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June 27, 2005

雨の歌

ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調op.78「雨の歌」、
第2番イ長調op.100、
第3番ニ短調op.108、
ソナタ楽章ニ短調Wo.02

  ピンカス・ズッカーマン(ヴァイオリン)
  マーク・ナイクルグ(ピアノ) (1992~3/RCA)

寝る前などは、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ「雨の歌」のCDを好んで聴く。 これは特段、梅雨時だからと言うのではなくて、かなり以前からずっと愛聴しているのである。
CDはピンカス・ズッカーマンのヴァイオリンとマーク・ナイクルグのピアノによる演奏。 拙宅のブラームスのヴァイオリン・ソナタのCDは、今のところこの一枚しかない。 どちらもマイペースを守って、心豊かに音楽を紡いでゆく姿勢が嬉しい。 聴いているうちに、自分の気持ちが、ゆっくりと満ち足りてゆくのが判るのだ。

ズッカーマンのヴァイオリンは、テクニックを誇示することもなく、美音でしなを造って見せたりもしない。 その代わり、聴いている内に、次第にその存在感に引き寄せられてゆく、ちょっと渋目の性格俳優と言ったイメージがある。
ナイクルグのピアノもまた同様で、この二人の演奏からは丁々発止とした掛相など期待出来ない替わりに、悠揚とした大人達の会話がじんわりと聴こえて来る。 その分、聴き手に強烈にアピールするところがない訳で、ちょっと損をしているのかもしれないね。

ブラームスとしては、随分と爽やか目の演奏と言えるのかもしれない。 なにしろ梅雨時なんで、鬱陶しい音楽なぞ聴かせられたら堪らないけれど、こんな二人の演奏だから晦渋にもならない。
それにしてもこのCDは、何度聴いても一向に飽きの来ないのが不思議だ。 繰り返し聴くほどに、ブラームスの楽曲とズッカーマン、ナイクルグの演奏の奥深さが窺い知れて、それではもう一回聴いてみようか、と言う気分になるのだ。 長いこと、地味で不器用なばかりの人と想っていたのが、好く観察してみたら意外なお洒落さんで、あちこちこだわり抜いているのに、すっかり見直しちゃったってところかな。

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June 26, 2005

「徳川家康」第6巻 燃える土の巻

「徳川家康」 第6巻 燃える土の巻
         (山岡荘八著 講談社文庫)

戦乱の犠牲となるのは武士だけに限らぬ。 人質として、罪人の縁者として散らねばならぬ人々・・・哀憐の一巻。

家康は長篠城を手に入れるための秘策として、山家三方衆の奥平美作を徳川方へと寝返らせることに成功する。 大名家の従属関係の常識として、奥平家から武田家に人質を差し出してあるのだが、武田方から徳川方へ寝返った場合、この人質らを見殺しにすることになる。 乱世とは言え、なんとも無残な話しである。 奥平家の繁栄と存続のため、笑って斬られにゆく末子の千丸。 納得のゆかぬまま死ぬおふう。

その奥平家に嫁ぐことになるのが、家康の長女亀姫である。 我が侭一杯に育てられて来ただけに、築山殿の二の舞を演じるのではないかと先々が心配ではある。 ともあれ、幾多の犠牲を払って長篠城は家康の手中に収まった。

信長の浅井攻めにより小谷城が落ち、お市の方と娘らが織田家に戻って来た。 生涯に三度落城を経験することになる茶々の、これが最初の落城である。
お市の方救出劇の立役者、羽柴秀吉の廻りには竹中半兵衛の他、加藤虎之助、福島市松、片桐助作、石田佐吉、蜂須賀小六など、後の豊臣家を支えるメンバーが揃い始めているのが楽しい。

家康も分別盛りと言う事なのか、戦に勝っても喜ぶどころではない。 城に戻るやいなや、今度は農作物の収穫の心配をしているのである。 それが終われば、次の戦いに向けての準備と、三河の領主は休む暇も無く働き続けるのだ。 大名にとっては、戦そのものよりも、戦の前に済ませておくべき仕事の方が余程大変なのではないか、などと思わせられる。

確かに、勝頼のように戦功を焦って無理な戦ばかり重ねていると、国力はあっと言う間に疲弊し果てて、人心もみるみる離れてゆく。 そうすると、武田のような名家と言えども、あっと言う間に落ちぶれてしまうのだ。 だから、単に戦に強いだけでは、やっていかれない。 ともあれ、家康ってあんまり明るい人とは見えない。 家康=インケンと言うイメージは、この無慈悲なまでの現実直視主義から来ているものなのかもしれない。

大賀弥四郎の謀反が漸く発覚した。 財務のスペシャリストとして重用した寵臣だけに、家康としても余程ショックであったろう。 弥四郎の極刑はもちろんとして、当時の習慣により、何も知らない家族もまた処罰を免れ得ないのである。 旧知の弥四郎の妻女に対して、罪過を告げねばならない大久保忠世の苦悩には同情を禁じえない。
 
 
 
羽柴秀吉  「半兵衛、この秀吉が、お市どのに惚れている
         などと思うなよ」
竹中半兵衛 「この期に及んでのお戯れ、恐れ入りました」
羽柴秀吉  「どうだな、久政をあっと言わせる手は」
竹中半兵衛 「あっと言わせるのは久政ではござります
         まい」
羽柴秀吉  「誰だ。長政の方か?」
竹中半兵衛 「いいえ、味方の御大将、信長公でなければ
         なりませぬ」
 
 
 
<<あらすじ>>
徳姫の侍女喜乃は、築山殿から産褥のお万の方殺害を命じられ、浜松城へと入ったが、お愛と本多作左衛門に謀を見破られ、お万の方も事無きを得る。 築山殿の嫉妬心を恐れる本多作左衛門は、お万の方を中村源左衛門宅に預けた。

