襲い掛かるところ。 アンビリカルケーブル(電源コード)のだらんと垂れてるのが不気味で好いんだ、これが。
それから、起動実験中の零号機が暴走して、壁にアタマをがんがん打ち付けるところ。 こいつ、ホントに苦しんでるよ。 なんて人間的な動きなんだろう。(ヘンなシーンばかり好きでスイマセン)

第5使徒ラミエル(◆のやつ)との闘い。 ヤシマ作戦を、映画のクライマックスに持ってきたのは上手かった。
難攻不落。 「攻守共に、ほぼパーペキ」な敵に対して、有効なのは超長距離からの陽電子砲の射撃のみ、と言う状況下。 その唯一つの目的に向かって、巨大プロジェクトを廻してゆく姿が、見ているこちらをワクワクさせるんだよね。
途方もない数の機材、多くの人材(各方面のプロ達)、そして日本中の電力の全てを掻き集めての、文字通り総力戦を、CGを多用した、細かなカットの畳み掛けで描いてゆく。

リメイク版ならではの、解釈の微妙な変化もあった。 印象に残ったのは・・・・
・第4使徒シャムシエル戦で、指揮官としてシンジ君を掌握仕切れなかったミサトさん。 苛立って、自分にビンタ。(自分の弱さに気付くのが早くなったね)
・ヤシマ作戦の直前。 病室で寝ているシンジ君の前で、ヤシマ作戦の要綱を暗誦する綾波(スゴイ記憶力?)
・3バカトリオの友情が、モチベーション不足のシンジ君を勇気付けた(初号機に搭乗するシンジ君に、クラスメイトのトウジ君、ケンスケ君から激励のメッセージが届きました・・・・ベタだけど、好きだな。 こういう演出)
・ヤシマ作戦のお終いで、綾波がシンジ君にゲンドウの面影をみるところはカットされた(この方が、シンジ君的に救いがあると想う)
・そしてこの時、溶解しかかった零号機のエントリープラグのハッチを、無理やりこじ開けたシンジ君のグローブが溶けていて、TV版のゲンドウの掌を髣髴とさせた。
・シンジ君が綾波のアパートを訪れたのは、ゲンドウの画策によるものらしい。(さてはゲンドウ、意図的に二人を近づけたな!) あと、あの殺伐としたアパートの外で、絶え間なく打ち続けるパイルの音がコン、コンとなんだか綺麗過ぎて、ちと興を削ぐんだな。

前作からのファンにそっぽを向かれてはいけないから、ストーリーや性格設定など、ヘタに替えられないであろうし、また、新しい観客を無視するわけにいかないから、一通りの説明的描写は欠かせない。 とくれば、いささか新鮮味に欠けるのは止む無し、か。
リメイク4部作の最初は、これまでの路線から大きく外れることのない、まずは無難な内容にせざるを得なかったのかと想う。 次回、破の段では、リメイク版らなではの新たな展開を見ることが出来そうで、楽しみたのしみ。
もちろん、三石琴乃さんの名調子で、次回の予告まで、しっかりと愉しんで来たのであります。
 

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September 17, 2007

エヴァンゲリオン Air/まごころを君に

 
  
 
 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを君に
 
 
  総監督:庵野秀明
  出演  :緒方恵美  (碇シンジ)
       三石琴乃  (葛城ミサト)
       林原めぐみ (綾波レイ)
       宮村優子  (惣流・アスカ・ラングレー)

         1997年 日本


新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2に続いて造られた、エヴァ2作目の映画。
時系列的には、1995年~1996年に掛けてTV放送された新世紀エヴァンゲリオンの第24話以降の出来事となる。

全ての使徒を倒したNERVにとって、最後の敵は(皮肉にも!)同じ人間だった。
エヴァをはじめ、NERVが独占している使徒に関する機密事項の引渡を要求して、NERV本部に戦略自衛隊の精鋭部隊が突入して来る。 銃弾を浴び、次々に倒れて行くNERV職員。 エヴァ史上もっとも凄惨な殺戮シーンの連続。 これに比べれば、これまでの対使徒戦なんぞカワイイもんである。
一方、第24話でカヲル君を殺してしまったショックから立ち直ることの出来ないでいるシンジ君は、この危急存亡の時にまたもや本領発揮! 座り込んでしまって、エヴァに乗り込もうとしない。

