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August 19, 2005

ピアノで聴くバッハ

バッハの鍵盤作品を聴いてみたくなった。 それも、特にパルティータ。 パルティータならば何番でも構わないけれど、但しピアノで奏でたものに限る。 最近は、バッハの鍵盤作品のCDと言うと、本来のチェンバロで演奏されたものが多いけれど、ピアノにはまたピアノならではの良さがある。 そしてなにより、今回はピアノで弾くバッハに拘ってみたい。
周囲を捜すと、ずっと以前に買い求めたCDの中に、お誂え向きの一が枚あった。

 J.S.バッハ
  1.コラール前奏曲「我、汝を呼ぶ、主イエス・キリストよ」BWV639
  2.チェンバロ協奏曲 ヘ短調 BWV1056「アリオーソ」
  3.イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
  4.フルート・ソナタ 第2番 変ホ長調 BWV1031「シチリアーノ」
  5.パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825
  6.イギリス組曲 第3番 ト短調 BWV808
  7.主よ、人の望みの喜びよ BWV147

 ピアノ:スタニスラフ・ブーニン
 EMI CLASSICS 7 63904 2

自分は特段、ブーニンのファンと言う程のモノではない。 かつて、ブームの頃の騒ぎっぷりは凄かったけれど、静観していたしね。 このCD購入の動機はと言えば、曲目がバッハの鍵盤作品への入門に好適と想われたのと、価格が安かったのと、多分そんなところであったと想う。
自分はバッハの作品の中でも、フルートやチェロの絡んだものならば好く聴いてきたけれど、こと鍵盤作品に関しては、ずっと喰わず嫌いして来た。 だから、これは、言わば苦手科目の克服用として買い求めたようなものである。

イタリア協奏曲。 バッハの鍵盤作品の中でも、自分が特に好んでいる曲である。 取り分け速いテンポの両端楽章は、見通しの利いた路をフルスロットルで駆け抜けるような疾走感があって、これなど、バッハをピアノで聴く喜びのひとつに数えて良いと想う。

パルティータ 第1番。 情けないことに、何度聴いても、このメロディーを覚えられないでいる。 これまでに、オフ会などで何度も演奏に接して来た筈なのにねえ。 
演奏の方は、イタリア協奏曲と同様に強靭なドライブ感がウリで、なかでも軽快なテンポのAllemandeにみる躍動感、しなやかさは、ピアノならではの魅力と想う。 とは言え、全体的にメロディー重視と言うのか、ベースラインや対旋律など、強調してはくれないので、音楽がスッキリと聴こえて来る反面、ちと、物足りない気のする瞬間もまたあるのである。 緩除楽章など、重苦しさを極力排したライト感覚だけれど、この辺は聴く人により好悪が分かれるのではないかと想う。 自分としては、少々物足らなく感じた。

イギリス組曲。 これも、イタリア協奏曲やパルティータ 第1番と同様の佳演と想う。
Praludiumにみる強弱の変幻自在さはピアノならではで、ピアノで弾くバッハはこうでなくては、と納得させられるのである。 総じて、聴いていて実に爽やかなバッハなのだけれど、強烈な緊張感で押し通すと言った演奏ではないだけに、ゆっくりとしたテンポの部分では、ちょっと間が持たなくなるのが残念ではある。

このCDには他に、コラール前奏曲「我、汝を呼ぶ、主イエス・キリストよ」、「アリオーソ」、「シチリアーノ」、「主よ、人の望みの喜びよ」と言った小品が収録されている。 どれも好きな曲で、中でも「我、汝を呼ぶ、主イエス・キリストよ」が入っているのは嬉しい。 演奏の方は、淡々と弾いているようでいて、その実、緩急の変化がとてもしなやかであり、旋律の隅々までが活き活きとしている。 曲によっては、ちょっとムーディーに流れすぎかとも思うけれど、こう言った曲は、小五月蝿い事を言わずに、ゆったりと聴けば良いのだと想う。

