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January 08, 2005

「赤ひげ診療譚」

「赤ひげ診療譚」(山本周五郎著 新潮文庫)を読んだ。
世を拗ねた若い医師が小石川養生所の名物医師「赤ひげ」と行動を共にする内、真の医療に目覚めて行く過程を軸として、医師達と社会の底辺に住む庶民との交流を描いてゆく。
なんだか、テレビの勧善懲悪タイプの時代劇に良く見るような設定ではあるけれど、中には救いの無い悲惨なエピソードもあったりして、ゴールデンタイムのお茶の間向きばかりとも言えない内容なのである。 扱うテーマが厳しい程、そこに流れるヒューマニズムも力強いものになる・・・ならざるを得ないのだと思う。
赤ひげ達小石川養生所の医師らの仕事は、手術などの治療もさる事ながら、民衆を相手の予防医学には特に重点が置かれている。 赤ひげの時代、衛生に関する知識が乏しかったし、まして保険所などの公的機関が無かったからである。 そもそも民衆の貧困が医療にとっての最大の敵であると嘆く赤ひげの怒りは、やがて、必然的に徳川幕府、武家社会そのものへと向かってゆく。 どうにもならない歯痒さに独り悩み抜く赤ひげ。
この他、精神病やPTSDなど、今日であっても対処の困難な治療も、また赤ひげの仕事である。 例え、完治に至らないと判っていても、常に真っ向から治療に務める医師らの姿は、読者の静かな感動を呼ぶ。

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