前半「Air」の見せ場は、アスカの駆る弐号機が9体のエヴァ・シリーズを相手に孤軍奮闘するシーン。 闘争本能を剥き出しにして獅子奮迅の闘いを繰り広げる。
その実力は圧倒的で、一旦は敵を悉く殲滅するも、やがてエネルギー切れにより、活動限界を迎えてダウン。 エヴァ・シリーズの好餌とされ、お終いには、文字通りの満身創痍と成り果てる。
この辺りは、アスカが憤怒の形相で頑張るのが、いっそ憐れでならない。

思うにこの部分は、TV版の25~26話で、ロボット・アニメらしからぬ内省的展開を見せ、一部のファンに不興をかったことへの補完作業なんじゃないかと想う。 なんとなく、造り手側のある種、微妙な悪意を感じるんだよね。
「結局キミたちは、こういうアクションシーンがないと満足出来ないんでしょう?」
だから、主人公のシンジ君ではなしに、アスカが闘ってみせるし、初号機など、なんにもしないうちに、エヴァ・シリーズたちの虜となり果てるのではないか。

後半「まごころを君に」では、ついに起こってしまったサードインパクトの一部始終を描いて、TV版の25~26話と同様、一般的なロボット・アニメのお約束をことごとくひっくり返してゆく。

時空を超えて遍在する綾波。 いつか見た、ダリの絵の中に浮かぶかのようなエヴァ初号機。 シュルレアリズムを想起させる映像のシンフォニー。 見ている側は、庵野監督の創り出すイメージの奔流に巻き込まれてしまう。
全て人類はLCLの海に。 惑える群体から個体へと「進化」するのである。

こんな終局が待っていたとは、TV版の最初の方を愉しんでいた頃は、ゆめ想わなかったよねえ。 途中流れる音楽「Komm, susser Tod」も素敵だ。 パッヘルベルのカノンと同じく、カノン進行の曲。

そしてラストは、TV版の終わり方と同様、理解を拒むような内容。 こういうの、私は決して嫌いではない。 シンジ君とアスカがひしと抱き合って、「人間って、素晴らしいね・・・・・」なんて言ったら、エヴァにならないものね。

これは世界に誇ることの出来る、ホントに素晴らしい映画だけれど、でもあらかじめTV版のエヴァを見ておくなど、予備知識がないと、好く判らないと想う。 今はネットで、TV版の第壱話からこの「Air/まごころを君に」まで、手軽に鑑賞することが出来るので、興味(と時間)のある方は、是非とも見て頂きたい、これはJapanimationの問題作であり、掛け値なしの傑作です。

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September 16, 2007

エヴァンゲリオン DEATH(TRUE)2

 

  
 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2
 
 
  総監督:庵野秀明
  出演  :緒方恵美  (碇シンジ)
       三石琴乃  (葛城ミサト)
       林原めぐみ (綾波レイ)
       宮村優子  (惣流・アスカ・ラングレー)

         1997年 日本


1995年~1996年に掛けてTV放送された新世紀エヴァンゲリオンの映画版。
内容は、TV版全26回中、1回~24回の時系列が大胆にシャッフルされていて、単なる総集編とは言えない。 シンジ君のエヴァとの出会いから、カヲル君の死までを大きく俯瞰して、「新世紀エヴァンゲリオン」と言うドラマを総括する。
映像は、大部分がTV版からの流用のようだけれど、ところどころ、新たに書き下ろされた絵と差替えられたシーンもある。(ヤシマ作戦での綾波の笑顔など、よりオトナっぽくなっている)

映画化するに際して、スタンダード・サイズからビスタ・サイズへと、画面の縦横比が変更されている。 画面の上下をトリミングしているので、構図的にちょっと印象が違ってしまった、残念なシーンもある。

