« リンダリンダリンダ | Main | トトに! »

July 02, 2007

ザ・ウイスキー・キャット

 
 
 ザ・ウイスキー・キャット
 
   C.W.ニコル 著
   C.W.Nicol
 
   松田 銑 訳
 
 
猫はウイスキーなんて飲まない。 でも、昔ながらのやり方でウイスキーを造り続ける蒸留所、酒蔵には、必ず猫がいるものなのである。

舞台は英国、スコットランド。 シングル・モルト・ウイスキーを蒸留、貯蔵するレンガ造りの古い酒蔵は、原材料の大麦が仕込まれ、また小さな隠れ場所にもこと欠かないことから、ネズミたちにとっては格好の住処となっている。
そこで古くから、酒蔵ではネズミ退治のために猫を飼って来た。 夜毎、何匹もの得物を仕留める彼ら、彼女らウイスキー・キャットは、誇り高きプロのハンターなのである。 そして、そんな猫たちを、同じ酒蔵を守る仲間として遇する、ウイスキー造りの男たち。

この小説は、長年に渡りウイスキー・キャットとして勤め上げた老牡猫ヌースの昔語りとして描かれる。 ごく平易な文体に、趣のあるスコットランドの酒造所の写真や、イラストのイメージから、なんとなく子供向きの童話、あるいは、女性向きのお洒落なライト・ノベルなどを想像したのだけれど、そこはC.W.ニコル。 まったくの男性の視点で貫かれた、酒と猫を愛するオトコの小説である。

片田舎の古びた酒蔵の、のんびりとした営みの中にあって、しかしウイスキー・キャットらの毎日はけっこう忙しい。
夜は酒蔵を隈なく見回り。 自慢の早業でしとめるのはネズミばかりではない。 昼は酒蔵を抜け出して周囲を見回り、兎、鳥などをハンティング。 雌猫のお相手などにも、抜け目無く通じていながら、酒蔵で働く猫と言うスタンスから離れることは決してない。
ヌースと言う牡猫の、しっかりと地に脚の付いた生き方。 したたかな処世術、ユーモアに、わずかばかりのセンチメンタリズムを交えた、ニャンとも好い話しになっている。


最近はシングル・モルト・ウイスキーも随分と手に入れやすくなった。 我が家の近所のイオンなど、売り場の一角をそのために割いているくらい。
彼の地のシングルモルトを、愛すべきウイスキー・キャットたちに思いを馳せつつ味わう、というのも、また悪くないではないか、なんて想っている。

|

« リンダリンダリンダ | Main | トトに! »

Comments

こんにちは。
 ウイスキーキャット、面白そうですね。
ネコたちを仲間としてみているのがいいですね^^
老ネコの昔語りとして、というのもいいな。
チェックしてみます^^

Posted by: みい | July 05, 2007 at 12:04 PM

>みいさん

猫って、寝てばかりいる印象だったんですけれど、ウイスキー・キャットは中々の働き者です。 この職業意識は見習わないと。(笑)

レンガ造りの古い建物は、あちこちが朽ち果て、穴や物陰が出来ていて、ネズミたちにとって格好の隠れ家になっているのだそうです。 でも、ウイスキーの品質を保つために、殺鼠剤が使えないそうで。 だから、どこの酒蔵も昔からウイスキー・キャットを飼っていたとのこと。 人と猫との付き合いの、土壌と歴史を感じますねえ。(^ァ^)

Posted by: もとよし | July 05, 2007 at 09:41 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/15631091

Listed below are links to weblogs that reference ザ・ウイスキー・キャット:

« リンダリンダリンダ | Main | トトに! »