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March 13, 2005

「どろろ」

「どろろ」(上/下巻 手塚治虫著 秋田書店)を読んだ。

近頃はコンビニで、往年の名作漫画の復刻版を売っているのを良く見かけるけれど、これもそのひとつである。 ああいった復刻版漫画は、いずれ劣らぬ名作揃いのようで、漫画とは縁遠くなってもう随分となる、自分のような者でも知っている作品がある。 これまでに心惹かれた事も無くはないのだけれど、いかんせん長いシリーズものが多くて、一旦買い始めると切りが無いと思って手を出さずにいた。 それが今回「どろろ」を買ってみたのは、手塚作品が好き、と言うだけではなしに、全上下二巻という手軽さにちょっと安心したから、と言う事もあるかもしれない。

時は中世~戦国時代。 天下取りを狙う父、醍醐景光が妖怪に力を借りる代償として、目、鼻、耳、腕、足、他全身の48箇所をそれぞれ妖怪達に奪われた状態で生まれた百鬼丸。 やがて、成長した百鬼丸は孤児のどろろと二人、行く宛ての無い旅を続ける。 百鬼丸は、身に付けた義手や義足の中に武器を装備しており、妖怪を退治する毎にひとつずつ、身体の失われた部分を取り戻してゆく・・・このプロットは凄く魅力的だ。

自分はこの「どろろ」を、ずっと以前になんらかの形で読んだ経験がある筈である。 殆んど記憶に留めていないのだけれど、それでも、ストーリーの断片や科白の一部、絵などを微かに覚えているのだ。

  百鬼丸 「どろろ、どうしたんだ。 何を考えこんでるんだ?」
  どろろ 「うん・・・・・・マンジュシャゲの花はなぜ血の色に似ているんだろう・・・・・・」

この百鬼丸&どろろのコンビが後に、ブラック・ジャック&ピノコと言う名コンビへと昇華したのじゃあないかな。

妖怪ものとは言っても、そこは手塚作品らしく温かな絵で自分は好きだ。 舞台が中世と言う事で、時代劇と言うよりは昔話しめいた感じのする処も新鮮に感じる。 なにより出て来る妖怪達の、なんとも人間臭い事・・・
滅法腕の立つ代わりに時々へこむ百鬼丸と、小さいけれど負けん気だけは誰にも(妖怪にも)負けないどろろ。
作品全体の中では、どろろと百鬼丸の出生の秘密を語る前半辺りが充実していたのではないかと思う。 妖怪退治を繰り返す後半は、作品の魅力において少し劣るかもしれない。 なにより、百鬼丸と父、醍醐景光との関係もイマイチ掘り下げが甘いのだ。 基本的には百鬼丸の欠落した体を取り返す旅なんだろうけれど、サブテーマとして父との闘争、更にどろろの成長(いずれ隠し財宝を手に入れて、民衆の救世主となる運命らしい)などは未消化のまま、ハッキリせずに終わってしまう憾みがある。 そこは人気漫画家の手塚治虫で、「どろろ」だけに打ち込む事が出来なかったと言う事なのかもしれないけれど。
とは言え、久々に手塚作品を愉しんだ。 ストーリーと絵の共に勝れた、何度でも読み返すに足りる名作と思う。 

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Comments

もとよしさん、こんばんは!
この前は、こっそりお仲間?であることを知り、とっても嬉しかったですよーー(*^_^*)

ところで、どろろ、今度映画化されるらしいと聞いて、ちょっと興味が・・・(主役は、柴崎コウと妻夫木聡 ←実生活でも、どうやらカップルらしい?)
家の旦那は、昔、どろろをアニメで見てたらしいんです。
もとよしさんは、本当に色々な本を幅広く読んでいらっしゃいますねー。

Posted by: latifa(ポコアポコヤ) | April 16, 2006 at 05:33 PM

>latifaさん

どろろが映画化ですかあ。 それもアニメではなしに実写で! 百鬼丸の、あの腕よりも長い仕込みのギミックはどうするんでしょうか。(笑) その辺はCG使いまくりかな。
私もどろろのアニメは見た記憶が・・・・かすかながらにありますねえ。 また、見たいな。

Posted by: もとよし | April 18, 2006 at 10:13 PM

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