« ピアノオフ 2005 梅雨 | Main | 三語楼と三三 »

June 14, 2005

戦国自衛隊1549

 映画「戦国自衛隊1549

 監督:手塚昌明
 出演:江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史、中尾明慶、北村一輝、宅麻伸、伊武雅刀
   2005年 日本

標題の映画を観た。 原作は福井晴敏の同名の小説。 これにはオリジナルがあって、その、半村良の「戦国自衛隊」も1979年に映画化されている。 自分はずっと昔に、半村良の「戦国自衛隊」ならば読んだ事がある。 1979年の映画版「戦国自衛隊」と、福井晴敏の「戦国自衛隊1549」に付いては知らない。
 
 
   ▽▲▽▲▽▲  以下はネタバレがあります  ▽▲▽▲▽▲
 
 
前置きなしで、いきなり人口磁場実験の失敗シーンから始まる簡潔さが良い。 突如として戦国時代に放り込まれた隊員達(もちろん、彼らは自分たちがタイムスリップしたことなど知る由も無いのだが)に襲い掛かる弓、槍と刀の一団。 全て実物(しかも現役装備!)を使用した戦車や装甲車の迫力もさることながら、白兵戦のコワさがひしひしと伝わって来る演出であった。 それにしても、何処からともなく飛来する矢の恐怖と来たら、もう・・・

冒頭の実験の失敗により、戦国時代へとタイムスリップした的場1佐の第3特別実験中隊と入れ替わりに、斎藤道三の家臣、飯沼七兵衛が平成の世に現われた。 戦国の世に生まれ育ったこの七兵衛、現代日本にあっては、もはや絶滅し果てたと言って好い高貴なサムライである。 この七兵衛が、平成日本を世直し行脚する・・・なんていうストーリーで映画の一本くらいはいけそうなくらい、凄く魅力的なキャラクターと思う。 洋服(武人らしく、さっぱりとした装いの)を着た飯沼七兵衛が、早朝、主人公の鹿島が店長を務める居酒屋の店先に現われる場面は、自分がこの映画の中で取り分けて好きなシーンである。

的場1佐と第3特別実験中隊を救いに(場合によっては倒しに)向かうのがロメオ隊である。(この「ロメオ」ってどんな意味なんだろう?) 的場1佐の元部下であった鹿島もこれに加わる。 この映画は殆んどが富士山の裾野で撮影されたようで、どこまでもススキの原が拡がる背景は雄大だけれど、まぁ、単調と言えば単調。 陸上自衛隊が戦国時代のゲリラ戦法に手を焼くシーンはリアリティもあって凄く見応えあり。 戦国武者達に捉えられたロメオ隊は、織田信長を僭称する的場1佐の居城、天母城に連行される。

さて、ここまでは、まがりなりにもハードSFであったのが、ロメオ隊の一行が天母城に入った後は、急激に漫画チックな展開を始める。 自分は、こういうのも嫌いではない。 もしも、このままシリアス路線でドラマが進んだら、イラク派遣とオーバーラップしてゆくのかもしれないね。
殺らねば殺られる、という状況の中で、実弾の使用を廻ってなお葛藤するロメオ隊。 実弾の非使用にこだわり抜いた森3佐の壮絶な戦死を契機に、ロメオ隊の反撃が始まった。

この映画は脇役陣が好い。
戦国時代の申し子的存在、中尾明慶の藤助と北村一輝の飯沼七兵衛がそれぞれ好演。 彼らをそれぞれ秀吉、信長に仕立てるアイデアは秀逸の一言。 そう言えばこの二人、確かに秀吉と信長にピッタリのキャラな訳で、これには「やられた!」と思いましたね。 ハイ。
宅麻伸の蜂須賀小六は、出番こそ少ないけれどハマリ役。 伊武雅刀@デスラー総統の斎藤道三と言うのは、如何にもの配役だけれど、腹黒剽軽なマムシっぷりが、とにかくお茶目で可笑しいのだ。

とにかく急げ急げと言った感じのクライマックスは、あんまり深く考えるべきではないのだろう。 戦車も城も燃え尽きてしまい、秀吉、信長が現われて、歴史はかく補完された。
鹿島達ロメオ隊の生き残りが現代に戻って来たラストシーンは、なんか好い感じで、「ルパン三世 カリオストロの城」のラスト(好きなのだ)を、ちょっと思い出した。
妙にダサくて(失礼)、かつウェットな音楽に付いては・・・今ひとつ良く判らなかった。 (しかし、チェロに美味しいソロが多かったのだよ)
後半は、もうすっかり漫画なんだけれど、ビジュアル的に実にしっかりと造りこんであって、見応え十分だった。 ストーリー的にもなかなか楽しめたし、歴史上の矛盾をあれこれ突っ込むのもまた楽し、などと思うのである。

|

« ピアノオフ 2005 梅雨 | Main | 三語楼と三三 »

