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May 05, 2005

「徳川家康」第2巻 獅子の座の巻

「徳川家康」 第2巻 獅子の座の巻 (山岡荘八著 講談社文庫)

「徳川家康」第二巻は竹千代の幼年期~少年期を描く。 竹千代流浪の半生の始まりであり、松平党我慢の一巻でもある。

松平広忠@最も戦国大名に向かない男。 戦には負けるわ、家庭内も上手く行かないわで、相変わらず散々の星まわりである。 周囲に向けても不幸を振り撒き続けて、もう目も当てられない状況が続く。 乱行の末、遂には家臣に殺害されてしまう広忠だが、戦国大名として生きねばならない苦悩から開放された、その最期は意外に安らかなものであった。

一方、幼い竹千代は早くも物事に決して動じない大物ぶりを見せ付けてくれる。 織田家への捕らわれの身で信長との出会いを果たし、今川家の人質となってからは、その存在感で周囲の人々を惹き付け始めた。 その竹千代の性格は、とにかく大物らしいと言うだけで、今ひとつハッキリとしないのである。まぁ、未だ幼児なのだから仕方ないのだけれど。

織田家に捕らわれた竹千代の助命嘆願に奔走する於大の方、そして、今川家の人質となった竹千代の身を案じて駿府入りする華陽院。 作者はこの二人に理想的な女性像を託しているような気がする。 今川家の柱石、大原雪斎と竹千代の祖母華陽院との邂逅。 この二人は、戦国の世を各々異なる角度から見詰めながら、お互い平和を願っていたのことを知る。 やがて、幼い竹千代の教育は当代きっての教養人でもある大原雪斎に託されることになる。

主君広忠を失った松平家に早速介入して来る今川家は、保護と言う美名の下、事実上岡崎城を占領してしまう。 この辺り、大国のエゴに振り回される小国の悲しさが容赦なく描かれるのである。 竹千代を取り返し、主君に頂く日だけを夢見て逆境に耐え抜く松平党の人々。 物語はいよいよ、竹千代を中心に廻り始めた。


織田信長  「人生すべてこれ座興かもしれぬ。
         ところでお許はこんどわしに何を土産に持って参った?」
於大の方  「はい。 母のこころ・・・・・・それ一つでござりまする」
織田信長  「よし、くれい」
於大の方  「差上げまする。 お受け取りを・・・・・・ (涙)」
        「差上げまする。 (涙) 母のこころ・・・・・・母のこころ・・・・・・ (号泣)」
織田信長  「もろうた。もろうた。 (大笑)
         お許の土産をたしかにもろうた。 もうよい (大笑)」


<<あらすじ>>
久松家に嫁いだ於大の方の元に、ある日、竹之内久六と名乗る男が仕官を請うて来た。 会ってみると、水野家を出奔して小川伊織を名乗っていた兄の信近である。 何やら思うところあるらしく、身分を偽ったまま久松家に使えることになる。
戸田家から田原御前(真喜姫)を娶った松平広忠だが、新妻にどうしても馴染む事が出来なかった。 広忠は於大の方を失った傷心の癒えないまま、家臣の反対を振り切って安祥城攻めを敢行。 織田信秀の率いる織田軍の反撃に会い絶体絶命となったところを、本多平八郎忠豊の犠牲によって辛うじて生還する。
一方、於大の方も広忠と竹千代のことが忘れられず、夫久松俊勝の誠実さに応えられない罪悪感に苛まれる日々を送る。
竹千代は今川家への人質としてへ駿府へと送られる途上を織田方にさらわれる。 同行の金田与三左衛門は三河武士の意地を見せて自害した。
一旦は主君から遠ざけられた片目八弥。 お春の犠牲によりカムバックを果たすが、主の心を理解出来ぬまま、遂に広忠を殺害してしまう。
織田方に捕らえられた竹千代の助命嘆願のため、信長に謁見する於大の方。 その信長は城下にうつけぶりを轟かす一方で、捕らわれの竹千代とは不思議と気が合うのであった。 信長、斎藤道三の娘濃姫と結婚。
今川家に岡崎城を取り上げられ、野に放り出された松平党の面々は、安祥城攻めの最前線に投入されて苦戦を強いられる。 激戦の末、遂に安祥城を落として城主織田信広を捉える中、先頭に立って戦った本多平八郎忠高は壮絶な戦死を遂げる。
松平竹千代と織田信広の人質交換を済ませると、竹千代、今度は今川方の人質となった。(やれやれ) 
華陽院、竹千代を案じて駿府入りする。 駿府では関口刑部少輔親永に預けられる竹千代。 親永の娘鶴姫と出会い、元日の賀では義元に気に入られる。 一方、尾張では信長の廃嫡運動が進む中、信秀が急死。 信長はその葬儀の場でも乱行に及ぶのである。