エヴァ名物、画像固定&台詞なし&長回しのシーンは、テレビ版でのあの緊張感を、なぜか感じられなかった。 TVほど時間をたっぷり取ることのできない映画の場合、この手法は無理があるのではないか。
1.小田急ロマンスカー(?)のホーム越しのシンジ君とミサトさん。(ホームのアナウンスなし)
2.エレベーターで二人きりになった綾波とアスカ。(画面のトリミングで、綾波の首から下が欠けちゃった)
3.初号機によるカヲル君握殺(!)。 音楽(第九終楽章)が雄弁に過ぎて、かえって緊張感を欠いてしまったように想う。 ここは無音にした方が好かったのではないか。

テレビ版本編ではチェロの独奏を披露したシンジ君。 映画では、随所に弦楽四重奏の練習風景が差し挟まれる。 そのメンバーは以下の通り。

  1st Vn. :渚カヲル
  2nd Vn. :惣流・アスカ・ラングレー
  Va.    :綾波レイ
  Vc.    :碇シンジ

このシーンは、シンジ君が第3新東京市に来る前の出来事であるにも関わらず、この時点では未だ出会っていなかったエヴァのパイロットたちが奏者として出て来る。 これは、シンジ君のイメージの世界、夢の中ということであろう。
三人の仲間を、誰ひとり欠けても成立しない、カルテットのメンバーになぞらえ、それぞれを「第一絃」、「第二絃」、「第三絃」、そして自らは「第四絃」と言う風に紹介している。

こうしてみると、シンジ君の中での、三人の位置付けというものが窺えて興味深い。
綾波がヴィオラと言うのが好いね。 なるほど、彼女はここ意外考えられない。
アスカが第一ヴァイオリンでないのは意外、と言うか、よくも第二ヴァイオリンで納得したなと。

 「このア・タ・シが、どうしてセコバイなのよぉ!」(とまでは、劇中語っていないけれど)

アスカでなく、カヲル君にストバイを取らせたのは、シンジ君の心中の采配であろう。(「アスカ、ごめんよ」ってすぐ謝っちゃいそうなシンちゃん)

四人が弾いたのはパッヘルベルのカノン。(楽器編成が、ちと違うけれど、まあ好いか) バロック期に書かれた楽曲の常として、チェロは通奏低音を担当する。

 「チェロは好いわよねえ」

アスカが羨む通り、チェロにとって、これ以上単純な曲はない。 シンジ君のチェロは単純な二小節のパターンを延々と繰り返し弾くのみである。 (但し、単純 イコール 簡単、というわけでは決してなく、チェロは同じテンポ/リズムを曲の始めからお終いまでキープし続けなければならない) そしてその通奏低音の上で、他の三人は各々思い思いの旋律を奏でてゆくのだ。
シンジ君がこの三人と実際にカルテットを組んだわけではないけれど、そのような関係であれかし、と言うシンジ君の願いを絵にしたのがこのシーンであろう。

映画のエンディングもまたパッヘルベルのカノン。 全てを弾き終えたシンジ君は、チェロを担いで去ってゆく。 やがて来るエヴァ、そしてそれに関わる人々との出会いを、未だ知らずに。

TVで印象的だった、綾波が雑巾を絞るシーンは健在で、これは好かった。 たたんだ雑巾を縦に持って、きゅっと絞るのが美しいんだよね。

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September 08, 2007

エヴァンゲリオン(TV版)

 
 
 新世紀エヴァンゲリオン (TV版)
 
 
  監督:庵野秀明
  出演:緒方恵美 (碇シンジ)
     三石琴乃  (葛城ミサト)
     林原めぐみ (綾波レイ)
     宮村優子  (惣流・アスカ・ラングレー)
 
     初放送:1995年~1996年(全26話)
 
 
 
今更説明の必要もない、Japanimationの金字塔。 放送されて、もう10年にもなるけれど、未だ人気の褪せない超優良コンテンツである。
折りしもリメイクされた新映画版、四部作中の序の段が公開中。 その原典とも言うべきTV版の全26話がネット上で配信されているとは、晴薫さんのご紹介で知った。 で、これまでこの金字塔を見る機会に恵まれなかった私も、放送後十年も経った今頃になって、ようやく鑑賞出来たと言うわけ。 いや~、ものすごく面白かったです。 ワクワクしながら、全26話を愉しみました。