信玄の死を確信した家康は、長篠城の総攻撃を準備する。 山家三方衆の一人で作手城主奥平美作守貞能を密かに内応させ、武田陣営を混乱させようと言う作戦である。 奥平美作は、徳川方に寝返る代償として、家康の長女亀姫を嫡子九八郎貞昌の嫁に所望した。
武田方から謀反の疑いを掛けられた奥平貞能は、武田信豊に決死の申し開きをして、その場を切り抜けると同時に、末子の千丸と九八郎貞昌の名目上の妻おふうを人質として差し出す。 寝返りの代償として彼らが処刑されるのは覚悟の上である。
こうして奥平貞能の協力を得た家康は、漸く長篠城を落とす事が出来た。

勘定方の大賀弥四郎は、家康が長篠城を攻めている隙に、城主不在の岡崎城に武田軍を引き入れようと、部下の山田八蔵を武節城に送り込むが、八蔵は勝家とのコンタクトに失敗してしまう。
大賀弥四郎の計略が上手く運ばないことに感づいた築山御前は気落ちするが、しかし、今度は長女の亀姫が、築山御前の気性を受け継いだような勝気さ、傲慢さを発揮し始めた。

長篠城攻めを終えて浜松へ引きあげた家康は、ほっとする暇も無く、今度は内政に立ち働いた。 それはまるで、安心し切って何ものかに足元を掬われることを畏れるかのようであった。
お万の方が男児を出産。 が、家康は築山御前に気兼ねして、我が子に会おうとはしなかった。 我が子に対して、率直に愛情を示せない家康に憤る徳川家の重臣達。

信長の浅井家攻略が始まった。 強大な信長軍に攻められれば、万に一つも勝ち目の無い小谷城だったが、信長からの再三に渡る降伏勧告に対して、信長を嫌いぬく浅井久政は断固として投降を拒み続けた。
お市の方は三人の姫ら共々、浅井久政、長政父子と運命を同じくする覚悟であったが、長女茶々姫だけは生への強い執着を見せた。
軍使による説得が効かぬと見て取った信長は、秀吉にお市の方と三人の姫の救出作戦を一任する。 秀吉にとってこれは出世のチャンスであると同時に、失敗の許されない賭けでもあった。 秀吉と軍師竹中半兵衛は、手勢を投入して城内を二方に分断させ、浅井父子の連絡を絶つ事で、見事にお市の方と三人の姫の保護に成功する。
かくして浅井氏は滅んだ。 秀吉は浅井攻めを成功させた功績により、小谷城十八万石の城主となった。 早速に領内を視察する秀吉は、没落していた京極家の房姫を見出す。 貴種好みの秀吉は、嬉々として室に迎えることにした。

武田勝頼は長篠城の落城に苛立っていた。 更に、信玄以来の旧臣達の信頼を勝ち得ないことから来る焦りから、奥平美作守から差し出された人質の千丸、おふう、虎之助を磔刑に処した。 幼くとも武人として死ぬ覚悟の千丸と虎之助。 一方おふうは、政略の道具とされたことへの、不当な思いを胸に留めたまま処刑される。 この後、武田軍は長篠から甲州へと兵を退いていった。

家康は、武田軍が再び襲ってくる事態を見越して、領内の米を早めに収穫させて城内へ蓄えるなど、糧食の確保の余念が無かった。 磔刑にあったおふうを憐れに思う家康は、おふうの妹の於阿紀を弟松平定勝(元の長福丸)の妻へと迎えた。
やがて、家康の読みの通り武田軍が浜松に向けて襲来した。 が、正面切っての対決に持ち込まず、随所で翻弄させて廻る家康。 三方ケ原の戦いの折、信玄に歯向かって手痛い目にあった家康だが、今度は家康が勝頼をあしらう番だった。 無念を抱いて甲斐に引きあげる武田勝頼。

お万の方の子、於義丸が誕生した。 それを知って素直に喜ぶ我が子信康を見る築山御前は寂しかった。 徳姫の侍女の小侍従は、築山殿と大賀弥四郎の陰謀に気付いて徳姫に告げた。 癇癪を起こした信康は、徳姫に怪我をさせ、更に小侍従を斬り捨ててしまう。 しかし小侍従は只の侍女ではなく、信長が徳姫のために特に寄越した者である。 自らの仕出かした所業に呆然とする信康。

甲州勢が高天神城攻めを開始した。 家康の元には高天神城からの再三に渡る救援要請があったが、家康は城将の小笠原与八郎を信頼していなかった。 家康からの要請を受けて、信長も救援に向かったが、これも戦略上の駆け引きで、本気で戦う気持ちは無かったのである。 遂に、高天神城はおちるに任せた。

築山殿を見限った大賀弥四郎は、徳姫に謀反を告げ口する。 無論、自分に付いては清廉潔白であると言い添えての上である。 山田八蔵は、そんな大賀弥四郎の無慈悲さを見て怖れをなし、次は自分が捨てられると思い込んで、同僚の近藤壱岐に全てを打ち明けた。
主君の寵臣を謀反人として訴えることは、並大抵の覚悟で出来る事ではなかった。 近藤壱岐は決死の思いで家康に直訴する。
こうして大賀弥四郎は遂に捉えられ、城下で処刑されたのである。
 
 
 
<<登場人部>>
<徳川家>
徳川家康:徳川家当主
徳川信康:徳川家嫡子
瀬名:築山殿 家康の正室 今川義元の姪
徳姫:信康の妻 信長の長女
亀姫:家康の長女
於義丸:家康とお万の長男
お愛:家康の傍に仕える
お万:家康の側室
あやめ:信康の側室
<徳川家家臣>
伊井万千代直政
久世三四郎広宣:高天神城を守る
近藤壱岐
今村彦兵衛:町奉行配下
坂部又十郎:高天神城を守る
榊原小平太康政
小笠原与八郎長忠:高天神城の守将
松平外記
石川家成
石川数正
大岡助右衛門:町奉行
大河内源三郎政局
大賀弥四郎:勘定方 築山殿と不義を働く 甲斐と内通
山田八蔵重秀:大賀弥四郎の手下
小谷甚左衛門:大賀弥四郎の手下
倉地平左衛門:大賀弥四郎の手下
大久保忠世:忠俊の孫
大久保平助:忠世の末弟 彦左衛門
中山是非之助:高天神城を守る
中村源左衛門:産褥のお万を預かる
渡辺金太夫:高天神城を守る
平岩親吉
本間八郎三郎:高天神城を守る
本多作左衛門
野中五郎重政:信康付きの家来
おつね:山田八蔵重秀の妻
於阿紀:夏目治貞の娘 おふうの妹
お粂:大賀弥四郎の妻
お琴:侍女
喜乃:侍女 お琴の妹
小侍従:徳姫の侍女

