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August 16, 2007

素数ゼミの謎

 
 
  素数ゼミの謎
 
    吉村仁  著
    石森愛彦 絵
 
      2005年  文芸春秋社
 
 
今回の標題をご覧になって、さてはもとよし、「博士の愛した数式」にかぶれて数学の手習いでも始めたかとお思いかもしれませんけれど、然ニ非ズ。 北米に生息する、摩訶不思議な生態を持つ蝉たちについて語った本のお話しであります。 これは子供向けに書かれたものなので、解説がとても丁寧で判りやすく、私のような理数オンチにはありがたい。

素数ゼミとは、北米に生息する17年、そして13年おきに大量発生するセミのことで、一般には周期ゼミ(Magicicada)と呼ばれる。
今年(2007年)はそのジュウシチネンゼミの方の当たり年で、推定で70億匹ものセミが羽化したと言う。(因みに、2007年7月現在の世界人口が66億人)
鳴くのはオスだけとしても、35億匹の耳をつんざく大合唱である。 それが、特定の地域に大発生する。 「閑さや岩にしみ入る蝉の声」なんて、日本で聴くセミの声のように、風流に浸るどころではない。

なぜ局地的に大発生するのか、そしてその周期が17年と13年になったのか。
その謎は、①氷河期を耐え抜いたセミの、幼虫期~成虫期に至る低成長型のライフサイクル。 ②一匹ずつは非力でも、大群をなすことで強みを発揮する。 種の生き残りを賭けたマス戦略。 ③そして、17と13はどちらも「素数」であり、この2グループのみが、異なる発生周期を持つセミとの交雑を最小限に留め得た。 という各々のポイントから、鮮やかに解くことが出来る。

本書に(蛇足ながら)付け加えるならば、3つの謎は、環境に適応し得た種のみが生き残るという、ダーウィンの進化論の命題に繋がってゆく。 (けれどこの辺りは、子供向けということで、教育課程を意識して、あえて語らないでいるのかもしれないですね)
イラストを多用した説明は、明快にして痛快至極。 子供のみならず、大人が読んでも十二分に楽しめる。 お勉強と言うより、スリリングで秀逸無比なミステリーってトコですな。

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Tracked on August 20, 2007 at 10:31 PM

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