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December 04, 2004

「古今東西 陶磁器の修理うけおいます」

「古今東西 陶磁器の修理うけおいます」甲斐美登里著(中央公論新社刊)を読んだ。
陶磁器の金継ぎには、以前から興味があったのである。 興味と言うのは、技術そのものよりも、そういったものを受け入れる(育て上げる)文化に対してであるが。 この本は、一介の骨董好き(但し筋金入りの)であった甲斐さんが、長年憧れ続けた金継ぎの技を、様々な紆余曲折の末に身に付けて、遂に店を構えるまでを自伝風に綴っている。

 月も雲間のなきは嫌にて候  村田珠光

と言う茶道の言葉をこの本で知った。 一体、金継ぎと言うのはヨーロッパ的な美意識からすると、全く理解の外なのだそうな。 そういった事に付いては自分なども、さもありなん、くらいには思うけれど、英国で陶磁器の「修復」技術を習い、英国美術骨董修理修復家協会の会員にもなった甲斐さんの体験談からは読んで考えさせられる事が少なくない。 それにしても、一方での美がもう一方では醜になってしまう文化のギャップと言うのは興味深いと言うか、はたまたオソロシイと言うべきか。
文章は機知に富んでいて、読み進めるが実に楽しい。 但し、こちとらに理解力の乏しいせいか、肝心の修理の技術に関しては今ひとつ良く理解出来なかった。 だから、陶磁器の金継ぎとは何か?を知るのに好適の書と言う訳でもないと思う。 むしろ、ユニークな経歴を持つ甲斐さん独自の視点から語る日本とヨーロッパの骨董品修理修復事情が実に興味深い。 あと、文章を読む限り、かなり強気なタイプとお見受けして、ハテナマークが脳裏に瞬いた事が何度もあった。
甲斐さんの修理の対象は、高価な陶磁器ばかりでなしに、廉価ではあっても持ち主が愛情を持って使ってきたものが多いと言う。 自分も、身の回りの陶磁器が割れなどしたら甲斐さんのような修理屋さんに持ち込んで金継ぎして貰いたいくらいの気持ちでいるのだが、いかんせん愛情を持って接しているような陶磁器など一つも無いのに気付いて愕然とするばかりである。 総じて、とても楽しめた本であった。

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ヒビの接着中です。 ピンぼけでよく見えませんが…。 中心の緑の葉っぱのあたりに微妙な黄色い線があるかと思いますが、それがヒビになります。 [Read More]

Tracked on December 25, 2004 at 11:48 PM

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