<奥平家>
奥平美作守貞能:奥平家当主 山家三方衆の一人 作手城主
奥平九八郎貞昌:奥平家嫡子
千丸:貞能の末子 武田方の人質
おふう:貞昌の名目上の妻 夏目治貞の娘 武田方の人質
<奥平家家臣>
奥平虎之助:武田方の人質
奥平六兵衛
夏目五郎左衛門治貞
黒屋甚九郎重吉:千丸の守役
同苗六兵衛

<織田家>
織田信長:織田家当主
濃御前:信長の正室
<織田家家臣>
森蘭丸:信長の小姓
羽柴秀吉
竹中半兵衛:秀吉の軍師
加藤虎之助:秀吉の荒小姓
石田佐吉:秀吉の荒小姓
福島市松:秀吉の荒小姓
片桐助作:秀吉の荒小姓
蜂須賀小六:秀吉の腹心
木下家定:寧々の兄
お八重:秀吉の妻 寧々
佐久間信盛
柴田勝家
前田又左衛門利家
丹羽長秀
不破河内守:小谷城への軍使を務める
明智光秀

<浅井家>
浅井長政:浅井家当主
浅井久政:隠居 長政の父
お市の方:長政の室 信長の妹
茶々姫:長政とお市の長女
高姫:長政とお市の次女
達姫:長政とお市の三女
<浅井家家臣>
浅井七郎
浅井石見守親政
浅井福寿庵
井口越前守政義
三田村左衛門佐
小野木土佐
森本鶴若太夫:幸若舞の太夫
赤尾美作守清綱
千田釆女正
藤掛三河
木村小四郎
木村太郎次郎
雄山和尚

<朝倉家>
朝倉義景

<武田家>
武田勝頼:武田家当主
武田逍遥軒:信玄の弟
武田左馬之助信豊
<武田家家臣>
一条右衛門
甘利左衛門尉昌忠
穴山梅雪
山形三郎兵衛昌景:甲斐の名将
初鹿野伝右衛門
小池五郎衛門:信豊の家老
跡部大炊助
土屋右衛門尉昌次
馬場晴信
片山勘六郎

<上杉家>
<上杉家家臣>
山形秀仙:織田家に使いする

<その他>
房姫:京極家の姫
京極若童子丸:京極家当主
助右衛門:日近村の農夫
随風:諸国行脚の僧
 
 
 
遂に大賀弥四郎が捉えられた。 家康もこの事件に付いては反省するのだが、しかし、もともとの原因はといえば、家康の築山殿に対する態度であろう。 それは駿府に人質になっていた時代に端を発している、どうしようもなく根深いものである。 その意味で、家中の病根は、未だすっかり取り除かれた訳ではないのである。
 
 
天下泰平まであと20巻。

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June 24, 2005

文字化け発生

拙宅のPCが何時の間にか文字化けを起こした。 例えば、IEのドロップダウンリストの▼やスクロールバーの▲▼が'6'に、また丸括弧( )が角括弧[ ]に化けたりするのだ。 表記上の問題だけで、実使用上は特に影響はなし・・・と言う訳でもない。 メールや他所様のブログへコメントさせて頂いた文章の中でも、例えば(^_^;が[^_^;になってしまっているのだ。
これはなんとかせねば、と言う訳で、早速ネットを使って原因を調べたら、どうやらフォントキャッシュが壊れていたらしい。 対処方法はいたって簡単である。 一旦ttfcacheを削除して、セーフモードで再起動。 その後更に再起動する事で、復旧させる事が出来た。 フォントキャッシュが壊れた原因は未だ不明で、一抹の不安は残るものの、自力で元に戻せたので、まずは万々歳と言いたいところ。

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June 19, 2005

ローレライ

 ローレライ

 監督:樋口 真嗣
 出演:役所広司、妻夫木聡、香椎由宇、柳葉敏郎、堤真一、石黒賢

  2005年 日本

標題の映画を観た。 原作は「戦国自衛隊1549」を書いた福井晴敏。

潜水艦に乗るってのは、一体どんな気分がするものだろうか。 なにしろ普通の船舶とは違って、一旦乗り込んだら最後、寄港するまでは密室に閉じ込められた形である。 もちろん水中を覗く窓なんぞ、ありはしない。 外界と遮断されたその中では、昼も夜も無いのではないか。 乗っていて、艦が進む感覚とか、周囲の海流の流れとか、感じる事があるのだろうか? などと、いろいろと好奇心をそそられるのである。

太平洋戦争末期、広島に原子爆弾が投下された翌日から物語は始まる。 特攻を嫌ったために艦長職から外されていた絹見少佐が伊507の艦長に着任した。 次なる原爆投下を阻止するため、南太平洋のテニアン島に向かのである。 米艦隊の集結する海域への進入は困難を極めるが、伊507はドイツ軍の開発した新型索敵装置ローレライシステムを装備していた。
絹見艦長の下、潜水艦と言う名の密室で共に戦う乗組員達は急場の寄せ集め。 ローレライシステムの恐るべき実態。 次々に襲い掛かる米艦隊との戦いなど、見所には事欠かない映画であった。

