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February 06, 2005

ミュシャ展

東京都美術館で開催中のミュシャ展を観た。
  ミュシャ財団秘蔵 「プラハからパリへ 華麗なるアールヌーヴォーの誕生」

ミュシャがチェコ出身と言うのを、これまで知らずにいたのである。 とは言え、ベルエポックの時代の芸術家の一人として意外ではなく、さもありなんとさえ思う。
モラヴィア地方に生まれたミュシャは幼少の頃より画才を発揮し、やがてドイツに学び、その後更にパリへ出て研鑚を積む。 この間に装飾の仕事を多く手掛けているのは、後の作品群を考えると興味深いと思う。
そのパリで描いた「ジスモンダ」のポスターによって、ミュシャの才能(そして評判も)は一機に開花する。 すなわち、縦長の画面一杯に女性モデルの立ち姿を淡い色調と明確な輪郭で描き、様式化された髪や植物に様々な意匠を絡ませた、現在良く知られるあのミュシャ作品の数々がこの頃続々と生まれていった訳だ。

展示されているポスターの中には、自分にとってはかつてお馴染みの作品もあって、特にゆっくりと時間を掛けて観て廻った。 高度に様式化された図柄の中で、女性そのものだけが妙にリアルと言うか肉感的で、ちょっとドキリとさせられるようなところがある。 あるいは、そんな処が、ミュシャのポスターが現代人にも強くアピールする所以なのではないかと思う。
同時に展示されているスケッチは取り分け興味深かった。 画家の狙った構図や大事にしているラインが良く判る(気がする)んだ。 その他、パステル画の数々も看過出来ない。

人気絶頂の只中のアメリカ時代。 作品的に、パリ時代から大きな進歩は見られなかったかもしれないけれど、この頃のミュシャは、もっとも人生を楽しんだのではないか。

ミュシャは晩年に至って故国に、文字通り錦を飾った。 功成り名を遂げて後の画家の関心が故郷へ、民族主義へと向かったのは、時代に呼応してと言う事なのかもしれない。 ここからは、自分の知らなかったミュシャのもう一つの面、と言うよりもチェコ人画家としての本領を見る事が出来る。 それにしても、複製で良いから「スラブ叙事詩」を見せて欲しかったなぁ。 ミュシャの最晩年に至って、故国はドイツに侵略されてしまう。 気の毒な最期と思うけれど、とまれチェコの画家として本懐を遂げる事は出来たのではないか。

今回の展覧会では、故国での無名時代から、華麗を極めたパリ時代、そしてチェコを代表する画家としての晩年の作品までを通して観る事で、激動の時代を生き抜いた画家の生涯にまで思い至って感銘を受けたのである。
ミュシャと来ればお洒落なポスター、と言う程度の認識しか持っていなかった自分にとっては、大変に刺激的な展覧会であった。 もちろん、お洒落なポスターの数々もしっかりと堪能して来たのである。 素晴らしい展覧会だった。

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Comments

TBありがとうございました。

おっしゃる通り全貌を一堂に見ることができる
素晴らしい展覧会でしたね。
「ミュシャ」の名前はお客さんをよべる
力を持っていますが、名前だけでなく
内容も大変充実していました。

納得の展覧会でした。

Posted by: Tak | February 07, 2005 at 05:43 PM

ミュシャ展、私も観ました。私の住む、市美術館に来た時(何ヶ月か前)行きました。
昨年、プラハに旅行した時、聖ヴィート大聖堂のステンドグラス見てきました。本物はいい!素晴らしかったですよ。なので、この展覧会でステンドグラスの下絵を見ることが出来、感動!でした。
勿論どの作品も見ごたえありました。

内容も充実してました。堪能できましたよ。

Posted by: みい | February 07, 2005 at 09:41 PM

>Takさん

コメントとトラックバックをありがとうございます。
Takさんのブログで仰っていたS字、しっかりと意識して見て参りましたよ~。(笑) 縦に長~い画面の中で、大らかな曲線の綾なす様にうっとりのもとよしでした。

>みいさん

コメントをありがとうございます。
プラハに行かれて、あのステンドグラスを実際にご覧になったのですか。 羨ましいです~。 その後、下絵を日本で見られたと言うのも縁でしょうか。

私は、この展覧会で初めて、ミュシャが故国で描いた作品に付いて知る事が出来ました。 ミュシャと言う画家に付いての、これまでの認識を一変させる展覧会でした。

Posted by: もとよし | February 08, 2005 at 07:32 PM

TBどうも。ブログつけはじめて3ヶ月ちょいですが、トラックバックしにくいブログ柄でして、あまりできませんが、リンクはさせて下さいね。
NHKがミュシャの番組組んでましたね。(再放送がありそうなクオリティーの高さでした。)

>みいさん
それはすごい。ぼくも一生に一度はみたいなぁ。というものの1つです。

Posted by: 佐橋景介 | February 09, 2005 at 01:25 PM

>佐橋景介さん

コメントありがとうございます。
ブログ歴は私も同じくらいですね。
NHKでミュシャの番組がありましたか~。 完全に見逃しちゃってます。(^^;

Posted by: もとよし | February 09, 2005 at 06:46 PM

TBありがとうございました。
素敵な展覧会だったので、密かにもう一度
行こうかと考えています。

ミュシャのリトグラフやポスターも勿論いいのですが、
デッサンも味があって好きですねー。

Posted by: 雨蛇 | February 09, 2005 at 10:35 PM

>雨蛇さん

コメントをありがとうございます。
そう、デッサンがまた、とても好かったですね。
数々の代表作を生み出す、創作現場の雰囲気が生々しく伝わって来ました。

Posted by: もとよし | February 10, 2005 at 12:33 PM

遅ればせながら
コメント&TBありがとうございました^^

同じものを見たのに もとよしさんは
より深く 思いを巡らされていて
感心してしまいます^^

Posted by: あおちゃん | February 14, 2005 at 06:28 PM

>あおちゃんさま
コメントをありがとうございます。
ちっとも深くないのですけれど(笑)、美術館に入ると、いつでも好き勝手に、あっちにふらふら~、こっちへふらふら~と眺めて廻っています。 怪しい奴かも。(^^ゞ

Posted by: もとよし | February 15, 2005 at 12:19 AM

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