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November 27, 2005

陶芸やるゾ

「陶芸やるゾ  <コミックで楽しくわかる陶芸入門>」

   のがみけい著   集英社 2000年

器が好きなのである。 それも陶磁器。 あまり華美に走らない、どちらかと言えば渋めのものが好みだ。 少うし時代が付いていたりすると尚好い。 自分で収集をしたり、まして造ってみたりはしないけれど、陶芸というものにはかねて憧れを抱いている。

本書「陶芸やるゾ」は、女流漫画家のがみけいさんの実体験を元にした陶芸入門コミックである。 その方面には疎い私なので、これまでにのがみさんの作品を読んだことがなかった。 ネットで検索してみたら、随分とキャリアの永い人らしい。  本業の絵は如何にもの少女漫画風タッチだけれど、ここではそれを、ずっとくだけた親しみやすい画風に換えて、八ヶ岳山麓(標高1,100m)に猫たちと住まい、「歌って踊ってマンガも描ける陶芸家を目指す」と語る著者の、陶芸入門から窯焚き、そして個展を成功させるまでを漫画でガイドする。

土を捏ねるところから仕上げまでの、道具の使い方や様々な技法、陶芸のノウハウに付いては、のがみさんが漫画の中で丁寧に解説してくれるけれども、当面のところ実作する気の無いこちらとしてはむしろ、陶芸に憑かれたように取り組むのがみさんと周囲の人々との交流を描く辺りがもう堪らなく面白くて、だから大勢の人が関わる窯焚きや個展のシーンを専ら楽しんだのである。

のがみさんと言う人は、やりたい事ならば何であれガマン出来ないタイプのようで、目標に向かっては常に正面突破。 とにかく爆進あるのみである。 陶芸入門当初から自宅の裏に窯を作ってしまうし、土を捏ねていて徹夜することもザラ。 窯焚きに失敗して薪代がすっかりパアになったとしてもメゲたりしないのである。

そんなのがみさんの気さくな性格と、陶芸への直向きな情熱に、周囲の人々が次々と巻き込まれてゆく。
八ヶ岳山麓の自宅裏に築いた窯に火が点れば、のがみさんの苦戦苦闘振りを見かねたベテラン陶芸家が手伝いに来る。 「面白そうね!」と差し入れ持参で見に来るのは地元八ヶ岳山麓の友人ら。 故郷平塚からは旧友たちが馳せ参じる。 漫画家仲間のもりたじゅんさん。 ご飯の炊き出しをのがみさんの姉上たちが買って出れば、窯を中心にして人々が夜を徹して賑やかに過ごす。 のがみ流窯焚きはお祭なのである。

こうして作品が焼き上がると、早速個展を開いてしまう。 入門して未だ数年を経たばかりののがみさんである。 誰が考えても早過ぎな訳だけれど、とにかくこういう時ののがみさんは、もう誰にも止められないのである。
陶芸家デビューを果たした故郷の平塚での個展。 銀座の画廊での個展には本宮ひろ志・もりたじゅん夫妻も駆け付け、そして地元八ヶ岳と各地でも個展を成功させる。 その各々で、友人や姉上たちの力強いサポートを得たのは言うまでも無い。

陶芸を知らない私が言うのもナンだけれど、陶芸の入門書数多あるなかで、この陶芸入門コミックは痛快無比な存在である。 のがみさんの陶芸への愛情が感じられる丁寧な解説もそうだけれど、なにより前向きで明るい人生感と、それに応える周囲の人々との交流シーンが読んでいて気持ち好く、幸せな気分になれるのである。

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Comments

もとよしさんが、陶芸もされるのかと思いました。
奇しくも舞台は、八ヶ岳なんですね。いろんな方が集まっている場所なんですよねー。僕も、15年前に”ベランダ陶芸”って本を読んでから。いつかやるぞー、と思って情報は集めているのですが。父に先を越されました。実家には、窯もあります。んで、父から命令が来るんです。
 「釉薬について詳しい本を買ってこい」とかって。 (笑)

Posted by: &よしみ | November 28, 2005 at 11:04 PM

>&よしみさん
おいでませ、問はず語りへ~(^ァ^)
陶芸・・・・自分でオカリナとか造ってみたいんですけれどね~(爆) 幸か不幸か(^^;実作には至らずにいます。

>奇しくも舞台は、八ヶ岳なんですね。
そうなんです! のがみさんの窯焚きに集まる八ヶ岳山麓の人々がまた、それぞれ個性的で、そこがこの漫画の魅力のひとつなのでした。

&よしみさんも陶芸好きでしたか! 私は、陶芸の入門書を読んでみて、陶芸は化学だなって感想を持ちました。 特に釉薬とか焼成とか、化学方面からみればまた別の面白さがあるのかな~、なんて想います。(^^)

>「釉薬について詳しい本を買ってこい」とかって。 (笑)
おお! &よしみさんが選ぶ釉薬の本って興味ありますね~。(^^) 専門用語や化学式満載で、私にはチンプンカンプンがもしれませんけれど。(笑)

Posted by: もとよし | November 29, 2005 at 12:26 AM

いえいえ。父にわかるような本ですよ。
結局、どこかの会社のMook本を買って渡しました。

そしたら次は。何色で焼くか?とかって、きいてくるんですよ。
緑とか、黒とか、黄色とか。でも酸化炎にしてしまったら、みんな茶色系になってしまうらしい。(笑)

先月実家に帰ったとき、ちょっとだけ、ひねってきました。ホントは蕎麦猪口を作りたかったのですが。縮んでちいさくなってしまっています。どんな焼き上がりになるのでしょう??(笑)

Posted by: &よしみ | November 29, 2005 at 12:20 PM

>&よしみさん
もとよし@こんところ激爆忙中です。
お蕎麦屋さんに入ると、ついついその店の蕎麦猪口や蕎麦徳利の品定めをしてしまうもとよしです。(^^;
お手製の蕎麦猪口で食べる蕎麦の味はまた格別でしょうね。 好いなあ・・・

Posted by: もとよし | December 04, 2005 at 01:24 AM

陶器については詳しく知らないんですが、風情のある器を見るとやはり「いいなあ」と思いますね。私はどちらかと言うと、こどもぢゃわん、こども箸が欲しいです。小さい頃は、私は鉄腕アトムの絵のついたこどもぢゃわんを使っていた記憶があるんですが、陶芸のって、焼き釜に入れる前に泥んこのようなものを回して器の形を作るでしょ。あの段階の手触りが面白そう。一度やってみたいな。

Posted by: 屁爆弾 | December 07, 2005 at 06:10 PM

>屁爆弾さん
ご無沙汰っす。(^o^)
幼い頃、どんなお茶碗でご飯を食べていたのとか、お箸はどうったかなんて、まるで忘却の彼方にいっちゃってます。(^^;
あるいは、私もまた鉄腕アトムの絵柄を使っていたかも。(笑)

ろくろ、挽いてみたいですよね~。 もっとも、私がやったら茶碗を挽いた積もりが丼鉢くらいになりそうですけれど。(^^; 興味シンシンです。

Posted by: もとよし | December 13, 2005 at 12:30 AM

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