   ▽▲▽▲▽▲  以下はネタバレがあります  ▽▲▽▲▽▲
 
まずは、潜水艦内部のセットの素晴らしさに拍手を贈りたい。 もちろん、自分は潜水艦に乗った事などないから、どれほど忠実に造ってあるかなど、判りはしないのだけれど。 それでも、艦内中そこかしこ手垢の付いたようなリアリティは素晴らしいと想った。 薄暗い照明に照らされる艦内は、機能一点張りで至る所が部品だらけ。 その中で勤務する乗組員たちと一体になって、現場感覚がびんびん伝わって来る。

役所広司演じる絹見艦長以下、潜水艦乗組員の面々は、皆一癖も二癖もあって魅力的だ。 彼らが展開する密室劇が、この映画の魅力の大部分と想う。 先任将校木崎の職人気質や元回天特攻隊員折笠の純情。 酒飲みの岩村機関長は、宇宙船艦ヤマトの佐渡先生へのオマージュではないだろうか。 そして、そこに加わるのがローレライシステムの中枢部分そのものとなる少女パウラで、感情を抑えた演技が好い。

海上~海中シーンの殆んどはCGだろうか。 最新の技術が導入されているのであろう。 一幅の絵を見るような美さで、惚れ惚れと見とれてしまう場面も多かった。 造り手のイメージを、そのままCGに生かせるような時代になったと言う事なのかもしれない。 取り分け、潜水艦の孤独さを象徴するかのような、海中の蒼さは印象的である。 一方、CGのリアリティと言う事でいけば、まだまだイマイチとも想う部分も多々あって、この辺は、気になる人にとってはユルセナイと言う事になるのかもしれない。 その辺り、ヴィジュアル的に何を求めるかで、人に寄って評価が分かれると想う。

戦闘シーンのスピード感溢れる演出は特筆もので、これはCGやデジタル編集を多用したお陰だろうか。 実写や模型では得られない、新たな魅力が、最新の技術によってもたらされているのだろう。 伊507の航海が始まって直ぐに「敵機襲来!急速潜行せよ!」と来るのだけれど(実は抜き打ち訓練)、最後まで艦橋に居た絹見が、艦の潜行寸前に艦内に飛び込むあたり、きっと実際にはありえないのではないかと想うけれど、ファンタジックな演出で取り分け印象に残った。

クライマックスの戦闘シーン。 たった一隻の潜水艦が米艦隊を翻弄してのけるあたりは、「沈黙の艦隊」の原潜やまとを思い出す。 ローレライシステムを備える伊507が敵の爆雷、魚雷網を自在に掻い潜るのは良いとして、
魚雷も連装砲も百発百中と言うのは、あまりにも不自然と言う気がするけれど、演出のスピード感と相まって、まあ良いか、と想う。
エピローグで、伊507の乗組員の生き残り達のその後消息は不明であること。 またしかし、伊507から切り離されたN式潜航艇に乗っていた折笠とパウラは子孫を残した事が示唆される。 現代の米国(おそらく)の砂浜の、優しい陽射しの中で映画は終わるのである。

潜水艦の映画は、随分久しぶり(Uボート以来か?)に観た気がする。 総じて、とっても楽しめた映画である。

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June 18, 2005

三語楼と三三

落語教会のHPによると、柳家三語楼が2006年9月下席に大名跡六代目柳家小さんを襲名するとのこと。
三語楼と言えば先日鈴本演芸場で「青菜」を聴いたところである。 端正な芸風が、小さんと言う一般にも広く知られた(きっと、正蔵よりも有名でしょう?)ビッグネームに相応しいかどうか、評価が分かれるのかもしれないけれど、こういった人ほど、襲名を契機に大きく開花するのではないか。 などと個人的に大いに期待するのである。

同HPでは、この他に真打昇進のニュースも報じられている。 その中に柳家三三の名があるのが嬉しい。 寄席でトリを務める三三を早く聴きたいものだ。

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June 14, 2005

戦国自衛隊1549

 映画「戦国自衛隊1549

 監督:手塚昌明
 出演:江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史、中尾明慶、北村一輝、宅麻伸、伊武雅刀
   2005年 日本

標題の映画を観た。 原作は福井晴敏の同名の小説。 これにはオリジナルがあって、その、半村良の「戦国自衛隊」も1979年に映画化されている。 自分はずっと昔に、半村良の「戦国自衛隊」ならば読んだ事がある。 1979年の映画版「戦国自衛隊」と、福井晴敏の「戦国自衛隊1549」に付いては知らない。
 
 
   ▽▲▽▲▽▲  以下はネタバレがあります  ▽▲▽▲▽▲
 
 
前置きなしで、いきなり人口磁場実験の失敗シーンから始まる簡潔さが良い。 突如として戦国時代に放り込まれた隊員達(もちろん、彼らは自分たちがタイムスリップしたことなど知る由も無いのだが)に襲い掛かる弓、槍と刀の一団。 全て実物(しかも現役装備!)を使用した戦車や装甲車の迫力もさることながら、白兵戦のコワさがひしひしと伝わって来る演出であった。 それにしても、何処からともなく飛来する矢の恐怖と来たら、もう・・・

冒頭の実験の失敗により、戦国時代へとタイムスリップした的場1佐の第3特別実験中隊と入れ替わりに、斎藤道三の家臣、飯沼七兵衛が平成の世に現われた。 戦国の世に生まれ育ったこの七兵衛、現代日本にあっては、もはや絶滅し果てたと言って好い高貴なサムライである。 この七兵衛が、平成日本を世直し行脚する・・・なんていうストーリーで映画の一本くらいはいけそうなくらい、凄く魅力的なキャラクターと思う。 洋服(武人らしく、さっぱりとした装いの)を着た飯沼七兵衛が、早朝、主人公の鹿島が店長を務める居酒屋の店先に現われる場面は、自分がこの映画の中で取り分けて好きなシーンである。