Comments

こんばんは。TBありがとうございます!
脇役の方々が個性的で楽しめましたね。
>、「ルパン三世 カリオストロの城」のラスト
ああ~、それは一体、どんなのでしたっけ!?遠い昔に観ましたが、なんとなく分かるような…お姫様みたいなお嬢様が出てくるのですよね?おっ、ルパンてば、今回はちょっと渋いじゃん、と思ったような記憶が…。
この映画は、劇画調でほんとにアニメみたいな話だなぁ、トンデモ系の奇想天外で、キャラがそれぞれ際立ってるし、と思ったのでした。

Posted by: ぺぺ山田 | June 14, 2005 at 11:19 PM

>ぺぺ山田さん
おいでませ、問はず語りへ!

>>「ルパン三世 カリオストロの城」のラスト
>ああ~、それは一体、どんなのでしたっけ!?遠い昔に観ましたが、なんとなく分かるような…

え~と、それは「カリオストロの城」のラスト辺り。
ルパン一行が去ってブルーなクラリスに向けて言う、銭型の父っつぁんの不朽の名科白「いいえ、奴は大変なものを盗んでいきました。それは、あなたの心です。」の後ですね。
日本に帰還するトラックの荷台から、クラリスにニッコリ手を振る銭型配下の警視庁機動隊員達(激しい戦闘の後でみんな満身創痍、でも、とっても好い顔なのです)・・・の図が、ヘリの前に整列して鹿島に敬礼するロメオ隊員達と重なったです。
手塚監督も、案外ルパンのファンだったりして・・・(笑)

Posted by: もとよし | June 15, 2005 at 10:33 PM

コメント&トラックバックありがとうございました。
お返事遅くなってすみません。
リアリティを無視した荒唐無稽な展開ながら、ストーリーは面白かっただけに、細かい点の不満があまりにも多いのは残念でした。
この映画のメッセージである「未来」=「希望」という言葉は、我々が次の世代への「約束」であり、「責任」であると思うのです。
一人の力は小さいけれど、岩をも砕く波のようにゆっくりと確実に、果たしてゆきたいと考えています。
マイブログは映画についてしか書いておりませんが、またご興味ありましたらご来店お待ちしております。

Posted by: まつさん | June 25, 2005 at 04:15 PM

>まつさん
コメントとTB、ありがとうございます。
ラスト、三人して晴れ晴れと富士山を仰ぐ信長(七兵衛)、秀吉(藤助)、濃姫らの姿が印象的でした。
誰かが無理矢理に変えようとしても、河の流れのように、とどのつまり元の形に戻ってしまう歴史の復元力。
現代に生還した鹿島らは、果たして歴史から何かを学んで来たろうか・・・その辺りが曖昧なままなのが、後味の悪さとなっている気がしますね。
まつさんのブログ、また覗きに行かせて頂きます。

Posted by: もとよし | June 25, 2005 at 09:56 PM

こんばんは!echo&コメ、ありがとうございました!
少なくとも、江口じゃなくって、もっと覇気のある役者さんなら、、、
とか思いました。
しかし、最後みんなが拍手で迎えるシーンは、、
自衛隊へのお礼でしょうか?
またよろしくお願いしますね!

Posted by: 猫姫少佐現品限り | January 05, 2006 at 02:59 AM

>猫姫さま
おいでませ問はず語りへ~(^ァ^)

>最後みんなが拍手で迎えるシーンは、自衛隊へのお礼でしょうか?

うんうん、そんな気がしますね。 なにしろ現役装備を惜しげもなく提供した全面協力ですからねえ。 戦車、弱かったけど。(爆)
ともあれ私の場合、なによりムード的に(^^ゞ、ああいうラストシーンって大好きなんです。

Posted by: もとよし | January 08, 2006 at 12:57 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/61645/4545879

Listed below are links to weblogs that reference 戦国自衛隊1549:

» 「戦国自衛隊1549」 [わたしの見た(モノ)]
「戦国自衛隊1549」 期待していたのだが...   普通、劇場を後にするまでに、何らかの感情が沸きあがるものだが、 今回は皆無。 良い or 悪い、面白い or 面白くない、いずれも当てはまらない。 全体的に薄味な作品。 福井晴敏の計算しすぎた設定、ストーリー展開。 意外性なく、毒気なく、強烈な個性もない。 見せ場の戦闘シーンは、お金をかけているが、印象的でな�... [Read More]

Tracked on June 14, 2005 at 09:16 PM

» 『戦国自衛隊1549』 [ぺぺのつぶやき]
2005年 日本 119分 監督 手塚昌明 原案 半村良 原作 福井晴敏 脚本 竹内清人 、松浦靖 出演 江口洋介 、鈴木京香 、鹿賀丈史 、北村一輝 、綾瀬はるか、生瀬勝久、嶋大輔、的場浩司、宅麻伸、中尾明慶、伊武雅刀 「戦国自衛隊1549」公...... [Read More]

