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September 17, 2007

エヴァンゲリオン Air/まごころを君に

 
  
 
 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを君に
 
 
  総監督:庵野秀明
  出演  :緒方恵美  (碇シンジ)
       三石琴乃  (葛城ミサト)
       林原めぐみ (綾波レイ)
       宮村優子  (惣流・アスカ・ラングレー)

         1997年 日本


新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2に続いて造られた、エヴァ2作目の映画。
時系列的には、1995年~1996年に掛けてTV放送された新世紀エヴァンゲリオンの第24話以降の出来事となる。

全ての使徒を倒したNERVにとって、最後の敵は(皮肉にも!)同じ人間だった。
エヴァをはじめ、NERVが独占している使徒に関する機密事項の引渡を要求して、NERV本部に戦略自衛隊の精鋭部隊が突入して来る。 銃弾を浴び、次々に倒れて行くNERV職員。 エヴァ史上もっとも凄惨な殺戮シーンの連続。 これに比べれば、これまでの対使徒戦なんぞカワイイもんである。
一方、第24話でカヲル君を殺してしまったショックから立ち直ることの出来ないでいるシンジ君は、この危急存亡の時にまたもや本領発揮! 座り込んでしまって、エヴァに乗り込もうとしない。

前半「Air」の見せ場は、アスカの駆る弐号機が9体のエヴァ・シリーズを相手に孤軍奮闘するシーン。 闘争本能を剥き出しにして獅子奮迅の闘いを繰り広げる。
その実力は圧倒的で、一旦は敵を悉く殲滅するも、やがてエネルギー切れにより、活動限界を迎えてダウン。 エヴァ・シリーズの好餌とされ、お終いには、文字通りの満身創痍と成り果てる。
この辺りは、アスカが憤怒の形相で頑張るのが、いっそ憐れでならない。

思うにこの部分は、TV版の25~26話で、ロボット・アニメらしからぬ内省的展開を見せ、一部のファンに不興をかったことへの補完作業なんじゃないかと想う。 なんとなく、造り手側のある種、微妙な悪意を感じるんだよね。
「結局キミたちは、こういうアクションシーンがないと満足出来ないんでしょう?」
だから、主人公のシンジ君ではなしに、アスカが闘ってみせるし、初号機など、なんにもしないうちに、エヴァ・シリーズたちの虜となり果てるのではないか。

後半「まごころを君に」では、ついに起こってしまったサードインパクトの一部始終を描いて、TV版の25~26話と同様、一般的なロボット・アニメのお約束をことごとくひっくり返してゆく。

時空を超えて遍在する綾波。 いつか見た、ダリの絵の中に浮かぶかのようなエヴァ初号機。 シュルレアリズムを想起させる映像のシンフォニー。 見ている側は、庵野監督の創り出すイメージの奔流に巻き込まれてしまう。
全て人類はLCLの海に。 惑える群体から個体へと「進化」するのである。

こんな終局が待っていたとは、TV版の最初の方を愉しんでいた頃は、ゆめ想わなかったよねえ。 途中流れる音楽「Komm, susser Tod」も素敵だ。 パッヘルベルのカノンと同じく、カノン進行の曲。

そしてラストは、TV版の終わり方と同様、理解を拒むような内容。 こういうの、私は決して嫌いではない。 シンジ君とアスカがひしと抱き合って、「人間って、素晴らしいね・・・・・」なんて言ったら、エヴァにならないものね。

これは世界に誇ることの出来る、ホントに素晴らしい映画だけれど、でもあらかじめTV版のエヴァを見ておくなど、予備知識がないと、好く判らないと想う。 今はネットで、TV版の第壱話からこの「Air/まごころを君に」まで、手軽に鑑賞することが出来るので、興味(と時間)のある方は、是非とも見て頂きたい、これはJapanimationの問題作であり、掛け値なしの傑作です。

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Comments

>シンジ君は、この危急存亡の時にまたもや本領発揮!
そう、ホントに本領発揮!
最後まで動かないとこが徹底してました。


>なんとなく、造り手側のある種、微妙な悪意を感じるんだよね。
なるほど。
悪意!
これは鋭い!
確かにそんな感じだ。

作品に秘められた、こういう悪意や狂気が人に深淵を見させるんでしょうね。

Posted by: 晴薫 | September 19, 2007 at 10:50 PM

>晴薫さん

弐号機、アスカが白目ひんむいての大立ち回り。
格闘シーンとして傑作ですけれど、同時に、必要以上と言えるくらいにグロテスクな演出だったとも思います。

このあたり、ドラマを心の問題に収斂させたい製作者と、ひたすらアクションシーンを求めるファンとのせめぎあい、みたいなものを感じてしまいます。
そういうことが、結果、好い意味での緊張感を生んだんじゃないでしょうか。

Posted by: もとよし | September 22, 2007 at 01:02 PM

私としてはシンジ君とアスカはああするしかなかったんじゃないかと思います。
でも、シンジ君は、かっこいいですよね~。

Posted by: 優 | May 05, 2011 at 07:21 PM

>優さん

おいでませ、問はず語りへ~!(^ァ^)

私もシンジ君、好きですねぇ。
映画終盤の、あれほどスケール壮大に拡がったクライマックスの果てが、静かな浜辺にシンジ君とアスカ二人きりという、このコントラストが堪らない魅力です。(笑)

現在進行中のヱヴァンゲリヲン新劇場版、こちらも、これからどう展開するか興味津々ではありますけれど、この97年の旧(?)劇場版のラストは、これはこれで一つの頂点を極めていますよね。
この映画、新版がどうあろうと My favorite movie です。(^ァ^)

Posted by: もとよし | May 05, 2011 at 11:05 PM

 この映画を見てまず思ったのは「(内容を完全に理解するのは)難しいな~」でした。なので、いろいろなサイトを見て自分の中であの終わり方を納得(理解)しようとしていました。もとよしさんの記事を読んでも正直まだ理解できないところもありますが、他のエヴァの映画シリーズを見て理解したいと思います。

Posted by: 213 | August 07, 2011 at 01:13 PM

>213さん

おいでませ、問はず語りへ!(^ァ^)

観る人それぞれ、十人十色な解釈を許すのがエヴァの面白いところ、作品としての懐の深さですね。
繰り返し何度見てみても、これで見極めたという気がしないし。 歳月を経て見返してみれば、また新しい発見が出て来る。

「エヴァ ~ Air/まごころを君に」のラストは、ある意味このシリーズの頂点であると、これは今でも想っています。

現在、ヱヴァンゲリヲン新劇場版が進行中ですね。 一作目の「序」と二作目の「破」、私も観て参りましたよ。
流石は庵野監督。 旧作を否定するんでなしに、また焼きなおしでもない。 新たな歴史を刻みつつあると感じました。
213さんはどうご覧になりました?
「破」の燃えるラストの続きが気なるところ。
鶴首して待ちましょう!(笑)

Posted by: もとよし | August 08, 2011 at 03:53 PM

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