的場1佐と第3特別実験中隊を救いに(場合によっては倒しに)向かうのがロメオ隊である。(この「ロメオ」ってどんな意味なんだろう?) 的場1佐の元部下であった鹿島もこれに加わる。 この映画は殆んどが富士山の裾野で撮影されたようで、どこまでもススキの原が拡がる背景は雄大だけれど、まぁ、単調と言えば単調。 陸上自衛隊が戦国時代のゲリラ戦法に手を焼くシーンはリアリティもあって凄く見応えあり。 戦国武者達に捉えられたロメオ隊は、織田信長を僭称する的場1佐の居城、天母城に連行される。

さて、ここまでは、まがりなりにもハードSFであったのが、ロメオ隊の一行が天母城に入った後は、急激に漫画チックな展開を始める。 自分は、こういうのも嫌いではない。 もしも、このままシリアス路線でドラマが進んだら、イラク派遣とオーバーラップしてゆくのかもしれないね。
殺らねば殺られる、という状況の中で、実弾の使用を廻ってなお葛藤するロメオ隊。 実弾の非使用にこだわり抜いた森3佐の壮絶な戦死を契機に、ロメオ隊の反撃が始まった。

この映画は脇役陣が好い。
戦国時代の申し子的存在、中尾明慶の藤助と北村一輝の飯沼七兵衛がそれぞれ好演。 彼らをそれぞれ秀吉、信長に仕立てるアイデアは秀逸の一言。 そう言えばこの二人、確かに秀吉と信長にピッタリのキャラな訳で、これには「やられた!」と思いましたね。 ハイ。
宅麻伸の蜂須賀小六は、出番こそ少ないけれどハマリ役。 伊武雅刀@デスラー総統の斎藤道三と言うのは、如何にもの配役だけれど、腹黒剽軽なマムシっぷりが、とにかくお茶目で可笑しいのだ。

とにかく急げ急げと言った感じのクライマックスは、あんまり深く考えるべきではないのだろう。 戦車も城も燃え尽きてしまい、秀吉、信長が現われて、歴史はかく補完された。
鹿島達ロメオ隊の生き残りが現代に戻って来たラストシーンは、なんか好い感じで、「ルパン三世 カリオストロの城」のラスト(好きなのだ)を、ちょっと思い出した。
妙にダサくて(失礼)、かつウェットな音楽に付いては・・・今ひとつ良く判らなかった。 (しかし、チェロに美味しいソロが多かったのだよ)
後半は、もうすっかり漫画なんだけれど、ビジュアル的に実にしっかりと造りこんであって、見応え十分だった。 ストーリー的にもなかなか楽しめたし、歴史上の矛盾をあれこれ突っ込むのもまた楽し、などと思うのである。

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June 12, 2005

ピアノオフ 2005 梅雨

今日はピアノオフがあった。
これは、ニフティサーブのクラシックフォーラムで始まった、半年に一度開かれる演奏系のオフで、自分は2001年の冬から連続して参加している。
参加者は各々好きな楽曲を演奏して良いのだけれど、但し、ピアノオフと言うだけあって、その演目には(原則として)ピアノが絡むのがルールである。 何時ものように幡ヶ谷のアスピアで、一日を楽しんで来た。

ところで、今回の自分は人の演奏を聴くばかりで、自身ではなにも演奏しなかった。 聴衆参加と言う奴である。 こんなことは初めてなのだけれど、このところすっかり音楽から遠ざかってしまっていて、とにかく、何か弾こう(吹こう)と言う気にすらなれなかったのである。
それでも、今日一日を掛けて、参加者各位の演奏をじっと聴いていると、あたりまえのことかもしれないけれど、自分でも演奏に参加したい気持ちが膨れ上がって来て、終いには持て余し気味になってしまう。
一体、この手の演奏系オフで自分の出番がないとなると、実にリラックスした、気楽な気分で参加する事になるのだと、今日初めて気が付いた。 これは、言い換えると、緊張感を欠くと言う事。 要するに、てんで物足りないのである。
次回のピアノオフは12月4日(日)だと言う。 その時には、万難を排して演奏に参加するべしと、たった今、心に決めた。

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June 11, 2005

「徳川家康」第5巻 うず潮の巻

「徳川家康」 第5巻 うず潮の巻 (山岡荘八著 講談社文庫)

姉川、三方ケ原と合戦に明け暮れる家康に、家庭を放ったらかしにして来たツケが・・・・・惑乱の一巻。

織田信長の朝倉攻めに付き合う家康。 家康としては、ここで、どうしても、自分の実力を信長にアピールしておかねばならないのだが、家中の一部、特に築山殿にはそれが理解されなかった。 伯父の今川義元を討った信長に尻尾を振っているとだけ見えて、その不満が築山殿をして遂に大賀弥四郎を相手の不倫に走らせてしまう。 
様々な廻りあわせの悪さから築山殿の悲劇が始まった。 しかしここで、決して築山殿一人を悪者にしてはいない作者の視点には共感を覚えるのである。

浅井家の寝返りによって退却を余儀なくされる織田軍だが、岐阜でその留守を守る濃姫は、主君不在の城内で巧みに采配を振るい、防御体制を整える。 戦となれば成す術を知らず右往左往するだけの側室たちと、戦略的思考の持ち主濃姫とを比較する作者の視線は結構シビアだと思う。

姉川の合戦では大活躍をした三河勢。 信長への、と言うよりも天下へのアピール度は充分であったろう。 まさに、三河武士ここにあり! なのである。

そして、武田信玄との三方ケ原の戦いこそは、信玄に黙って枕を跨がせるわけにはいかない、家康の意地を掛けた、一世一代の負け戦である。
家臣達の多くは最初反対したが、家康が一旦こうと決めた後は、従容として戦列に連なった。 壮絶に戦い、ものの見事な負けっぷりをする徳川軍。 襲い掛かる武田軍への恐怖に取り乱し気味の家康は、家臣達の犠牲により、辛うじて浜松城に生還することが出来た。 戦の済んだ後、死んでいった家臣達を想って独り涙する家康。

