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January 18, 2007

宇宙戦争

 宇宙戦争

 War of the worlds

   出演:トム・クルーズ、
       ダコタ・ファニング、
       ティム・ロビンス
   監督:スティーブン・スピルバーグ
       2005年 米国


原作はH・G・ウェルズの古典SF小説。 そして1953年に造られた同名のSF映画のリメイクでもある。 実はこの映画、ネットで映画ファンの感想を見るに、あんまり評判が悪いものだから、逆に興味が沸いて見てみた次第。

H・G・ウェルズの原作は読んだことがあるけれど、情けなや、ほとんど記憶に残っていない。 1953年の映画の方も、また昔テレビで見ていて、こちらはとっても面白かった覚えがある。

突然地球を襲ったエイリアンたちの圧倒的な攻撃力の前に、人類の兵器がまるで歯が立たず、人々は逃げ惑うばかり、と言う内容は、リメイクされたこの映画でもそのまま踏襲されている。 一つ目の探視装置やら、ラストの瀕死のエイリアンなども、1953年の映画と同じ演出。
ラストのオチも、ウェルズの時代であってみれば、最新の科学であったわけだけれど、現代に持って来ると、流石に辛いものがあるよね。 それだけこの映画は原作に忠実、いっそ教条的と言えるのかも知れないけれど。

トム君、この映画では意外にもダメ親父を演じる。
二人の子供たちも好演(ダコタ・ファニング嬢、上手すぎ!)しているけれど、それがかえってアダになったと想うな。 二人して父親に反抗しまくる演出がリアル過ぎて、どうにも救いが無いのだ。 いや、ドラマに奥行きを与えているのは認めるけれどもね。
それにしても、逃避行中の親子の葛藤や、地下潜伏中の仲間同士の反目など、この映画は見ていてイライラがつのって来る場面が多い。

トライポッド。
エイリアンたちの奇妙な乗り物。 三本のおっそろしく長い脚を、生き物のように自在に動かして歩き回るコイツらこそが、この映画の主役と想っている。 (そういえば、昔見たサルバドール・ダリの絵の中にも、こんなのが出て来たっけ・・・・いや、あれはバカに脚の長い象だったけれど) 時々、チューバみたいな野太い低音で吼える。
このトライポッドたちが、レーザー光線で家屋をなぎ倒し、無辜の人々を次々と、情け容赦なしに切り裂き進む。 こいつらのオッカナさったらないですよ。 もしもこんなのが実際に現れたら、絶対に逃げられないよなぁ、と確信させられるもの。
そんな邪悪極まりないメカだけれど、造形的には実に見事なもので、遠景の中にほんのりと浮かび上がるトライポッドのシルエットや、夜景の中で触手をうごめかすトライポッドたちには、夢幻的な映像美を感じてしまう。

なんだかトホホなラスト・シーンには、だって原作がそうなんだからサ、とでも言ってみる他ない。 SFの古典たるH・G・ウェルズの原作や、1953年の「宇宙戦争」へのオマージュと想えば、私としては十分に納得出来るんですけれどね。
ともあれ、スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演、そして「宇宙戦争」と言う題名から、痛快なSF娯楽作品を期待すると、見事に肩透かしを食らうことになる。

この映画が大方の映画ファンの不評を買ったのは判る気がする。 でも、トライポッドの迫真の戦闘シーンは見事の一語だし、親子の逃避行や地下室の潜伏シーンも、地味ながらずしりとした手応えを感じるしで、私にとっては観て好かった映画の一本に加えたい、これは秀作なり。

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Comments

>あれはバカに脚の長い象だったけれど)
「聖アントワーヌの誘惑」ですよね。

この映画、あの時代にこのストーリーを考えたウエルズの偉大さを知らないと分らないよね。

絶対に有利な相手にどう勝つか?
絶妙手だったと思う。
初めて読んだ時、俺は感動したよ。

スピルバーグは、やっぱり子供の頃、アレを読んでその感動を再現したかったのだと思います。

でも知らない人には確かに肩透かしかもしれません(笑

Posted by: 晴薫 | January 18, 2007 at 08:12 PM

>晴薫さん

>「聖アントワーヌの誘惑」ですよね。

あ、あの絵はそういう題名でしたか。(^^ゞ 今、検索して画像を確認出来ました。 これ、イメージが鮮烈だったんですよね。 懐かしい~。


スピルバーグは、やっぱり子供の頃、アレを読んで
>その感動を再現したかったのだと思います。

この監督の場合、如何にもそういう強いコダワリがありそうですね。 「未知との遭遇」でも、そう想ったことがあります。

この映画は、やはり事前に原作を読むか、または前作の映画を見ておくべきでしょうね。

Posted by: もとよし | January 20, 2007 at 08:59 AM

前作があったんですか。是非みてみたい。
本は大いに気に入っていたSF小説なのですが、この映画は英国21世紀アメリカ版といった感じで見ました。ハドソン川をはさんだニュージャージ州側やニューヨーク市のブルックリン郡が撮影に多く使われていて、しかも大半のアメリカ人の生活詩を出していた。
本を原作として用いていて映画は映画として(黒澤明監督がシェクスピアを参考にしたのと同じで)、とは言っても本の出だしの数行を映画の始めにナレーションとして入れていたので、それだけで私は満足。
結構、スリルと緊迫感に満ちていたとは思う。息子が出てくるのも突飛だったけれど、親父さんがニューヨーク ヤンキーズの帽子を被って、息子がボストン レッドソックスの帽子でというのは愉快だった。しかし、最後に抱き合うって、そんな事有りなのお? 松阪 対 井川が開始。

Posted by: でんでん虫 | January 22, 2007 at 08:38 AM

>でんでん虫さん

前作の「宇宙戦争」では、トライポッドではなく、円盤みたいな乗り物に乗ったエイリアンが人類を一方的に攻めまくります。 で、米軍は遂に核爆弾の使用を・・・・ いや、子供心にハラハラしながら見た覚えがあります。(^^ゞ

で、リメイクされた「宇宙戦争」の方は、あえてトム君親子の庶民的な視点のみで描き切ったのが好かったですね。

トム君親子はトライポッドに追われてボストンまで旅するんでしたね。 私にとって見知らぬ土地ながら(^^ゞ、生活感の滲み出るような情景描写に魅せられました。

父と息子の帽子はヤンキースとレッドソックスでしたか。 あ~、全然気がつきませんでした。(^^ゞ 親子の関係を帽子に象徴させていたわけですね。

Posted by: もとよし | January 23, 2007 at 01:27 AM

もとよしさん、こんばんは!
やっとこ見ました。
全然期待してなかったので、予想以上に面白くて1時間15分は、ずっぽりハマって見てしまいました。
ラストの方、もったいないー!!って思いました。

もとよしさんは、昔原作と、前作の映画もご覧になられているんですねー!前作の映画も機会があったら、見てみたいな☆

Posted by: latifa | February 10, 2007 at 10:27 PM

>latifaさん

なにかと不評の「宇宙戦争」ですけれど、latifaさんは面白くご覧になれましたか。 私もしっかり楽しめました。(^ァ^)

それにしてもトム・クルーズは、トップ・ガンの頃に比べると老けたなあ・・・って19年も経ているんだから、当たり前か。(^^ゞ

前作を見たのは、もう随分と前のことです。 そのうちにテレビで再放送するんじゃないかと期待しています。
スピルバーグ監督は、前作や原作に、余程に思い入れがあるんでしょうね。 あのラストは、それを前提にしないと、頼りなさ過ぎて、なかなか受け入れ難いかも、ですね。

Posted by: もとよし | February 11, 2007 at 12:32 AM

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