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Comments

こんにちは!もとよしさん。まだまだ暑い日が続きますね。
バッハのピアノ曲・チェンバロ曲が大好きなんです。
でも、残念ながら私は詳しいタイトルとかは全然解らなくて(覚えて無くて)コラールも弾いたことはあるけれど、
どのコラールなのか?は覚えてないし・・・情けないです。
でも、7.主よ、人の望みの喜びよ は、私の十八番なのです^^
ブーニン、最近久しぶりに日本のnewsで出てるのを見ました。昔ブームがありましたよね。あの後奥さんは日本女性をもらっていたそうです(^_^;)

Posted by: latifa(ポコアポコヤ) | August 19, 2005 at 09:01 AM

>latifaさん
バッハの鍵盤作品がお好きなんですね。 私は、上に書いたように、昔から喰わず嫌いを通しています。(^^ゞ
なので、私の方こそ、旋律のみ聴き知っているコラールが、それこそ幾つもあったりしますよ。(^^;
ブーニン(奥さんが日本人だったとは!)の弾くバッハがすっかり気に入って、このところ、毎晩のようにこのCDを聴いています。 そろそろこの辺で、喰わず嫌いを返上しないとね。(笑)

Posted by: もとよし | August 19, 2005 at 10:20 PM

もとよしさん  初めまして。
でんでん虫さんの所から飛んで参りました。どうぞよろしく。
実は始めてじゃないんですが、優しいワンちゃんが玄関で出迎えてくれ、お人柄を偲びながらも中々奥に入れなく、やっと… 困った人です。

私もクラシック音楽が好きで、若い頃はピアノをしていましたが、今はリスニング・オンリーです。
もとよしさんはフルートとチェロをお弾きになるのですね。羨ましい!
チェロの音が殊に好きで、バッハの無伴奏チェロソナタは私の心の糧となっています。

ピアノで聞くバッハは、私も好き。私は古い人間ですから、CGには馴染めなくて(CGもチューナーが良いといいのでしょうが、家庭の手頃な値段のものはどうも…)やっぱりアナログの音に惹かれます。イギリス組曲もイタリア協奏曲もみんなピアノです。特にリヒテルの平均率は宝の中の宝です。つい音楽のお話相手が見つかるとお喋りに過ぎて、初対面なのに失礼しました。

Posted by: sumiko | August 27, 2005 at 05:13 PM

>sumikoさん。 おいでませ、問はず語りへ~(^ァ^)
私も今、音楽を聴くときはCDオンリーです。 アナログ時代に沢山買い集めたLPは、ある時、思い切って全て手放してしまいました。 今となっては、LPの暖かい音色に憧れるばかりですけれど、一旦CDのお気楽さを知ってしまった身には、あの取り扱いの大変さは辛いですよね。

sumikoさんは、リヒテルの弾くバッハがお好きなんですね。 実は私、ピアノのことはまるで疎くて、周囲の音楽仲間(特にピアニストの皆さん)からは何時も教えられる側です。 彼の平均率の録音は、私ですらその存在を知っているくらい有名ですけれど、恥ずかしながら未だ聴いたことがないのです。 sumikoさんのコメントを読んで、是非とも聴いてみたくなりました。
ではでは、よろしくお願い致します。(^_^)

Posted by: もとよし | August 27, 2005 at 09:59 PM

もとよしさん RES有難うございます。

>アナログ時代に沢山買い集めたLPは、ある時、思い切って全て手放してしまいました。

わあ~! もったいない! 今そういうのを求めてレコードショップへ行く人も居るそうです。神戸三宮の地下街にそんなお店がありました。 私はもうそんな元気も気力もありませんが、その気持ちは分かります。

確かにCDは手頃でいいですよね。私もじっと傾聴する時はレコードですが、食事中とか、くつろぎタイムはCDで充分ですね。

あっ! どうぞ、このコメントにRESのご心配なく。

Posted by: sumiko | August 28, 2005 at 02:39 PM

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