家康が合戦に明け暮れる間、岡崎城では築山殿の暴走をもう誰にも止めることは出来なかった。 大賀弥四郎との関係に加えて、今度は医師の減敬とも不倫に及ぶ。 その減敬は武田勝頼が岡崎に送り込んだスパイであり、養女あやめを信康の側室にしてしまうのだから、岡崎城はもはや俎上の鯉である。
信康も好い若者なのだが、育てられ方が決して理想的とは言えない。 どうにかならなかったのだろうかと、ここのところは家康を恨みたくもなる。 それにしても、激情に任せて小侍従に斬り付けてしまう信康の姿はあんまりである。

築山殿と大賀弥四郎の陰謀は面白いように進み、遂に武田勝頼の間に密約が交わされる。 家康が、強大な武田家を相手に脇目を振る暇もないのは判るが、その間、家中は大変な事になっているのだと教えてやりたい。 なんとも歯痒い想いが残った。
 
 
 
大久保忠隣 「お館・・・・・本田忠真どの討死なされてござりまする」
徳川家康   「なに、忠真も死んだと・・・・・して、しんがりには誰が
         居るぞ」
大久保忠隣 「内藤信成にござりまする。 殿! いまのうちに早く」
徳川家康   「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
         忠隣、正成、返り合せ! 信成を殺すな」
大久保忠隣 「お館!
         お館は何というバカ大将じゃ。忠真どのも信成どのも、
         お館をご無事に城へお返ししたいばかりとお分り
         なされませぬか」
 
 
 
<<あらすじ>>
木下藤吉郎は足軽頭藤井又右衛門の娘、お八重を娶った。 成り上がり者の藤吉郎を嫌う又右衛門に取り入るに当たって、得意の知略を駆使したことは言うまでもない。

上洛を果たした信長は朝倉攻めを開始する。 これには家康も援軍として加わっていた。 織田家と浅井家は、長政とお市の方の結婚で結ばれていたが、朝倉家への義を重んじる隠居久政に押し切られた形で、浅井長政は遂に朝倉家に味方する事を決める。
織田軍は朝倉軍を追って一乗ケ谷に攻め入ったが、浅井家の寝返りによって事態は一気に急転。 腹背に敵を受けて全滅の危機に陥ってしまう。
もはやこれまでと、敵軍と刺し違える覚悟を固める信長に、家康は、ここは一旦退却することを進言する。
浅井軍が来る前に総退却する織田勢。 危険なしんがりを引き受けたのは木下秀吉である。
濃姫は将軍足利義昭の不穏な動きから信長の危機を察知する。 急ぎ岐阜に帰って織田家の防備を固める濃姫。 急場にあたって成す術を知らない側室たちに比べ、濃姫はこの場を巧みに仕切ることが出来たのである。 この辺り、この当主にしてこの妻ありの呼吸である。
一方岡崎城では、命がけで退却する家康の苦労をよそに、夫の戦略を理解出来ず独り悶々とする築山殿が、勘定方の大賀弥四郎を相手に不義を働いていた。

一旦は退却した信長であるが、立ち直りは極めて早かった。 リターンマッチは姉川の合戦。 家康はその布陣に当たって、敵軍最精鋭の朝倉本隊との対戦を所望する。 家康としては、この戦いで自分の実力を信長にアピールしておかねばならなかったのである。 その三河勢の大健闘により戦は徳川織田連合軍の勝利に終わった。

甲斐の武田信玄が遂に上洛の動きを見せ始めた。 家康の領土は、その上洛のルート上に位置するのである。 浜松城に戻った家康は、休む暇も無く武田信玄との戦いに備えねばならなかった。
武田勝頼は家康との戦いに備えて、岡崎城に間諜として医師の減敬を送り込む。 徳川家を内側から切り崩そうと言う謀略である。 減敬は養女あやめを信康の側室として、信康と徳姫を離間させ、一方自身では築山殿に近付いていった。
家康は武田軍と戦うべきか悩み抜く。 元々、どうあっても戦って勝てる相手ではなかった。 武田軍に黙って領内を通過させれば、戦いは避ける事が出来るが、しかし、それでは信玄に向けて尻尾を振った事になる。 徳川家は何処にも帰属してはならない。それが家康の信念であった。
一部の家臣の反対を押し切って、開戦を決定する家康。 三方カ原の合戦が始まる。 当初は健闘した三河勢だが、一旦崩れ始めるとその後は脆かった。 軍勢はバラバラとなり、家康は家臣に守られて辛うじて城に生還した。 多くの犠牲を払って、天下の何者にも屈っせぬ意地を貫いて見せた徳川家康。
その頃、岡崎城では信康があやめを側室に迎えていた。 勝頼の陰謀が、岡崎城内に徐々に食い入る。 減敬と大賀弥四郎のそれぞれを相手に不義を働く築山殿。
浜松城下を通過して侵攻を続ける武田軍であったが、野田城攻めの途中、武田信玄が病に倒れ、退却を余儀なくされる。
いよいよ勝頼と築山殿との間で密約が成立する。 築山殿は岡崎城を武田軍に渡す代わりに、信康には岡崎の領土を安堵し、自分は武田方に保護して貰う条件である。 お万の方懐妊を知った築山殿は、侍女の喜乃にお万の方暗殺を命じる。
信康を慕うあやめは、自分が甲州から送り込まれたスパイであることを徳姫の侍女小侍従にバラしてしまう。
減敬は、不穏な動きに気付いた信康に斬られる。 その信康は武田方の城を攻めて初陣を果たす。 大賀弥四郎はその隙に勝頼軍を場内に迎え入れるべく、手下の山田八蔵を武田方へ派遣した。 大賀弥四郎の陰謀は成就目前。 弥四郎は得意の絶頂にあった。
 