<<登場人部>>
<松平家(岡崎城)>
松平広忠:松平家当主 先代からの今川家寄り 最も戦国大名に向かない男
松平清康:故人 松平家先代当主 広忠の父
竹千代:松平家嫡子
華陽院:故清康の妻、広忠の義母、故水野忠政の元妻、於大の方の母(複雑!)
田原御前:真喜姫 広忠の後妻 広忠とは不仲
楓:田原御前の侍女(性格悪し)
お春:広忠の側室 岩松八弥の元許婚者
随念院:広忠の伯母
<松平家家臣>
酒井雅楽助正家:主家想いの賢臣
本多平八郎忠豊:広忠の安祥城攻めの折、広忠の身代わりとなって戦死
本多平八郎忠高:忠豊の子 今川の安祥城攻めの折、戦死
鳥居忠吉:家臣中の最長老
阿部大蔵:老臣
阿部四郎兵衛
阿部四郎五郎
阿部新四郎重吉
植村新六郎
大久保新十郎
大久保新八郎:豪放磊落な好漢
大久保甚四郎
石川安芸
松平外記
岩松八弥:小豆坂の合戦で片目を失い、以来片目八弥と呼ばれる一途な忠臣 お春の元許婚者
阿部徳千代:竹千代の側小姓 竹千代と共にさらわれる 後の善九郎
天野三之助:竹千代の側小姓 竹千代と共にさらわれる
天野又五郎:竹千代の側小姓 三之助の兄
石川与七郎:竹千代の側小姓
平岩七之助:竹千代の側小姓
松平与一郎:竹千代の側小姓
内藤与三兵衛:竹千代の側小姓
野々山藤兵衛:竹千代の側小姓
金田与三左衛門:竹千代を駿府に送る途中、織田方に奪われて自害する。

<久松家(阿古居)>
久松弥九郎俊勝:久松家当主 誠実な好男子
於大の方:俊勝の正室 松平家離縁後に俊勝と再婚
<久松家家臣>
竹之内久六:久松家に仕官して来た男 その正体は出奔した水野信近

<熊の若宮>
竹之内波太郎:熊の若宮当主 美青年 謎の多い人物

<織田家>
織田信秀:織田家当主
織田信長:信秀の嫡子
織田信行:信秀の子(嫡腹の次男)
織田信広:信秀の子(妾腹の長男) 安祥城城主だが今川方の捕虜となる
土田御前;信秀の正室
濃姫:信長の正室 斎藤道三の娘
岩室:信秀の側室
<織田家家臣>
平手政秀:いわゆる、平手の爺
前田犬千代:信長の側小姓
柴田権六朗勝家:信行派
林佐渡守通勝
加藤図書助:竹千代を預かる

<今川家>
今川義元:今川家当主
<今川家家臣>
大原雪斎:今川家の柱石 竹千代の師
関口刑部少輔親永:竹千代を預かる
吉良義安
瀬名:親永の娘 鶴姫(勝気)
椿:義安の娘 亀姫(おっとり)

<戸田家>
戸田弾正左衛門康光:戸田家当主
戸田宣光:戸田家嫡子
戸田五朗政直:康光の次男


大国の政策に振り回される小国の辛さが、第一巻から引き続いて、これでもかと描かれている。
この第二巻で特に印象的なのは、逆境を耐え抜く松平党の人々の辛抱強さと、幼い竹千代の見せる大物ぶりである。 山岡荘八の描く三河武士像と言うものに注目してみたい。


天下泰平まであと24巻。

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Comments

もとよしさん 第二巻読んだつもり(笑)になりました。相変わらず登場人物憶えられない私ですが・・・
於代の方の方の、母の心情が解かり(涙)

では。次回期待して。

Posted by: みい | May 07, 2005 at 10:09 PM

↑(方の)ダブりました。失礼しました。

Posted by: みい | May 07, 2005 at 10:13 PM

>みいさん
登場人物、刈り込んでみたんですけれど、これでもまだ多過ぎですよね。(笑) 斎藤道三や武田晴信(後の信玄)ばど、歴史上重要な人物でも名前しか出て来ない場合は省いたんですけれど。(^^ゞ
第2巻では、松平家の家臣や竹千代の側小姓が大勢出て来ました。 彼らはこの後、家康を支える家臣団のメンバーになります(きっと)から、今から注目しておこうと考えて、逐一名前を拾っておきました。
歴史小説なので仕方ないのですが、本多平八郎忠高や金田与三左衛門などの三河武士達が、登場して直ぐに亡くなってしまうのが切ないところですね。

Posted by: もとよし | May 08, 2005 at 12:08 PM

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