« 三語楼と三三 | Main | 文字化け発生 »

June 19, 2005

ローレライ

 ローレライ

 監督:樋口 真嗣
 出演:役所広司、妻夫木聡、香椎由宇、柳葉敏郎、堤真一、石黒賢

  2005年 日本

標題の映画を観た。 原作は「戦国自衛隊1549」を書いた福井晴敏。

潜水艦に乗るってのは、一体どんな気分がするものだろうか。 なにしろ普通の船舶とは違って、一旦乗り込んだら最後、寄港するまでは密室に閉じ込められた形である。 もちろん水中を覗く窓なんぞ、ありはしない。 外界と遮断されたその中では、昼も夜も無いのではないか。 乗っていて、艦が進む感覚とか、周囲の海流の流れとか、感じる事があるのだろうか? などと、いろいろと好奇心をそそられるのである。

太平洋戦争末期、広島に原子爆弾が投下された翌日から物語は始まる。 特攻を嫌ったために艦長職から外されていた絹見少佐が伊507の艦長に着任した。 次なる原爆投下を阻止するため、南太平洋のテニアン島に向かのである。 米艦隊の集結する海域への進入は困難を極めるが、伊507はドイツ軍の開発した新型索敵装置ローレライシステムを装備していた。
絹見艦長の下、潜水艦と言う名の密室で共に戦う乗組員達は急場の寄せ集め。 ローレライシステムの恐るべき実態。 次々に襲い掛かる米艦隊との戦いなど、見所には事欠かない映画であった。

   ▽▲▽▲▽▲  以下はネタバレがあります  ▽▲▽▲▽▲
 
まずは、潜水艦内部のセットの素晴らしさに拍手を贈りたい。 もちろん、自分は潜水艦に乗った事などないから、どれほど忠実に造ってあるかなど、判りはしないのだけれど。 それでも、艦内中そこかしこ手垢の付いたようなリアリティは素晴らしいと想った。 薄暗い照明に照らされる艦内は、機能一点張りで至る所が部品だらけ。 その中で勤務する乗組員たちと一体になって、現場感覚がびんびん伝わって来る。

役所広司演じる絹見艦長以下、潜水艦乗組員の面々は、皆一癖も二癖もあって魅力的だ。 彼らが展開する密室劇が、この映画の魅力の大部分と想う。 先任将校木崎の職人気質や元回天特攻隊員折笠の純情。 酒飲みの岩村機関長は、宇宙船艦ヤマトの佐渡先生へのオマージュではないだろうか。 そして、そこに加わるのがローレライシステムの中枢部分そのものとなる少女パウラで、感情を抑えた演技が好い。

海上~海中シーンの殆んどはCGだろうか。 最新の技術が導入されているのであろう。 一幅の絵を見るような美さで、惚れ惚れと見とれてしまう場面も多かった。 造り手のイメージを、そのままCGに生かせるような時代になったと言う事なのかもしれない。 取り分け、潜水艦の孤独さを象徴するかのような、海中の蒼さは印象的である。 一方、CGのリアリティと言う事でいけば、まだまだイマイチとも想う部分も多々あって、この辺は、気になる人にとってはユルセナイと言う事になるのかもしれない。 その辺り、ヴィジュアル的に何を求めるかで、人に寄って評価が分かれると想う。

戦闘シーンのスピード感溢れる演出は特筆もので、これはCGやデジタル編集を多用したお陰だろうか。 実写や模型では得られない、新たな魅力が、最新の技術によってもたらされているのだろう。 伊507の航海が始まって直ぐに「敵機襲来!急速潜行せよ!」と来るのだけれど(実は抜き打ち訓練)、最後まで艦橋に居た絹見が、艦の潜行寸前に艦内に飛び込むあたり、きっと実際にはありえないのではないかと想うけれど、ファンタジックな演出で取り分け印象に残った。

クライマックスの戦闘シーン。 たった一隻の潜水艦が米艦隊を翻弄してのけるあたりは、「沈黙の艦隊」の原潜やまとを思い出す。 ローレライシステムを備える伊507が敵の爆雷、魚雷網を自在に掻い潜るのは良いとして、
魚雷も連装砲も百発百中と言うのは、あまりにも不自然と言う気がするけれど、演出のスピード感と相まって、まあ良いか、と想う。
エピローグで、伊507の乗組員の生き残り達のその後消息は不明であること。 またしかし、伊507から切り離されたN式潜航艇に乗っていた折笠とパウラは子孫を残した事が示唆される。 現代の米国(おそらく)の砂浜の、優しい陽射しの中で映画は終わるのである。