Tracked on June 14, 2005 at 10:45 PM

» 戦国自衛隊1549 信長最高★4 [おえかき上達への道]
戦国自衛隊1549 ★★★★☆ タイムスリップものは大好きです♪ 陸上自衛隊が実験中に誤って戦国時代にタイムスリップ その後、織田信長として台頭している的場一尉 的場の計画により平成の時代も危うい。 この設定で既にノックアウト状態。 そして、 更においしいエッセン..... [Read More]

Tracked on June 16, 2005 at 12:28 AM

» 戦国自衛隊1549 [Akira's VOICE]
飛ばされた! 外国に? いや戦国時代に! [Read More]

Tracked on June 16, 2005 at 05:28 PM

» ★★角川「戦国自衛隊1549」観て来ました★★ [★★かずくんままのマネー&映画日記 名古屋ポケパーク行ってきました★★]
東宝の株主総会で頂けるチケットを譲っていただいたのがあったので観て来ました。 5月末にある東宝の株主総会では6月末まで有効の劇場券を頂けるそうです。 今回のチケットは劇場指定で「電車男」「交渉人 真下正義」「戦国自衛隊1549」が観れました。 当日観れる券は無かったそうです。 (株主じゃないので詳しくなくてごめんなさい) この映画は角川映画で作られて東宝系のスクリーンでの上映です。 ここから映画の... [Read More]

Tracked on June 18, 2005 at 09:20 PM

» 戦国自衛隊1549 [まつさんの映画伝道師]
第124回 ★★★(劇場)  もしも突然、自分が過去へタイムスリップしたらどうするだろう?  時は戦国時代。  通信機器をはじめとする文明の利器などない。それどころか「電気」さえ存在しない。  当然、逆浦島太郎状態にある自分の周りに親子親戚縁者... [Read More]

Tracked on June 25, 2005 at 10:38 AM

» 戦国自衛隊1549 [欧風]
5日の日曜に予告編を載せて、それから連日自衛隊潜入レポートを載せたりして、観てもいないのに煽っちゃいましたが、とうとうこの陸上自衛隊全面協力の映画「戦国自衛隊1549」が昨日から公開されました~!まあ、他の映画の時にやっていた予告編で良さそうだな~と思ったんで勧めたんですけど、さて実際はいかに?タダ一点心配だったのが、原作者が「この映画」と同じだっていう事(^_^;)。 まあ、言い出しっぺの私が初日に観に行かないでどーする!って事で、昨日の「サッカー」を観て余韻に浸りながら、そのまま「いつもの... [Read More]

Tracked on June 25, 2005 at 10:50 AM

» 「戦国自衛隊1549」劇場版 [映像集団【闇と鮒】撮影日誌]
公式サイト『戦国自衛隊1549』 (前より見たいと思っていた穂晴敏原作の「戦国自衛隊1549」を見てきました。  穂晴敏と言えば、ちょっと前に上映されていた「ローレライ」(原作はたしか『終戦のローレライ』)も彼が原作。もう少ししたら公開される「亡国のイー..... [Read More]

Tracked on June 26, 2005 at 02:35 AM

» 戦国自衛隊1549 [ドリアンいいたい放題]
世の中の評判があまりよろしくないので 二の足を踏んでいたが、今日見てきました。 個人的にはかなりの高評価です。 楽しんで見てきました。 タイムスリップものという観点で見に行ったからかもしれない。 タイムスリップものと言えば 「時をかける少女」や「Back To The Futuare」・・・ アニメだったらそれこそ、 「ドラえもん」 そういえば、「今、会いにゆきます」もタイムス�... [Read More]

Tracked on June 29, 2005 at 08:26 AM

» 戦国自衛隊1549 [きょうのできごと…http://littleblue.chu.jp/]
友人・知人の評価がいまいちだったんですが 綾瀬はるかちゃんが出てるし、生瀬勝久氏も出てるので 劇場へGO-! って、この作品も「FLY,DADDY,FLY」よりも前に観てたんですけどね。 どんだけ上げるの遅いんだっつう話しで…orz 「戦国自衛隊1549」2005年公...... [Read More]

Tracked on July 21, 2005 at 08:52 PM

» 戦国自衛隊1549 今年の248本目 [猫姫じゃ]
戦国自衛隊1549 一応、大和から、戦争物、鈴木京香 さんつながりね。 皆さんのブログ、読んではいないんだケド、何となく、評判が悪いのは知っていました。でも、リメイクなので、どんな映像が見られるのか、楽しみにはしていたのですが、ん〜、、、なんとも、、、 ま、現...... [Read More]

Tracked on January 04, 2006 at 05:37 PM

« ピアノオフ 2005 梅雨 | Main | 三語楼と三三 »