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June 16, 2007

頭文字D THE MOVIE

 
 頭文字D THE MOVIE
 頭文字D
 InitialD
 
   監督:アンドリュー・ラウ
       アラン・マック
   出演:ジェイ・チョウ
       アンソニー・ウォン
   原作:しげの秀一
 
      2005年 香港
 
 
私、普通自動車免許を所持してはいるけれど、日頃はクルマの運転をすることなどまずない、つまりはペーパードライバーである。 クルマの車種や性能にもとんと疎くて、街を走るクルマの車名など、ほとんど判らない。
そんな、クルマに興味の薄い私だから、この映画の原作、公道レースの世界を描いたしげの秀一の、同名の人気コミックについても、ほとんど知らなかった。

※主人公の藤原拓海は、家業の豆腐屋の手伝いで、毎朝山向こうの得意先に豆腐を配達する。 早暁の誰も通らない峠道で、独りクルマを走らせ続けるうちに、いつしか驚異的な運転技術を身に付けていた。 その拓海が、配達中の峠道で公道レースの猛者を難なく抜き去ったのを切っ掛けに、走り屋としての自分に目覚めてゆく・・・・

そんな日本のマンガを、香港で映画化したという。
面白いのは、原作の設定を(言語を除いて)、そのまんま映画化したというところで、つまり舞台は群馬県であり、登場人物はもちろん日本人なのである。 全編に渡り日本ロケを敢行。 もちろん、香港映画だからして、演じるのは香港の役者(一人を除いて)だし、台詞は広東語である。
原作のテイストを大切にしたいばかりに、なんとも手間の掛かることをやってのけたわけだ。 そういや、日本の映画にも中国を舞台にした時代ものがあったけれど、演じるのは日本の役者で台詞は日本語だったりしたから、おあいこみたいなものか。

ともあれ、クルマにも香港映画にも疎い私にとって、興味は自然、香港映画と言うフィルターを通して見た日本、それも都会ではない一地方の風景やら、そこで暮らす人々の日常といった辺りに向かう。
でも、その点については、ちょっとばかり裏切られたの感がある。 つまり、日本の風景や日本人について、思いの他自然に描けているのだ。 例えば欧米の映画で描かれる日本に、往々にして見られるような奇天烈さを感じることが、この作品ではまったくない。 それでも、オープニングの映像と音楽の冴えた感覚や、如何にもの香港風ギャグとか、随所に非日本的な、香港映画らしい(?)ニュアンスを探り当てることが出来るのが愉しい。

さて、クルマ同士の追っ掛けっこ。 カーチェイスと言えば、なんと言ってもハリウッド映画の独壇場だろう。 どでかいアメ車のパワーを見せつける、豪快な走りっぶりが見ものである。
それが、この映画に登場するのは全て国産のクルマたちである。 アメ車に比べればちっぽけな車体を道幅一杯、対抗車線まで使い切ってドリフトさせる、クレージーでアクロバティックな走りは、アメリカ映画などには見られない新鮮さで、レースに興味のない私が見ても興奮させられる。

登場するクルマたちは、いずれもチューンナップを施されているのであろうけれど、素人目には極々フツーの、如何にもそこいらの道路を走っていそうな車体ばかりである。
主人公の駆るのはトヨタ・スプリンター・トレノ。 型は旧く馬力もないけれど、ドリフトさせれば無敵という、コダワリの車種らしい。 豆腐の配達に使うため、どてっ腹に「藤原とうふ店(自家用)」と記しているのがご愛嬌(らぶりい)であります。

主人公、藤原拓海役のジェイ・チョウ。 無表情を通す。 でもってクールと言うのか、終始眠たげ顔つきで、済まして構えて。 原作のイメージからいくと、こうなるのだろうか? 無表情に徹した演技は、ワタシ的に、どうにも馴染むことが出来ない。 感情移入のし難い主人公だった。

その父、藤原豆腐店の店主、藤原文太役にアンソニー・ウォン。 飲んだくれだし、口よりも先に手が出るしで、どうしようもないオヤジなのだけれど、若い頃は公道レースの王者だったらしい。
ドラマの進行と共に、懐の深さ、アヤシさとちょいワルさをあらわにし、その存在感を増してゆく、一筋縄ではゆかぬ男である。 この映画、レース・シーンは申し分ない出来だけれど、ドラマとしては、この俳優一人で持たせているかの感がある。 素晴らしい役者を知りました。

拓海の相手役なつきに鈴木杏。 この映画で唯一の日本人俳優。 拓海とのシーンは、安手のテレビドラマみたいで、テンション下がりっぱなし。 ユルすぎ。 演出上の問題で、当人に非はないのだけれど。

この映画はどこが好いって、かつてないスタイルで見せるレース・シーンの迫力と、日本の一地方に暮らす主人公親子の生活を、過度に好くも、また酷くも描いていない点。 確かなバランス感覚でもって日本を描いてくれた。 こういうのは嬉しい。
 

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Comments

おお、ご覧になったんですね。
俺もコレ見たいんですが、まだ観てません(←遅いつーの、笑

なんか楽しみになりました。

今日はフラガールを観る予定。
ホント、WOWOWしか観ないサボりです。

Posted by: 晴薫 | June 17, 2007 at 06:33 PM

もとよしさん~こんにちは!
これ、以前見たことがあります。
外国人なのに、名前や設定が、そのまんま、堂々と日本人なのが、妙に笑えるというか、可笑しかったです。

中国の小中学校だかで、「日本人が大嫌いだったけど、この映画を見て、この原作が日本人が作ったとして、嫌い度が減った」という生徒のインタビューを以前新聞で読みました。そこまでの名作なのか?どうかは、私には解りませんが・・(^_^;)

Posted by: latifa | June 18, 2007 at 10:10 AM

>晴薫さん

おや、晴薫さんは未見でしたかあ。 てっきり、入れ込んでるものと思ってましたが。(^^ゞ
私は、クルマのことはまるで判らないんですけれど、それでもクレージー(!)なコーナリングのシーンなど、この映画は十二分に楽しめました。
パワフルかつゴージャスなアメ車でなく、その辺を走っていそうなトレノやランサーが競い合うの図ってのも、なんだか痛快です。

Posted by: もとよし | June 18, 2007 at 10:01 PM

>latifaさん

日本なのに日本じゃない、みたいな、どこかズレた感覚が面白かったですね。(^ァ^) オネオスのサービスステーションやローソンの看板や、私らにはあまりにも日常的な光景が、なんだか新鮮に見えてきて。(笑)

>中国の小中学校だかで、「日本人が大嫌いだったけど、
>この映画を見て、この原作が日本人が作ったとして、嫌い
>度が減った」という生徒の

おや、思わぬところで国際貢献してますな。(笑)
香港映画と言うフィルターを通して見た日本ということで、中国の人には、より判りやすかったのかもしれませんね。

Posted by: もとよし | June 18, 2007 at 10:20 PM

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