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September 15, 2005

セプテンバー11

映画「セプテンバー11」(2002、仏)
  監督:S・マフマルバフ(イラン)
      C・ルルーシュ(フランス)
      Y・シャヒーン(エジプト)
      D・タノヴィッチ(ボスニア=ヘルツェゴビナ)
      I・ウェドラオゴ(ブルキナファソ)
      K・ローチ(イギリス)
      A・G・イニャリトウ(メキシコ)
      A・ギタイ(イスラエル)
      M・ナイール(インド)
      S・ペン(アメリカ)
      今村昌平 (日本)

総選挙のあった2005年9月11日(日)。 投票を済ませてから、川崎市民ミュージアムで標題の映画を観た。
世界11カ国の映画監督が、2001年9月11日アメリカで起きた同時多発テロをテーマに撮った短編オムニバス映画である。 上映時間は各々11分9秒1フレーム。 それ以外には、統一したコンセプトなど無い。 その分、各国を代表する映画監督たちの個性や、この事件に対する視点がストレートに現われることになる。

イランからの作品。 もうすぐ、怒ったアメリカが攻めて来るぞ! 核シェルターを造ろうと、慌てて土を捏ねてレンガを焼き始める人々。
子供たちに貿易センタービルを説明しあぐねる若い先生。 この辺りで一番高いもの・・・レンガを焼く煙突を指差す先生。 円らな瞳で煙突を見上げる子供たち。

ブルキナファソ。 アフリカの小国からの作品も、アメリカの大事件など実感されない暮らしの中で、ビンラディン(のそっくりさん)を見つけた少年たちの、小さな冒険をユーモラスに描く。

イスラエルからの作品は、こっちではテロなんて日常茶飯事で珍しくもないさ、とでも言いたげに、テルアビブ市内のテロ現場からの中継を丸々11分描いてしまう。

フランスはクロード・ルルーシュ監督。 静謐さの中に、信じ合う心を描いて最も感銘が深かった。

インドの作品。 あの日、救助のために、崩落する貿易センタービルに飛び込んで、そのまま亡くなったイスラム教徒の少年がいた。 イスラム教徒である故に、実行犯の一味ではないかと疑われて、その家族は、世間はおろか、日頃から親しくしていた隣人からも白い眼を向けられる・・・ 信仰と信念、そして勇気を描いた秀作。

アメリカだけれど、不思議と怒りを描こうとしない。 何故だろう。 抗議しない、戦わないアメリカを見せられて、観ているこちらおn方が途惑ってしまった。 愛する者を失った老人の悲しみを、抑制の効いたタッチで描いた、素晴らしく完成度の高い映像作品である。

そして日本。 今村昌平監督の作品はある意味もっとも難解かもしれない。 聖戦を謳う太平洋戦争から、故郷の村へと帰って来た男。 旧弊な村社会の中で、もはや人間としての自分を否定し、蛇になってしまった男を描いて、聖戦なんかありはしないと叫ぶのである。

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Comments

マフマルバフの映画をごらんになったんですね。この人の作品て独特でしょ~(^^;)。イラン映画は物語があるような無いような、わかりにくい文学小説を読んだあとのような感覚をいつも覚えるんですが、それでも何かむきだしの魂のようなものを感じたりもして。実は半分くらいはよくわからなくて未消化状態なんですが、そのぶんだけ気持ちの隅っこにずっと長くひっかかるんですよね。それはそれで大事なことなのかな、と自分では思ったりしてます。

Posted by: 屁爆弾 | September 17, 2005 at 10:50 PM

>屁爆弾さん
イランのS・マフマルバフ監督をご存知でしたか。 どこか、童話のような、不思議なタッチでしたねえ。 空恐ろしくも、牧歌的とでも言うか・・・

 先生:大変な事件が起こりました。 皆さんは知っていますか?
 女の子:はい! ○○ちゃんのお父さんと●●ちゃんのお父さんが井戸に落ちて死んだの。
 男の子:●●ちゃんのお父さんは脚を折っただけだよ。
 女の子:死んだのよ。
 先生:・・・・・・

ラストシーン。 子供たちが見上げる煙突と、崩壊した貿易センタービルとの間のギャップに付いて考えさせられました。

Posted by: もとよし | September 18, 2005 at 05:26 PM

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