いけちゃんとぼく
いけちゃんとぼく
西原理恵子 著
2006年 角川書店
西原理恵子さんの絵本「いけちゃんとぼく」を読みました。
それは偶々、病院の待合室に備えてあったもの。
診察を待つ間の時間つぶしには、丁度お誂え向きのボリュームでしたからね。
著者の西原理恵子さんと言えば、毎日新聞の日曜版に連載中の私小説風マンガ、「毎日かあさん」の お母さん その人ですよね。
男女二児の母親が、家族に寄せる愛情、毒気の効いたユーモアもさることながら、男の子の世界と女の子の世界それぞれを、地に足の着いたクレバーな観察眼で捉えていることに感心させられます。
で本書、「いけちゃんとぼく」の主人公 ぼく もまた男の子。 やはり、「毎日かあさん」の おにいちゃん を連想させられるのです。 そういえば いけちゃん のデザインは、おにいちゃん の描いたマンガ(?)を元にしているのだそうな。
一応、絵本のカテゴリーに入れられていますけれど、その内容は西原さんの描く漫画とさして変わるところがありません。
物語は主人公の小学生、ぼく とその ぼく だけに見える不思議な生きもの、いけちゃん との対話で綴られてゆきます。
ここで特筆すべきは西原さんの示す、男の子の世界への深い受容力です。
それは、世間一般的意味合いの母親視点から、男の子はこうあれかし、というのとはいささか異なる、西原さんならではの人生観から来るもの。(だからこそ、「毎日かあさん」とは違う世界観ながら、共通の視点/語り口を感じさせられるのだと想います)
子供時代。 誰にとっても懐かしい、キラキラと輝いていた日々。
手がつけられないくらいにデリケートな、少年の心の移ろいを、純朴な絵とシンプルな台詞で綴ってゆきます。
この絵本に関して私は、作品全体を満たす静謐な空気感に反応しちまって、深く読み込むよりも先に、さっさと大満足レベルに達してしまったことを、ここに白状しておきます。 ハイ。
絵本だけに、とても短いのですけれど、これは一読して、すぐさまもう一度始めから読み直さずにはいられない佳品です。


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