スーパーマンIV/最強の敵
Superman IV: The Quest for Peace
監督:シドニー・J・フューリー
出演:クリストファー・リーヴ (スーパーマン/クラーク・ケント)
マーゴット・キダー (ロイス・レーン)
ジーン・ハックマン (レックス・ルーサー)
マリエル・ヘミングウェイ (レイシー・ウォーフィールド)
音楽:ジョン・ウィリアムズ (テーマ曲)
1987年 米国
クリストファー・リーヴが主演を務めましたスーパーマンのシリーズ第四作目です。
この、アメリカを代表するスーパーヒーローの活躍を描く映画・ドラマの数ある中で、歴代でもっとも定評のあるスーパーマン役者といえばこの人でしょう。
それまであったスーパーマン像を少しも損なうことなく、そこに80年代の感覚/撮影技法を新たに盛り込んで、なんの違和感も無かった役者。
と言うか、観客をしてこれぞスーパーマンその人!と納得させた、これ以上ない程の成り切りっぷりを見せてくれたクリストファー・リーヴ。
その彼にとっての最後のスーパーマン映画です。
▽▲▽▲▽▲
しかしながらこの映画、(生憎なことに)シリーズのラストを飾るにしてはいささか残念な出来でした。
アメリカ文化の一側面を代表する、古典的アクション・コミックの主人公スーパーマン。
アメコミヒーローの物語として格調高く始まった一作目。(1978年)
当時の粗悪な紙質の雑誌に印刷され、その分広く人口に膾炙した当時のイメージに寄せ、活劇としてコミック調に帰った二作目。(1981年)
そこまで来ていたコンピュータ時代!
世の中の急激な変化への期待と不安、そこに若干の皮肉wを添えてコメディ調に振った三作目。(1983年)
と来て、この四作目(1987年)ですよ。
もっと他にやりようがあったんじゃ・・・・なんて風にも思うんですけれど。^_^;
ともあれ四作目も、この当時ならではの(この点はホントに見事!)映画になっていました。
そのコンセプトやよし!
▽▲▽▲▽▲
とは言えこの映画、既にオープニングから嫌な予感がしていました。^_^;
アレッ?アレッ?!って感じ。w
オープニングの映像を見ただけで、これはなんか違うぞ!ってワタシャすぐにピンと来ましたね。w
そして、この悪い予感は不幸にも的中するワケです。(>_<)
▽▲▽▲▽▲
時代は東西冷戦の真っただ中。
にらみ合ったまま、互いに一歩も引かない米ソ。
最強のヒーロー・スーパーマンが、ここへ来て核兵器そのものと対峙します。
お話しは、スーパーマン好きの一少年が声を上げることから始まります。
曰く、スーパーマンは(暴走する地下鉄を止めたり、街の雑魚悪人と戦ってばかりいないで)戦争を止めさせるとか、核兵器を無くすとかやってよ!
つまり、万能のヒーローだったら(文字通りのスーパーマンなら)もっと大きな、人類共通の悪と戦って欲しいってワケです。
まぁ、当然ですよね。
もしも世にスーパーマンが存在するんなら、その万能の超人に対して普遍的な(それこそ究極の)問題、戦争/核兵器の脅威を解決して下さい! って要望は必ず出て来る筈。
そしてまた、これってヒーローもの(スーパーマンに限らず)に対して当然湧き上がって来る疑問ではありますね。
スーパーマンも、シリーズ4作目にしてついにその究極の命題に応えたって形です。
▽▲▽▲▽▲
さて、ある日のこと、ニューヨークの国連本部ビルに突然姿を現し、壇上に(ニュースなんかで良く見掛ける、あの大会議室です)上がって平和を呼び掛け、核兵器の廃絶を訴えるスーパーマンの姿がありました。
ぱちぱち。(^ァ^) このシーンはホントに素晴らしい。
なんたって、あの(!)スーパーマンですよ。
正義の味方、知らぬ者とていない無私の人。
そのスーパーマンが核廃絶を説くんですから、世界中のどこの誰からも否やはありません。
(この映画もここらは良かったw)
そしてその日以降、かな~り強引で大雑把なカタチ(これぞスーパーマン流ってモンです w )で核兵器狩りをするスーパーマンの姿がありましたw
▽▲▽▲▽▲
さて、こうして核兵器は世界から廃絶された訳ですけれど、ここで出て来るのがジーンハックマン。 このシリーズではおなじみの顔、天才犯罪者です。
彼は、核兵器を廃棄する際に発生する超巨大なパワーを利用して、人造人間「ニュークリアマン」を創り上げます。 そして、これこそが最強の敵となるのでした。
ニュークリアマンって・・・・核男?w
その名の示す通り核兵器の化身(?)みたいな、とにかく途方もなく強力なやつでした。
でもねぇ、この悪役が(映画的に)まったく物足りなかったです。
スーパーマンを凌駕するくらい強いって言う触れ込みなんだけれど、でもキャラ的には滑ってるんですよね。 このヒト。w
なにしろ悪役に必要不可欠な、悪の魅力って奴が無いんだねぇ。orz
凄く強いって ”設定” だけで、本人にあんまりヤル気が感じられない。(笑)
映画は、このキャラの登場と共に急降下してゆくのでした。
スーパーマン対ニュークリアマンの戦い。
正義対悪の一騎打ちが、なんとも雑に(笑)繰り広げらますけれど・・・・orz
まぁ、制作資金が乏しかったんでしょうね。 きっと。
見ていて、こうするしかなかったってのが理解出来ます。
でも、そうは言ってもねぇ。w
▽▲▽▲▽▲
ヒロインのマーゴット・キダーも今一つの感がありました。
彼女、今回は専らスーパーマンに恋する女として描かれます。
なので、スーパーマンに一方的に振り回されるばかり。
その結果、クラークとの(ツンデレな)関係性が生かしきれていないんですね。^_^;
一方、恋のライバル的立ち位置(?)のマリエル・ヘミングウェイ(文豪のお孫さんに当たるのだそうな)は、存在感が十分で予想外に良かったです。
▽▲▽▲▽▲
映画の公開後大分経ってからこの作品を見る私には、このシリーズがこれ以降続かなかったことが判っているし、その後クリストファー・リーヴを襲った悲劇をも知っているわけで、(映画のストーリーとは裏腹に)見ていて切ない気持ちになる作品なのは、致し方のないところでしょうか。orz
まぁ資金が集まらなかったってことは、当時既に人気が低迷していたということなんでしょうね。
そして、俳優クリストファー・リーヴの代表作となった(これは、本人の本意では決してなかったでしょうけれど)スーパーマン役の掉尾を飾る作品として、いささか残念な一本ではありました。
なんともはや、スーパーマンが泣いてるよ。(>_<)
人気シリーズの終焉を実感させられる一本。
物語りの上ではハッピーエンドなんだけれど、周辺の事情もろもろを考えるにつけ、物悲しい気持ちになってしまう。 そんなシリーズ第四作目でした。
Recent Comments