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January 28, 2007

椿山課長の七日間

  椿山課長の七日間

    浅田 次郎著

          朝日文庫


渋谷の老舗デパートに勤める、椿山和昭(46歳)は、高卒叩き上げの婦人服売り場担当課長。
現場第一の誠実な人柄で、社運を賭けた夏のバーゲンを成功させるために、日夜奮闘の毎日を送っていた。 それが、不幸にもバーゲン初日の夜に突然の過労死を遂げてしまう。

そのまま成仏するには、なにしろ気懸かりが多すぎた。
突然死した働き盛りの男が、現世に残して来た心残りの数々・・・・小学生の息子とのお別れ、自分にはおよそ不似合いだった美人妻、先立ってしまった老父、開催中のバーゲンの売上、そして、あの世の係員(?)から椿山課長が現世で犯したと指摘されたある罪について・・・・の各々にケリをつけねば、とてもではないが死に切れない。
椿山課長はあの世の役所の計らいで、期限付きで現世に戻してもらうことになった。 同じように現世への執着から逆送を希望する二人、武田(人違いで殺されたヤクザ)、雄太(本当の両親を知らない小学生)らと供に。


作品全体を覆う、ユーモラスで、ちょっとユルめの語り口が好い。 主人公たちの運命はあまりにも過酷なのに、雰囲気はどこまでも清澄で、穏やかだら、お話しが少しも深刻にならずに済むのである。
どうあっても悲しみはつきまとうのだけれど、いつか前向きな姿勢で臨もうとする登場人物たちの一人ひとりも魅力だ。
あの世の役所の、いかにもの官庁っぷりがオモシロくて、この小説は出だしからしてすらすらと愉しく読めた。 現世には、なにしろ生前の姿で戻るわけにいかないから、椿山課長は女性の姿を借りる羽目になって、そんな課長の慌てふためきっぷりも可笑しい。

現世で過ごすことを許されたわずかな時間のなかで、生前は知らずにいた、自分を取り巻く人々の秘密に触れる椿山課長たち。 そこには、平々凡々な人生なんてひとつもない。

ラストに向かって、現世に逆送された三人、そして周囲の人々の運命がひとつに収斂してゆく展開は、やや強引かもしれないけれど、最後まで飽きることがなかった。

テーマは家族愛、そして、誇り。 いつもユーモアを忘れずに。 可笑しくて、小粋で、やがて哀しい。 素直に泣ける佳品でした。

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Comments

もとよしさん、こんにちは^^
新しいお家にも慣れた頃でしょうか~^^
このお話、映画で見たことがありました。
原作の方がきっと面白かったんだろうな・・・と推察です。
小説版は解らないのですが、映画版では、奥さんひどい!ってそれがちょっと引っかかっちゃいました。

宇宙戦争は、図書館でリクエストしたまま、ずーっと順番待ちをしています。

Posted by: latifa | January 28, 2007 at 09:03 AM

>latifaさん

映画の方をご覧になっていましたか。
実は、小説の方を読みながら、これは映像作品向きのハナシだなぁと、何度も想ったものです。

評判の好い映画のようですね。 私も、そのうちに観てみたいと想っています。
やはり、和山椿に変身した椿山課長が慌てふためくシーンが気になりますね。 ハイ。(笑)

そういえば、椿山課長の奥さんは、小説の方でもちゃっかり振舞ってますね。(^^ゞ だって美人は得だから、と言うのが作者の発想のようですけれど、このあたりは、物語として掘り下げが甘いと言えば甘いと言えるのかもしれませんね。(^^ゞ

Posted by: もとよし | January 28, 2007 at 05:16 PM

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Tracked on February 01, 2007 at 03:59 PM

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