1995年(製作年)の時点で描いた2015年(設定年)の日本というものを、こうして2007年に見るってのもまた一興。 緻密に書き込まれた近未来日本の日常風景など、実にリアルで、また絵として美しいのである。 そして、登場人物の心の内側を抉る大胆な表現など、オトナが楽しめるアニメになってます、これは。
基本的に悪と戦うロボットのアニメなのだけれど、放送回を重ねるにつれてヒーローものの約束事からズレてゆく。
人類補完計画だなんて大風呂敷を広げたけれど、畢竟は思春期の心の惑いと成長がテーマと言えるよね。 まあ、これも人類的に共通の主題には違いないし、時代や国境を超えて愛され続ける由縁かと想う。

シンジ君:エヴァンゲリオン初号機パイロット
14歳。 ヒーローものに相応しからぬ、内向きの性格。 そもそも彼はエヴァンゲリオンなんかに乗りたくなかった。
 「僕のこと好き?」 思春期のコなら死ぬほど気になって、でも(とりわけ男の子は)死んでも口にできない言葉。
それを、歯を食い縛って極限まで突き詰めてゆく、このアニメの最終回は好かった。

ミサトさん:シンジ君の上司にして保護者
謎の多いドラマだけれど、この人に関しては判りやすく出来ている。 美人で気性が激しく、仕事は誰にも負けない。 恋は不器用。 家事はまるでダメ。 アメリカのアクションものの女主人公にいなかったっけか、こんなヒト。

綾波レイ:エヴァンゲリオン零号機パイロット
世紀末に創造され新世紀を生き抜く、今や日経のコラムにも登場する国民的(かも?)美少女。

アスカ:エヴァンゲリオン弐号機パイロット
「ア・タ・シが一番!」でないと気の済まない、シンジ君のラブコメのお相手。
すべてにおいて、シンジ君とは逆張りの設定は、終幕に至って悲劇を呼んでしまう。 嗚呼。
不憫なアスカのことを考えていて、ふと想い出した歌がある。
 
 
 
    ママが嫌う私をわたしも嫌ってる公園通りルナカルナバル

                       蝦名泰洋 「イーハトーブ喪失」
 
 
 

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September 01, 2007

シベリア

昨夜、シベリアを買った。
なんだか急に甘いものが欲しくなって、仕事の帰りに好く立ち寄るスーパーで求めたのだ。
シベリアは、薄く切った二枚のカステラの間に羊羹を挟んで、丁度サンドイッチのような具合にしたもの。(羊羹の替わりに、餡子を使うこともあるらしい)
カステラも羊羹も、然程高級なものを使っているわけではないけれど、そう悪かない味ですよ。 お茶請けに持って来いかな。 ナンか甘いもン喰いてぇ、と言う欲求が、たちどころに充足されたのは言うまでもない。

明治の昔からあったお菓子らしい。
和洋の素材を合わせるところから、なんだかアンパンを連想させるけれど、お菓子としてアンパン程の隆盛をみなかったのは、カステラに羊羹と言う、各々高級感を伴うモノを素材とした故ではないだろうか。

それにしても気になるのは、「シベリア」と言うネーミングのこと。
カステラと羊羹を合わせたものが、一体全体どうした理由でシベリアになっちまうのか。 明治の頃にシベリアから我が国へ渡来したお菓子、というわけでは、もちろんない。 その謂れについて諸説あるようだけれど、どれも定説には至っていないようである。

個人的には、なんとなくハイカラなイメージを狙ってみましたって感じでシベリア。 つまり、大した意味合いはないんじゃあないかと思っている。 そこで仏蘭西や伊太利でなく、まして露西亜でもない、西比利亜と名乗るあたりが一捻りであろうか。 新宿の中村屋がロシアパンを売り出したのが、やはり明治の後期だと言うから、あるいはそれに便乗してと言うことはないのかな。

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