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May 05, 2007

御家人斬九郎

 
 
  御家人斬九郎
 
    柴田錬三郎著
 
       新潮文庫
 
 
「御家人斬九郎」。 好いねえ、この題。 ネーミング一発で気に入ってしまった。
松平残九郎、人呼んで御家人斬九郎。 御家人と言う、御目見え以下の下級幕臣の故、その俸禄は極端に乏しく、副業に罪人の介錯をして糊口をしのぐと言うダーティー・ヒーローである。

この斬九郎、粋な呼び名に相応しく、色男で滅法強いし、一見向こう見ずなようで、その実アタマも切れる。 同居する老母の麻佐女は小鼓と薙刀の達人にして大食。 その、およそ金銭感覚というものを欠いた食通ぶりが斬九郎の悩みのタネ。 逆に言えば、母親の他にはおよそ怖いもの、悩みなどに縁のないのが、斬九郎と言う男である。

私はこのタイプの時代ものは、実はそれほど好みとは言えない。 この小説にしても、斬九郎の、ある種スーパーマンぶりに共感出来なくて、なかなかその世界に入ってゆけなかった。 愉しむことの下手な、不器用な読者なのである。 それでも読み進める内に、味わいどころが判って来た。 こうなると俄然面白くなって来る。

一話ずつ読みきりの短編集なのだけれど、中でも冒頭に固められた十編のド短編(文庫版で、各々が10頁前後程)が特に好い。 スカッと読める。 その代わりに、読んだ後なんにもアタマに残っていないけれど。
ストーリーに凝られても、話しが妙にややこしくなるだけで、たいして興味が湧かない。 キャラクターの設定や会話、雰囲気で読ませるタイプの短編集なのではないだろうか。 だから、斬九郎は、話しを目一杯切り詰めた掌編で最も冴える、と思うのである。

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Comments

なんか面白そうな一冊ですね。
寝る前に、一編づつ読むのもいいかもしれませんね。長編だと読み始めると止まらなくなる(笑
本屋へ行ったときに探してみます^^

Posted by: みい | May 06, 2007 at 12:10 PM

>みいさん

この小説。 かつて渡辺謙主演でテレビドラマ化され、好評を博したそうですね。(私は生憎と未見ですけれど)
小説のほうも、テレビ時代劇のノリで読むと結構楽しめると思います。
由緒ある家柄の武士なのに、副業で稼いでは、使い切るまで放蕩三昧。 が、一旦刀を抜けば強いの何のって・・・・勧善懲悪の正義の味方でないところがミソです。(^^)v

Posted by: もとよし | May 06, 2007 at 02:42 PM

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