 
<<登場人部>>
<徳川家>
徳川家康:徳川家当主
徳川信康:徳川家嫡子
瀬名:築山殿 元康の正室 今川義元の姪
徳姫:信康の妻 信長の長女
<徳川家家臣>
伊井万千代直政
夏目正吉:三方が原の合戦で家康の身代わりとなる
外山正重:三方が原の合戦で一番槍を付ける
久松弥九郎俊勝:於大の方の夫
減敬:医師 築山殿と不義を働く 実は甲州の間者
向坂五郎次郎:向坂兄弟の次男
向坂式部:向坂兄弟の長男
向坂六郎三郎:向坂兄弟の三男
高木九助
榊原小平太康政
山田八蔵重秀:大賀弥四郎の手下
柴田泰忠
酒井忠次:旗頭
小笠原長忠
小谷甚左衛門:大賀弥四郎の手下
松平家忠
松平康純
松平次郎右衛門重吉
松平与一郎忠正
植村正勝
成瀬小吉
成瀬正義
西郷左衛門佐清員:お愛の叔父
青木所右衛門
石川家成:旗頭
石川数正
倉地平左衛門:大賀弥四郎の手下
村松芳休:笛の名手
大賀弥四郎:勘定方 築山殿と不義を働く
大久保七郎右衛門忠世:忠俊の孫
大久保忠隣:忠世の子
大久保彦左衛門忠教:忠世の末弟
大久保彦忠佐:忠世の弟
鳥居元忠
鳥居三左衛門
鳥居四郎左衛門忠広:「殿! 忠広は臆病でござりましたか」
天野三郎兵衛康景
渡辺半蔵守綱
内藤信成
内藤正成
平岩親吉:信康付きの重臣
米沢政信
本多作左衛門
本多忠真
本多平八郎忠勝:旗本
野中五郎重政:信康付きの家来
鈴木久三郎
あやめ:信康の側室 実は減敬の送り込んだスパイ
お愛:西郷義勝の後家
お琴:侍女
お粂:大賀弥四郎の妻
お万:家康の側室
喜乃:侍女 お琴の妹
小侍従:徳姫の侍女

<織田家>
織田信長:織田家当主
織田信忠:織田家嫡子
濃姫:信長の正室 斎藤道三の娘
お類:信長の側室
奈々:信長の側室
深幸:信長の側室
<織田家家臣>
安藤範俊
稲葉一鉄
下方平内
蒲生鶴千代
佐久間右衛門
佐久間盛政
佐々成政
坂井右近
氏家直元
柴田勝家
松永弾正久秀
森三左衛門可成
菅谷九郎右衛門:岐阜城留守居
生駒八郎衛門:岐阜城留守居
前田又左衛門利家
滝川一益
丹羽長秀
池田信輝
竹中久作:半兵衛の弟
竹中半兵衛:秀吉の軍師
猪子兵助:伊賀者奉行
藤井又右衛門:足軽頭 秀吉の舅
福富平左衛門:岐阜城留守居
平手汎秀:三方が原の合戦で戦死
明智光秀
木下藤吉郎秀吉
矢部善七郎:岐阜城留守居
お八重:秀吉の妻 藤井又右衛門の娘 寧々

<浅井家>
浅井長政:浅井家当主
浅井久政:隠居 長政の父
お市の方:長政の室 信長の妹
茶々姫:長政とお市の長女
高姫:長政とお市の次女
<浅井家家臣>
小野木土佐:織田軍に使いする
礒野員昌:姉川の合戦で先陣に立つ
遠藤喜右衛門:重臣

<朝倉家>
朝倉景隆
<朝倉家家臣>
山崎長門:浅井親子を説得する
真柄十郎左衛門直隆:五尺二寸の大太刀「千代鶴の太郎」を使う
真柄十郎三郎直基:直隆の子 「千代鶴の次郎」を使う

<武田家>
武田信玄:武田家当主
武田勝頼:武田家嫡子
武田信豊
<武田家家臣>
穴山梅雪
山形三郎兵衛昌景:甲斐の名将
室賀信俊
秋山信友
秋山晴信
小山田信茂
小幡信貞
上原能登守
天野景貫
同苗満信
内藤昌豊
馬場晴信

<足利家>
足利義昭:征夷大将軍
<足利家家臣>
細川藤高

<その他>
朽木元網:敗走中の信長一行を泊める
藤野勝楽:本願寺から武田家に派遣された使者
 
 
 
前半は姉川の合戦、三方ケ原の合戦と戦が続くけれど、山岡作品の合戦シーンはそれ程華やかなものでもなく、むしろ、あっさりと描かれる。
一方、後半の大部分を占める築山殿の謀反は、読んでいて、正直辛いものがある。 銃後(?)を守る女性達に対して、いささか厳しいとも感じさせられる作者の視線は、戦中を生き抜いた世代ならではだろうか。
 
 
天下泰平まであと21巻。

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June 08, 2005

トビケリ歌句会お題「狸」終了

ネット上の文芸サロン「いまのは倶楽部」で毎週開催しているトビケリ歌句会と言うのがある。 先週は自分がお題を出させて貰ったのだけれど、そのお題「狸」の回が先日終了した。

同じ「狸」を題にして、詠み手の個性を活かした様々な作品が披露されるのは、読んでいてとっても楽しいものだ。
今回自分が披露したのは、狸を詠み込んだ短歌が七首。 この中には無論、先日観た「オペレッタ狸御殿」を意識した歌もあるのである。
 
 
 
  化かさうとて壱萬円札そのかみの聖徳太子にやつす古狸
 
 
  信楽の狸素知らぬ振りをして往き過ぐをみな逐一チェックす
 
 
  何処よりか狸囃子の聴こへ来る宵に喰らひきどん兵衛きつね
 
 
  崖つ縁歩き通してこの頃はちよつと温めの狸蕎麦好き
 
 
  十三夜月に誘はれ舞ひ踊る狸御殿を見たほんとだよ
 
 
  臆病な癖に図に乗る吾がまた捕らぬ狸の皮算用する
 
 
  化かされて構はないでも願はくは月夜に逢ひたし貍姫さま
 
 

