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July 01, 2006

ヨッフムのブルックナー:交響曲第7番

ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調(ノヴァーク版)
  
  
   オイゲン・ヨッフム(指揮)
   ドレスデン国立管弦楽団
   録音:1976年
     EMI 5 73905 2
  
  
学生時代、アルバイトで貯めたお金を注ぎ込んで、初めてオーディオ装置一式を誂えた頃。 乏しい資金の中、それでも一枚でも多くのLP(そう、未だLP全盛期であった)が欲しくて、よく中古盤を買い漁ったものである。
その内のひとつに、ブルックナーの交響曲第7番があった。 当時の新録音で、ベルナルト・ハイティンク指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のフィリップス盤。

それは「一糸乱れぬ」と言う形容の相応しい、隅々まで洗練され尽くして、一点の瑕瑾もない珠のような演奏だった。 但しその演奏スタイルは、いささか大掴みであり、また単調に感じてしまったのも確かなのだけれど。
とまれ、途方もなく永い永い旋律や、次々に現れる音形の、互いに脈絡のないように感じられる構成が不思議で堪らなくて、そのLPを繰り返し何度も聴いてみた。 好奇心いっぱいでね。
結局、この第7番について好くは判らず終いだったけれど、何度も聴いたお陰で、彼の九つの交響曲の中では、この曲にもっとも馴染みが出来た。 
  
        ▽▲▽▲▽▲
  
さて、指揮棒の下に見事統制され切った感のあるハイティンク盤に比べて、今聴いている、このヨッフム翁とドレスデンのオケによる演奏は、オケ側の自発性に任せた割合が随分と多いように思う。 つまり、隅々にまで奏者の気を感じ取ることが出来るのである。

ブルックナーの交響曲は、例えて言えば人間の眼では容易に全体を掌握出来ないくらいの、途方もない大伽藍みたようなものではないだろうか。 ここでのヨッフム翁の指揮からは、その大建築を構成するパーツに施された繊細微妙な意匠を一々見上げながら、堂内をゆっくりと漫歩しているような雰囲気が伝わって来るのだ。
ひとつひとつが個性を発揮する分、細部のビミョーなところで統一を欠く憾みがあるけれどね。 でも、それもまた好し、である。 第二楽章だけは、少うし気分が明るすぎのきらいがあると思うな。

大河のように重厚なサウンドの流れの中に身を任せて、時折はソロ楽器の個性に耳を澄ます。 そんな聴き方が気に入っている。
好奇心で一杯、でもこの曲を一体どう聴けば好いのかさっぱり判らなかった、かつてのハイティンク盤愛聴時代に比べると、今の自分は、只もう、のんびりゆっくりと音楽を楽んでいる訳で、正に隔世の感があるよ。

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Comments

正直、さほどのクラシック・ファンでない私にはブルックナーって解らないんです。

でも身近なクラシック・ファンの方はブルックナーを大自然にたとえてました。
解るようになると良いんでしょうね。

私もいつか解るように聞き込んでみたいと思います。
でも今日サラ・ブライトマンのCDが来たのでその後です(笑

Posted by: 晴薫 | July 01, 2006 at 09:37 PM

>晴薫さん

そう言えば、ブルックナーの音楽はドイツの黒い森や、アルプスの山々に例えられたりしますね。

音楽を語るにも、人それぞれ、いろんな表現があって面白いですね。 プロの書く音楽評論など、そつの無い代わり、使い古されて手垢の付いた表現を見ることが間々あって、こういうのはウンザリとさせられます。(-_-;)

#たった今、ポルトガルがイングランドに勝ちましたぜ!

Posted by: もとよし | July 02, 2006 at 02:53 AM

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