潜水艦の映画は、随分久しぶり(Uボート以来か?)に観た気がする。 総じて、とっても楽しめた映画である。

|

« 三語楼と三三 | Main | 文字化け発生 »

Comments

ローレライは、私も観ました。艦内の様子細部にわたってリアルでしたね。命を賭けて守ろうとする人、そして「生きろ!」未来を託す若者へ・・・・
平和な今、考えさせられますねえ。いい映画でした。ヘイリーの歌う「モーツアルトの子守唄」見終わった後、頭の中に響いていました。
そうですね、CGを駆使したであろう場面はいまいちでした。

Posted by: みい | June 19, 2005 at 05:27 PM

>みいさん
みいさんもご覧になったんですね。
そう、「命を掛けて守ろうとするもの」と言うのが、この映画の主題でしたね。
先日観た映画「戦国自衛隊1549」は、この映画と同じ福井晴敏の原作ですけれど、平成の世を生きる主人公が、自分には守るものなどないと語る(後になって、本当はある事に気付くのですが)シーンがありました。 この辺り、原作者の一貫して掲げるテーマなのかもしれませんね。

Posted by: もとよし | June 19, 2005 at 07:45 PM

こんにちは、もとよしさん♪
暑いですね~~~~っ!私は寝不足です。
エアコンまだ入れっぱなしで寝るには早いかあ・・と
最初だけつけて寝たものの、寝苦しくて、ヘロヘロの朝です。

ローレライ、私も興味あって、映画館には見に行くことが
出来なかったけれど、レンタル始まったら必ず見ようと思っています。本当は映画館で見た方が、迫力が凄くて良いよ、って聞いていたのですが・・・残念です。
すごい豪華な俳優勢揃いですよね。

Posted by: latifa | June 27, 2005 at 08:22 AM

>latifaさん
滅茶滅茶暑いですね~。 映画で観た蒼い海の底が恋しいです。(笑)
海上、海中シーンなどはCG使いまくりの映画なので、そこのところで好き嫌いが別れるかもしれませんね。 因みに私はCGって奴がイマイチ苦手なんですけれど(^^;、この映画はかなり楽しめました。

Posted by: もとよし | June 27, 2005 at 10:22 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/4612280

Listed below are links to weblogs that reference ローレライ:

» ローレライ [ドリアンいいたい放題]
今更ですが・・・・・ 3月に見ました。 とても心の中が熱くなりました。 柳葉がとても良かった!家族愛を一番強調できていた! 日本に生まれたならば、全員が見てほしいと思いました。 史実には正しくなくても魂が・・・ それは日本人の魂だけではなく役者としての魂がこもっています。 是非、見てほしい一作です。 著者: 福井 晴敏 タイトル: ... [Read More]

Tracked on June 29, 2005 at 10:28 PM

» ローレライ [Rohi-ta_site.com]
ビデオで役所広司、柳葉敏郎、妻夫木 聡、香椎由宇、出演の「ローレライ」を観ました。 ●ストーリー 1945年8月、広島に最初の原子爆弾が投下されて間もなく、海軍軍令部作戦課長の浅倉大佐(堤 真一)は、かつての名艦長で現在は閑職に回されていた絹見少佐(役所広司)を呼び出すと、ドイツ降伏後、日本海軍が密かに入手していた潜水艦「伊507」の艦長に任命し、日本を救うため原爆を積んだ爆撃機が離陸するテニアン島への奇襲攻撃を命じる。 定員にも満たない、寄せ集めの乗組員達を厳しい訓練で鍛えながら..... [Read More]

Tracked on August 26, 2005 at 03:27 PM

» 映画『ローレライ』(LOERELEI)樋口真嗣・福井晴敏 [~Aufzeichnungen aus dem Reich~ 帝国見聞録]
気鋭の人気ミステリ作家福井晴敏と、平成『ガメラ』で名を馳せた樋口真嗣監督が、強力タッグを組んで放つ壮大なスケールの潜水艦アクション巨編!! ということで、今回はいつになく激しくネタバレで行きます。 でも、これ読んでから観てもガッカリすることはないと思..... [Read More]

Tracked on November 27, 2005 at 11:22 PM

« 三語楼と三三 | Main | 文字化け発生 »