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June 05, 2005

池袋演芸場六月上席

2005年6月5日(日曜日)池袋演芸場 <昼席>

九割方埋まった客席。 反応も好かった。
丁度、前座が演じ終わったところで入場。

柳家喬之進 「寿司屋水滸伝」
喬之進の「寿司屋~」を聴くのはこれで三度目くらいになる筈だけれど、以前と比べてずっと上手くなったと想う。 以前聴いた時は雲丹盛りのプロが出て来るまでだったが、今回はその後、寿司屋を畳んで洋食屋に改装したところまで語った。

林家ぼたん 「転失気」と踊り
二つ目に昇進したてのぼたん。 今回も凛としたハリのある声に、テキパキとした噺ふりが好かった。 踊りは奴さん。

柳家とし松 曲独楽

林家たけ平 「ぜんざい公社」
たけ平も二つ目昇進したて。 ぜんざい公社は久々に聴く、お役所仕事をパロッたある意味分かり易い根多。 最近は、公社と言う言葉を目にする機会が減ったかもしれないね。

入船亭扇遊 「厩火事」
始まったばかりで、なんだかいきなり大いな根多が出て来たな、なんて、若干途惑いながら聴き始めたのだけれど、次第に噺の中に引き入れられていった。 女房の騒ぎっぷりが幾分オーバーで大味のようにも感じられたのだけれど、手綱さばきが実に上手いと言うのか、終始一定の緊張を保って弛緩する事が無く、とても充実した時間を過ごしたと言う実感がある。 サゲはさらりとまとめた。
これが今日一番の出来・・・と、この時は思ったのである。

大瀬ゆめじ・うたじ 漫才

古今亭志ん輔 「宮戸川」
志ん輔の「宮戸川」を、実に久々に聴く事が出来た! これまで何人かの噺家で「宮戸川」を聴いて来たけれど、志ん輔の噺は、若い男女の恋をユーモラスに、爽やかに描いて、なおかつ仄かな甘酸っぱさが残る。 本当にこの人のキャラに合った噺と想う。 サゲのスマートさは、自分がこれまでに聴いて来た「宮戸川」の中で文句なしのベストだ。

   <お仲入り>

柳家小太郎 「羽織の遊び」
枕で、喬太郎が現時点で未だ楽屋入りしていない事に付いてカミングアウトしてしまう。 噺の方は、若旦那の勘違いぶりと奇妙奇天烈な声音が楽しい。 この後に喬太郎、さん喬とテクニシャンが続くだけに、ここにエネルギッシュな小太郎を入れたのは大正解と思う。 
ところで、喬太郎は着いたのか?

柳家喬太郎 「ちりとてちん」
喬太郎、どうやら間に合ったらしく無事に登場。 登場と共に凄い拍手が巻き起こって、今日は喬太郎ファンが大勢いるのだと知る。
噺の方は、そんなファンの期待通りの出来だったと想う。 お世辞の上手な金さん、知ったかぶりの六さんの演じ分けが取り分け見事だった。 喬太郎の人間観察力やデフォルメのセンスは凄いと思う。 圧巻は六さんのちりとてちんの嚥下シーンで、これでもかこれでもかと繰り返すのには客席大爆笑。
扇遊の「厩火事」も好かったけれど、この「ちりとてちん」はそれに勝るとも劣らぬ素晴らしい出来と思う。

林家正楽 紙切り

柳家さん喬 「井戸の茶碗」
さん喬の表現の幅の広さを堪能出来た一席。
派手さや賑やかさ、勢いで聴かせるのではなく、声の強弱、声音の微妙な変化を駆使した落語である。 取り分け、正直清兵衛の弱りっぷりが可笑しい。 一方、高木作左衛門と千代田朴斎は、頑固一徹と言うよりはむしろプライド高く、それでいて物腰は柔らかいスマートな武士と言うイメージを受けるのである。 千代田朴斎が小判を贈られる度に発する「それは・・・・困る。」の繰り返しギャグは最高。
今日は扇遊の「厩火事」、喬太郎の「ちりとてちん」と素晴らしい高座に恵まれたけれど、トリのさん喬も、また流石の貫禄を見せたと思う。 大満足。

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ツィゴイネルワイゼン

 ツィゴイネルワイゼン

  監督:鈴木清順
  出演;原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代
    1980年 日本  シネマ・プラセット 

川崎市民ミュージアムのビデオライブラリーで標題の映画を観た。
先週の「オペレッタ狸御殿」ですっかり興味の湧いた鈴木清順監督の代表作として知られる作品である。

原作はやはり、内田百閒の『サラサーテの盤』 と言う事になるのだろうか。 サラサーテ自作自演による「ツィゴイネルワイゼン」のSP盤。 その演奏中に聴こえる「ある声」(おそらくは録音中に紛れ込んだ)を発端として描かれる、独逸語教師青地と中砂の間で交わされる奇妙な交流を中心としたストーリー。
夢と現、生と死の間を絶えず彷徨い続けるかのような不可思議な演出は、「オペレッタ狸御殿」にも通じるものがあって、成る程これが清順ワールドなのかと感じ入った次第。

「オペレッタ狸御殿」(もとよし、逆上気味に賛美した)の時に書きそびれたのだけれど、鈴木清順監督の作品と言うのは、見る人によって評価がハッキリと二分しやすいようである。 つまり、好きな人は大絶賛。 苦手な人は、まったく駄目。 という具合に。
この映画の場合も、その不条理世界は万人向けとは言えないと想う。 多分、観る時は、一々ストーリーを追いかけようなどとしない方が好いのかもしれない。 上手く雰囲気に身を任せる事が出来たなら、ある種、至福の時間に浸ることが出来ると想うのである。

原田芳雄の無頼漢ぶりは、なにせサイコーのはまり役と想う。 雰囲気で魅せる藤田敏八。 大谷直子の凛とした美しさに、大楠道代の妖艶さ。 舞台を鎌倉、湘南とした事から、原作の世界に幽玄かつ浪漫的雰囲気を加味する事に成功した。

それにしても今回は、「オペレッタ狸御殿」を観た時と比べると、ずっと素直に清順作品の世界に浸る事が出来たのである。

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