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October 10, 2005

にっぽん昆虫記

映画「にっぽん昆虫記」(1963、日)
監督: 今村昌平
出演: 左幸子、吉村実子

標題の映画を観た。 また、今村昌平監督の作品。
題名からファーブルの「昆虫記」が連想されるように、これは、一人の女の半生を冷徹な視点で描く。 それも、学者が地を這う昆虫を観察するようなクールさで。 そう。 虫は、その行く手にどんな困難があっても決してメゲナイ。 時に、傍目には愚かな程の実直さでひたすらに歩み続けるのである。

山間の貧しい村に生まれ育ち、終戦と同時に家族を離れて上京する主人公。 ふとしたきっかけから賤業に手を染め、その世界で漸く成功を収めようというところで惨めな挫折を味わう。 それでも、主人公はどこまでも自分の道を往くのである。
場面の変り目毎に画面がストップモーションとなって、主人公がその心境を詠う狂歌がアッケラカンと朗詠される。 モノクロの画像が凄く好い。 モノクロの旨味を知り抜いているね。 流石。

主人公が地にしがみつくように、無我夢中で生きていく様子を観察する今村監督の視線は厳しい。 けれど、その厳しさを突き抜けたところに姿を現わす人間の力強さからは、観る者を惹き付けて離さない一種の磁力を感じる。
決して軽くは無いテーマを描いて、時折コミカルな部分もあるのは「豚と軍艦」と同様で、これは今村監督の持ち味なのだろう。
「豚と軍艦」と同様、これも、深い感銘を受けた映画。

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